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幻想郷 ~泰平録~  作者: ザ・ディル
妖夢and咲夜の奔走録
1/19

1話 一人と半人半霊


 幻想郷には《人間の里》という場所がある。恐らく、幻想郷では人気(ひとけ)が最もあるだろう。

 しかし当然、そこにいるのは人だけではない。妖怪だって、神だっているかもしれない。

 無論、

 

 「あら、妖夢じゃない?」

 

 半人半霊だっている。

 そして、それを尋ねた人は、

 

 「……あっ、咲夜さんですか」

 

 紅魔館のメイド――十六夜咲夜である。

 咲夜は妖夢が持っている手提げ袋からはみ出ているネギを見て、

 

 「妖夢も(わたくし)と同じで買い物を済ませたところかしら?」

 

 「はい、そうですよ咲夜さん。良ければ夕飯一緒に食べたりしますか?」

 

 「生憎、今日の夕食は『血』を用意するから無理ね。貴方の(あるじ)はソレを好まないでしょう?」

 

 咲夜の主――レミリア・スカーレットとその妹のフランドール・スカーレットは吸血鬼だ。血が必要なのは当たり前だ。

 とはいえ、スカーレット家は『血』は少量でいいのでそこまでの量はないが、それでも月に何回かは絶対に必要だ。そして普通の場であれば食卓に『血』が飲み物としてあるのはゾッとしないだろう。

 

 「まぁ……そうですね。幽々子様は食事は食事で楽しみたいので、食事中に血を飲んでいれば怒られるかもしれないですね……」

 

 指で頬を掻きながら半人半霊はそう答えた。

 

 「そうよね。じゃあ私はそろそろ……」

 

 そして、咲夜は(あるじ)のもとへ帰ろうと――、

 

 「ヒッ――!?」

 

 突然、妖夢が小さく悲鳴をあげる。

 

 瞬間、咲夜は後ろを振り向きながら時間を止め、辺りを見渡す。

 

 ――特に、おかしなところは……ないわね。

 

 特におかしなところはなかったが、妖夢の手提げ袋が乱暴に落ちそうだったのでそれだけ取り、時を動かす。

 

 「大丈夫、妖夢?」

 

 「さ……咲夜さん見ましたか……今の…………?」

 

 明らかに恐怖しているのが判る。

 歯はガチガチと鳴るように震え、身体も震えていた。

 

 ――妖夢が見ただけで怖がる相手っていたかしら?

 

 そう思いながら、咲夜は問う。

 

 「妖夢、落ち着いて答えて。……何を見たの?」

 

 妖夢が畏怖、恐怖する存在。

 それは、

 

 「……れ……」

 

 「……? なんて言ったの、妖夢?」

 

 「霊です……!」

 

 「いや、貴方も半分霊でしょう……」

 

 そう突っ込みを入れるしかない十六夜咲夜だった。

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