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教会って何するところなの


「もうちょっと控えめな格好は出来ないのか?」


 思わずツッコミを入れる。

 長い髪を結い、それを左肩から前に垂らすスタイルのリリベル。

 口紅は控えめにはなってる。

 しかしいつもよりは露出度が下がっているが、黒いドレスはそのままだ。

 ここ、人間の街に潜入するにあたってその格好は目立つだろ。


「いいじゃない。どこにでもいるでしょこんな人間。

それに認識阻害魔法かけてるから誰も魔族だって気がつかないわよ。」


 黒いドレスの貴族はどこにでもいないだろ。


 俺らがワープしてやってきたのは、最近魔王軍が攻めようとしているとある街。

 街の近くにある見張り砦からの情報によると、この街には大きめの教会があるらしい。

 そこで修道女を物色し、スカウトしようと言い出した。


「ほらここよ、大きいでしょ。」


 変装して訪れたのは、立派な協会。

 さっきまでいたライブハウスくらいある。

 俺達は早速中に入ってみた。


「俺教会なんて初めてなんだけど。何するところなの?」


「えーっと、神に祈りを捧げたり、懺悔したりするんじゃないの?」


「え、リリベルも来た事無いのか。」


「当たり前じゃない。

小さい頃から女神だの邪神だの言われて、自分から神に祈ったことなんて無いわ。」


「はあ、苦労してるな。」


 中に入ると、大きな女神像が出迎えてくれた。

 外観から想像したよりは意外と質素な造りだ。

 木でできたベンチのようなものがたくさん並んでる。

 隅のほうには目的の修道女さまが何人か立っていた。

 神聖な雰囲気?が漂ってる気がして落ち着かない。


「ようこそいらっしゃいました。」


「おわぁ!」


 いきなり後ろに修道女が現れた。

 いつのまに近づいたんだ。


「ちょうどこれからミサが始まります。どうぞ席でお待ちください。」


 俺達はわけもわからず座らされる。

 俺はリリベルと小さい声で話す。


「なあ、ミサって何だ?」


「わかんない。でもシスターたちが集まってきたわよ。ほら。」


 女神像のある壇上に、修道女達が集まってきた。

 10人ほどいる。多いな。

 しかし俺らのほかに参加者はいない。貸切だ。

 俺らはヒソヒソと喋る。


「あの一番右の子なんかいいんじゃない? おっぱい大きいわよ。」


「いや、ダンスをするならあの褐色の子もいいんじゃないか?

運動得意そうな顔してるよ。」


「でも気が強そうだし、アンデッドにしても言うことを聞いてくれるか問題ね。」


「うーん。でも意外と若い子が多いね。

もっとふくよかなゴスペル得意そうな人いるかと思ったのに。

みんなスリムだし修道服も丈短いし、ナイフもあんなに……え!?」


 修道女達が服の中から大量のナイフを取り出す。

 それを俺らに向かって投げてきた。


「ス、ステータス・オープン!!」



カカカカカン!



 俺とリリベル、それぞれの盾でナイフを防ぐ。


「正体を見抜かれたか。ふふ、面白い。」


「リリベル、余裕こいてる場合じゃないぞ。後ろ。」


 入り口に黒い服を着た牧師のような男性が立っている。

 何か呪文を唱えてるようにも見えた。


「――――魔女へ断罪の檻を! 対魔術師複合結界ッ!」


 牧師が叫ぶと、リリベルの足元が光り出した。

 周囲に何重もの魔方陣が張り巡らされ、彼女に電撃のようなものが走る。


「あああああッッ!!」


「リリベル!」



バチィ!



「痛っ!」


 近づいたら強烈な電撃に襲われる。

 俺のステータス画面じゃ魔方陣を消すことは出来ない。

 どうする。


「滅べえェェェ!!」



ズザンッ!



「あうっ……」


 誰かの叫び声と共に、リリベルへ銀色の槍が刺さる。

 彼女は刺さった瞬間は声を出したが、その後固まってしまった。

 胸に刺さったまま微動だにしない魔女。


「リリベル……」


 どうしたんだ。

 また残機が減ったとか言って復活するんじゃないのか。

 胴体を切られても生きてるような奴だろ。

 こんな槍でやられたわけじゃないよな。


「キャアァァァァァァ!!!」


「うわ、なんだ!」


 リリベルがいきなり金切り声を発した。

 耳が痛くなるほどだ。距離をとっていた修道女達も耳をふさいでいる。

 すると魔女が突然、真っ黒いオーラに包まれた。

 オーラは彼女を完全に覆ってしまうが、目と唇は真っ赤に光って見える。


「ちょっとまてリリベル、落ち着け!」


 まさか、暴走モードに突入か!?

 このあたり一帯が吹き飛んだらどうしよう。

 リリベルに聞こえるかわからないが、必死に呼びかけてみた。


 でも今回はおかしい。

 明らかにリリベルを封じる呪文・ダメージの通りそうな槍がすぐに用意された。

 いったいどこから知られていたんだ。

 ずっと前から魔女に恨みを持つ者がいたとか?

 ……いや、この感じは。


「くそ、《真祖の滅槍(シルバーボルグ)》でも駄目か!」


 今の台詞、聞き逃さなかったぞ。

 入り口の近くに、明らかに場違いな服装をした男の子がいた。

 あれはジャージ。現実世界の服装。

 ってことはアイツは異世界転生勇者だ!


「ステータスオープン!」


【[伏線の勇者 セイヤ]】

 レベル:21

 スキル:死に戻り


「うっ……」


 リリベルを覆っていた黒いオーラは、魔法陣や銀の槍とともに消えていった。

 そのあと彼女は気絶してしまった。


「リリベル!」


 倒れそうなところを抱きかかえる。

 浮いてないとけっこう重いな。


「逃がしません!」


 牧師が入り口を守るように立ちはだかる。

 しかしそこからは逃げない。


「ステータス・オープーーン!!」



バコォ!



 ステータスのカッターで壁を切り抜き、出口を作った。

 リリベルを急いで背負い、そこから立ち去る。


「くっ、奴らを追え!」


 外に出てから、俺はステータスウィンドウで足場を作る。

 それに飛び乗り、サーフボードのようにして飛び去った。

 俺の体が絶えられるくらいの全速力で、ひとまず見張り砦へ逃げ帰った。


 チート能力の詳細は見ていないが、勇者名と状況だけですぐわかる。

 タイムリープ能力、セーブとロード能力の"死に戻り"。

 そんなやつ相手では逃げるしか手が無い。

 どこにどんな罠を先置きしているかわからないからだ。

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