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勇者の村で最弱でした  作者: イミゴ
6/28

6 私、2歳になりましたわ!

8人もの方に読んで頂き光栄です、嬉しいです!感謝の気持ちを込めて書きました。こんな形しかとれず申し訳ないです。

今回は約1歳〜2歳の振り返りです!



私は2歳になりました。ここまで来るとこの村がいかに異常であるかが、ハッキリと理解できるようになりました。まず私を含めて子供の成長が早い。歩けるようになるのも歯が生えるのも何もかもが、前世の子供よりも早かった。


それにこの村は人数が少なく、同年代のご近所さんがあのママ友の子供達しか居ない。皆が歩けるようになった生後11ヶ月から、3日に一回ほどの間隔で森に繰り出されている。森に連れていかれたからと言って、母親達が喜んで魔物を退治していくので、安全ではあるけれど。


美形だらけの子供達に囲まれるのは物凄く眼福でした!だけど、赤ん坊って行動がいつも唐突過ぎて怖いし、本当にびっくりする。キャハハと笑って居たと思えば急に泣き出すし、私のブロンドの髪を引っ張って遊ぶし。ちょっと目を離すとすぐ転ぶし居なくなるし、親は魔物狩りに夢中だし。ちゃんと見てなさいよ!


私は人見知りなのよ。私とユートは例外で、マイルとジルはやはり子供なのだ。子供って元気よねぇ。でもね、私のパーソナルスペースなんてガンガン無視して土足で入って来るのは、本当にやめて欲しい。しかもびっくりするほどマイペース。こんな風に生きられたらどんなに幸せなんだろうねっ!もちろんこれは嫌味です!


だってなんで私が面倒見なきゃならないのよ。どうして大人に脳筋しかいないのよ!頭痛いわ!とか思っているうちに今度は、前世だと2歳に来ると言われている面倒な時期が来ました。


私の父親など知らない人が来ると何故か隠れます。それも私の後ろに。ジルとマイルどちらもね。これは人見知りというやつですね。なんか親近感湧いたのでこれはちょっと嬉しかったです。でも私に近づかないで欲しいのも事実だ。何度も言うけど、過度なスキンシップは本当に苦手なのだ。ようやく慣れて来たのがユートと両親くらいだ。距離を急に詰められるとまるで対応できないのだ。それは小さい子でも同じことが言える。


次に、なんでも興味を持ち始めます。ジルとマイルは、それぞれフラーっとどっか行ったり、私のオモチャを取ってったりと情緒不安定です。それになんでも口に入れます。石でも葉っぱでも土でもオモチャでも、本当に何でも。「ペッしなさい!」って何度言ったことかっ。


2人の行き過ぎた好奇心は、私の神経をこれでもかとすり減らしていった。どっから見つけたのか、マイルはどでかいダンゴムシに挑んでいたのだ。マイルの5倍はある大きさだ。すると案の定転んでしまったのよ。絶体絶命だと思うじゃない?それがね、頭から突っ込んでいったものだから、ヘッドアタックみたいになってね、ダンゴムシはペシャンコなのよ。もうやだこの村。


私は昔すごく心配していたけれど、高い高いで上空から落ちても、私死なないのではないかしら?なんて思えて来るぐらいには、この村で私の常識は非常識なのだ。実際に私のへなちょこパンチでも、弱い魔物なら倒せるかもしれないけれど、怖くて震えて無理なのよ。無理なものは無理なのよ。前世の私なんて小型犬でさえ怖かったのよ!?追いかけ回されるし、吠えられるし。


って話戻すわ。中でも一番困ったのが、「イヤイヤ期」と私が呼んでいるやつですね。これで遊ぼうと言っても「イヤ!」、危ないからこっち行っちゃダメよと言っても「イヤ!」私をメッチャ叩いて来るし、殴って来る。ひどい癇癪持ちである。何ならいいのか全く見当もつかないわ。巨大ダンゴムシをペシャンコに出来るその腕力で、私を叩かないで欲しい。切実に。まぁ、私も同じ村の子供なので超痛いけど、怪我はしなかった。


そもそもコミュ症の私が、空気読めない何考えてるか分からない子供の相手なんて務まるはずがなかったのよ。レベル1の私が、難易度いきなりマックスで始めるようなものだったのよ。うちに帰ったらもうヘトヘトで、落ち込む暇もなく眠りについたわ。私の精神はもう、本当に限界です。


余談ですが、最近ではそう簡単に私は死なないと知ったので、4人は寝れる巨大ベットで両親と一緒に寝ている。しかも驚きなことに私も含めてメチャメチャ寝相がいいのだ。今までの私の不安はなんだったのだろう。


マイル達の相手はユートも大変そうだったわ。2人して口癖は「大きくなったら、覚えてろよ」になっていた。無駄に力を持っている、やんちゃな幼子ほど大変なものはないと断言できる。本当に、親が放任主義すぎる。子供から目を離す親がどこにいますかっ!ここに居ますね。


最近の話なんだけど、お願いこれだけは聞いて!我が母親の対応に私は思わずブチ切れました。いつだったかルートが、エミリーに用事があるらしくて私達の元に顔を出したのよ。


「あれ…4人だけ?エミリーはどこかわかるかな。用事があるんだけど…」


そして質問されたから、私はルートの胸に飛び込んでいって抱っこしてもらったの。そして、ルートが来た方角から見て右側の森の奥を指差した。


「エミリーは、あっちだよ。まもの狩ってるの。わたしたちは、いつもほったらかしなの。」


と拙い言葉で伝えると、溜息をつきながら私達4人全員を抱っこして、エミリーの元へとルートは向かった。


「エミリー。いくら危険はなくても、子供をほったらかしにするのはどうかと思うけど?」


と父親が言った。私はもちろん激しく同意してるので、ユートとこれでもかと首を縦に振った。するとエミリーはなんて言ったと思う?こう言ったのよ。


「あら、でもいつも戻ればちゃんとそこにいるわよ?大丈夫よ、大丈夫。」


はい、堪忍袋の緒が切れました!静かにぶちぶちっと音を立てて切れました。今でも思い出すと腹が立ってくる。私はルートの袖をくいくいっと引いて、下ろして欲しいと伝えた。もちろんユートも同じだったみたいで、私と共にエミリーの元へ駆けた。そして足元の布をグイッと引いて、内緒話をするように仕向けた。


「エミリー、耳かして。」


「俺も俺も。」


ユートは右側で私は左側。私達は両手を筒状にしてエミリーの耳に当てた。「あら何かしら」なんて能天気に喜んで居たけれど、それが余計私をイラつかせたのはいうまでもない。


「誰のおかげで、マイルとジルが大人しくあそこにいると思ってるの?」


「そんな事も分からないなんて母親失格だな。これからは俺たち何もしないから。責任は自分で持てよ?」


私達2人の声は、子供のものとは思えない程静かで不気味な声だった。自分でも驚いたのだ、こんな冷ややかな声出せたんだなって。その後に、ニコッと満面の笑みで笑いかけ、そして青ざめているエミリーを置いて私達はルートの元へ戻った。


「2人して、何を言って来たんだ?」


ルートが私達に聞いた。


「エミリーって私たちのこと、ほったらかしなんだもん。きらいなのかなっておもったの。だから、さびしいなってゆったの。」


私がシュンとしながらルートに言った。納得してなさそうだったけど、私がこれ以上何も言わないと察したのか、私に何も聞いてこなかった。代わりに私は、「エミリーにようじがあったんじゃなかったの?」と質問した。


「そうだった、そうだった」


と言いながらルートは、私達を抱っこしたままエミリーの元へ駆けて行った。そしてエミリーにコソコソとお話をして私達を預けるとすぐにどこかへ行ってしまった。


あの後、他のママ友にも伝えたのだろう。1人ずつ交代で、子供達を見るようになった。そのおかげで、私達はベビーシッターをしなくて済むようになった。


しかもどの親も、マイルとジルのワガママや情緒不安定に付き合わされて大変そうだった。それを今まで私達がやられて来たのだ。最低だと自分でも自覚しているけれど、少しだけ「ざまぁ」と思ったのも事実だ。


ユートと私は2人きりで遊べることになった。もちろんベビーシッターがなくなったからである。遊ぶと言っても私が魔法を教わっているんだけれど。話せるようになったと言っても私達はまだ2歳だ。そんな流暢に話してたら怪しまれる危険性がある。


だから私達は、もう慣れ尽くしていた念話で、相変わらず会話をしていた。最近では私も随分とできることが増えて来た。あれだけ手こずっていた探知も今では一キロほどであれば十分察知出来るようになっていた。他にも日常で役に立ちそうな魔法もいくつか教わった。


火の魔法、風の魔法、水の魔法など色々使えるようになったのだが、それは親が居ないからこそ自由にできたのだ。だから放任主義も案外悪くなかったかな?とは思うが、やはり大変だったのでとても許せるものではなかった。それに最近では本当に手に負えなくなって居たので、最高のタイミングだったと思う。


こんな感じで私は前世では考えられない、濃ゆい1歳から2歳をユートと共に過ごしたのだ。




2歳で子育ての大変さを知ったヴィネアでした。ストレス限界で、遂にキレましたね。ストレスは人見知りでさえ大胆にする。恐ろしいですね。

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