プロローグ
どうしてこうなった。
コの字型に並べられた長机の中央あたりに立たされ、座った12人の教師たちがそれぞれに意見を述べている。
曰わく、
「やはり、彼は協調性に欠けているのではありませんか?」
「まったく、どうして面接試験で振り落とさなかったんだ。担当したのは誰だ?」
「いえ、ですが筆記試験の成績が良かったのも事実です。将来的には難関大学の合格者になるかもしれません。」
「では、こうしようじゃないか。」
急に会議室のドアが開かれ、入ってきた人物が意見を述べようとする。
俺も含めて全員がビック!と跳ね、発言者へと顔を向けた。
入ってきたのは、学園の創設者である金井源造。
白い髭を蓄え和服に杖がデフォルトの爺さんだ。
彼は決定権は私にある。と言わんばかりな強さで言った。
「彼を生徒会に入れて、更正の機会を与えよう。1年の終わりまでに成果が出なければ、留年させる。これでどうだろうか?」
オーナーの提案に逆らおうとする者などおらず、全員が首を縦に振る。
それを見て金井さんは満足そうに頷き、俺に話しかけてきた。
「君、名前は?」
「立石賢司です。」
「そうか、では立石君。今から生徒会室に行きなさい。そこにいる私の孫に私からの紹介で来た。と言えば、君の今後について詳しく話してくれるだろう。」
「わ、わかりました。」
会釈をしつつ、金井さんの隣を通って会議室のドアの前に移動する。
「失礼しました。」
「ああ、君の今後に期待しているよ。」
最後に金井さんの言葉を聞いて廊下に出る。
はあ、本当にどうしてこうなった・・・・