27-01 【不器用な休日】 Ⅰ
今回も数回に分けます。かなり短いですがどうかご容赦ください。
最近は色々忙しくてこうやって頭の中で考えることは少なくなってきた。それだけ充実しているのだが、今日は珍しく色々考え始めていた。内容はすごく下らないのだが…
「休みの日って何すればいいんだろう。やべぇ、何をすればいいか全然思いつかねぇ」
こんなもんである-
この前ナナさんに言われた通りに身体を休める為、今日は訓練も勉強も狩りにも行く予定はない。そして何かしようと思ったのだが、これが笑えるほど何も思いつかない。そういえば地球に居た頃を含め自分は外で遊んだ覚えがほとんどと言っていいほどなかった。身体が弱かった訳ではなくて一緒に遊ぶ人がいなかっただけとも言う。
地球に居た頃は遊びといえばゲームかネットサーフィンかそんなもんだった。漫画を読んだりアニメを見たりと引きこもりのスタンダードな行動しかしておらず、部屋の外になんかトイレに行く位しか出ていなかった。流石にこの世界にそんなもんないし、今はあったとしてもやる気がおきない。それよりは運動や鍛錬、鍛冶の勉強をしたいと考えてしまう。
…元の世界に戻ったら別人扱いされそうだなぁ…
「外で遊ぶって言ったって流石にはしゃぎまわる年頃でも無いしなぁ…買い物・…何買えばいいんだ? 魔道書とか位しか思いつかない。あ、他の魔導書売ってないかなぁ、時空とか聖と邪が気になる……はっ!? もう思考がそっちにいってる…」
何というかワーカーホリックの様な状態だった。
誰かを誘って何処かに行くというのも考えたが、そもそも何すればいいのかさっぱり分からない。キモオタで引きこもりなダメ人間は伊達ではない。今はかなり改善されてきたと思いたいが、改まって出会った場合何話せばいいのかと考えてしまう。
そして導き出した結論は―
「おぉ! 別に家でゴロゴロするのも休みといえば休みだ! 何も思いつかないしこういう日は寝ようっ! ついでに魔法書でも読んで暇つぶしだっ!!」
「いや、それなんか違うだろ。遊びに来たけどやっぱりか」
「うわっ!? 吃驚したぁ……フィ、フィル君…? いらっしゃい、今日は何かあったかい?」
今日のやることを決めた瞬間に部屋に入ってきたフィル君にダメだしをされてしまう。ちなみにノックもして普通に入ってきてました。
「よっ、邪魔するぜ。今日は俺も非番でさ、エルもカリーナが連れて行っちまったし暇なんで遊びに来た。どーせやること無くてごろごろしてるだろうと思ってさ」
何というかあっさり行動パターンを読まれている、やはり自分は分かりやすいのだろうか。
「他のダチは皆自警団とかでさ、俺も今日は暇なんだ。そういやこうやって遊ぶのは初めてだろ? たまには男同士で親睦を深めようぜ、最近女が多すぎて少し肩身が狭いからな。実は団長も広場で待ってんだ」
「確かに僕じゃ寝る位しか思いつかなかったから助かるよ。それじゃ喜んでついていかせてもらうよ」
渡りに船と言うやつだった。
このまま寝るのも良かったが皆で遊ぶのもそれはそれで楽しそうだ。自分では何をすればいいか分からなかったが、彼等なら色々暇を潰せる方法を知っているだろう。本当に、パソコンやゲーム以外の遊びを覚えておけば良かったと今更ながらに思う。
「んじゃ決まりだなっ! 外で待ってるから早く着替えて来いよ。今日は一日楽しもうぜ」
「僕も楽しみだよ、すぐ着替えてくるから待っててっ!」
今日は楽しい一日になりそうだ。
―ホープタウン商店街
流石町の中心と言う事もあってここは毎日賑やかだ。
北部方面には冒険者御用達の店が多く並び、冒険者達が多くいる姿が見える。そして南部方面は衣服や食品などの普通のお店が立ち並んでいる。僕が働いている武器屋は勿論北部方面だ。長屋までは歩いて10分程度でついてしまうので結構近い。
そんな中何か奇抜な格好をしている団長さんがいた。黒いサングラスに……なんだろうあれ…特攻服??
「よっ! 早かったじゃねぇか! 予想通り暇してたなっ!」
「お、お早うございます。と、所でその格好は…?」
「はっ、イケてるだろ?」
「そ、そうですね」
イケてると言うか…違う方面に行ってしまってるというか…いや、これが最近のトレンドなのかもしれない、僕は流行とかに疎いからな、団長さんを見習って衣服を考えてみよう。見た目はともかく服装が正しければ相手も嫌な気持ちにはなりにくいだろう。
「今日はよろしくおねがいします。所で何処に向かうんですか」
「ちっちっち。ヤスオぉ、こういう時は自分のフィーリングに任せるもんだぜ!」
「団長…やっぱり考えてなかったんだな…いつも通りというかなんというか」
「気の合う仲間が揃ってりゃ何処だって楽しいもんだぜ。さぁ、楽しもうじゃねぇか! 俺についてこいっ!」
「はいっ! お供します!!」
さぁ、どんな一日になるかな…楽しみだ。




