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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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26-03 【新たな出会い】 Ⅲ


―夜 ヤスオの自室



「いつつ……回復魔法でも重症は治らないからなぁ…」


 HPは6割まで回復しているが、それ以上はハイポーションを飲んだり十分に身体を休めなければ回復しない。


 更に言えば回復しきれない痛みがズキズキと全身を襲ってくるのが結構辛い。痛みにはある程度慣れてきたが、気を抜けばやはり痛いものは痛かった。


 あの後、カトル君と少し話しアイテムの分配を終えて家に戻ってきた。同じく重症状態のフィル君は団長さんが送ってくれたので安心だ、明日には元気になってるといいな。僕は普通に回復魔法も使えるし一人で帰ってきた。吃驚することにミキの奴が途中までついてきたのには驚いたよ、何でも途中で倒れたら恩を返せないとか何とかで、心配してくれてるんだろうけど…なんだろう、あれは……少し前に流行っていたツンデレなのだろうか? デレは無さそうだが。


 痛みがある以外は全身まともに動く、緊急で何かあれば直ぐに出られる位には回復してる、最悪はハイポーションを買って飲んで……いやいや、何物騒なことを考えてるんだ僕は。


 所で、ハイポーションと言えばオッターさんに頂いたハイポーションの代金を漸く貯める事が出来たので、早速お返ししようと思っている。あの人は気にしなくていいって言ってくれたが、それに甘えてしまってはいけない。それでなくても僕は人に依存し甘えやすい傾向がある。だからこそニートなんてダメ人間やってたんだから。


 貸し借りとかそういうんじゃない、まだまだ遠い地点の人だけど……少しでも良いから対等でいたいんだ…届かない人なんて思ってしまったらオッターさんに失望されてしまう。頑張って頑張って皆に追いつきたい。


 ふと窓の外を見てみるとすでに真っ暗になった夜道に【魔光石】で出来た街灯がこんこんと光っているのが見える。地球にある街灯と同じ…いやこっちの方がもう少し明るいかな位の明るさで道を照らしていた。あれ、朝になると消えるんだから凄いよな…なんでも光量によって自発的に光るそうだ、朝に光を自動的に吸収し夜、一定の暗さになったら光を放つ。昔から夜道を歩くためのランタン代わりとして使われているらしい。家の中もその魔光石を加工したマジックアイテムがあって、スイッチ一つで蛍光灯レベルの明るさになるのだからすさまじい…地球の技術涙目ですね、わかります。


 ちなみにこの家屋用の魔光石灯1個4980Rです。2個セットで買うとお得な8500R+塩との事です。なんで塩やねん…セイルさんの店で売ってるからだよな……


「………もう半月経つんだなぁ」


 皆と一緒に戦いを初めて半月近くかなり連携を取れるようになって来た。

 ミキもなんだかんだ言いながら戦ってくれるようになったし、いい傾向だと思う。アリアちゃんはこの町固定の冒険者だから、都合が合えばいつでも一緒に冒険出来る……が、カノンは後2月程度でこの町から離れるって始めに言ってたし、ミキも釈放されて恩を返したら違う場所に行くんだろう。自分自身も実力と心が強くなれたら、アルスさん達と一緒に冒険したい…


 フィル君や団長さん、ハウルさんにアリーちゃん……彼等はこの町にいる限りは一緒にモンスター退治をしてくれる。でも、なんだろうな、こう…なんて言ったらいいんだろう………心に何かポッカリと穴が空いた様な感覚がするのだ。


「……あぁ、そうか……」


 僕は……今が楽しいんだな。皆とパーティ組めるのが、一緒に入られるのが嬉しいんだ…だから、皆と離れるのは嫌なんだ…


「ははは……相変わらず心が弱い奴だよなぁ」


 思わず自嘲する。


 カノンもミキも……そして皆もそれぞれの生活がある。

 今はこうして一緒に冒険できるけど、それもいつかは終わってしまう…そう考えたらやっぱり悲しいよな……こんなの自分の我儘だって分かってるのに。


 別れがあるのはあたりまえだけど…あたりまえだ……自分だって自分で納得できる強さになったらこの町を出てあの人達についていくのだから、今考えてることはただの甘えなんだ。


 皆凄くいい人だから、ミキはまぁあれだけど、それでもいいパーティだから…

 そう言えば……


「そうだ…! アルスさんが言ってた。自分達は将来ギルドを作りたいって…そのために気の合う仲間を探してるって」


 今はまだ固定パーティも満足に組めていない、だがいつかは皆でワイワイやれるような家みたいなギルドを作りたい…と。

  

 もしそれを話したら、あの二人は何て言うだろうか? 流石に自警団の人は誘う訳には行かないからフィル君達は除外するとして、ティルさん達と話してOK貰ったら一応カノンとミキ、アリアちゃんに話してみようかな…?


 中級に近くてとても強いメイジ二人と、3人のパーティ内に居なかったやり手のシーフ……普通に考えれば仲間にいてもらいたい。


「幸いまだ時間はある、今はなによりも皆で戦う戦術とかを覚えよう。でも近い内に話してみようかな? 断られるだろうけど、それでも言わないで後悔するよりはずっとましさ。出来ればOK貰いたいなぁ…」


 そんな事をずーっと考えながら夜を過ごす僕だった……



―26話終了…27話に続く



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