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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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SP-03 【アリアオロの壮大な1日】

謎キャラアリアオロの1日です。

頭を空っぽにしてお読み下さい、私もからっぽ状態で書きました(マテ

シリアスは風邪をひいてお休みらしいです。


 彼女は4時に宿屋で目覚め、そして7時まで二度寝する。意味はなく話を聞く限りでは「この方が幸せだから」と教えてもらったらしい。


「………しゃ…きーん……」


 目覚めた後よくわからないポーズを取り眠気を完全に覚醒させる…のだが、問題は下着一枚もつけずにやっているので、なんとなく馬鹿っぽいと言うか変態っぽい所だろう。


「……あさ……ご飯………」


 目覚めた…っぽいが頭は寝てるらしくそのまま部屋を出ようとしてドアを開けてから何も着てないことに気づきゆっくりと扉を締める。


「……着替え……する………」


 下着や衣服は7セットあり、その全てを一度も買い換える事無く大事に使っているのだが、流石に全てボロボロになっていて着替え終わると清潔だがボロボロといういつもの服装になる。


 お洒落とかそういうのは理解できないし、服も下着も着れれば良いのでこれはこれで構わないらしい。服装がボロボロ…というか半分ボロ布みたいになっているが、服としての機能がなくなるまでは使い続けると【この服を貰ってから】一度も買い換えていない所に頑固さを感じる。


 着替え終わると財布と杖を持って外に出る、朝食を食べに向かうのだ。宿屋でもそのへんの料理屋にも劣らないレベルの食事を頼めるし、長期契約で宿を取ればデフォルトでついてくる、店主に話をつければ出てくる時間なども選べるという至れり尽せり感である、だが一人でもくもくと食べるのは彼女としてもつまらないので、たとえ甘み以外味がわからないとしてもあそこに食べに行くのだ。


 もしかしたら知り合いが来てるかもと頭の中で少しだけわくわくしながら―






―大衆食堂【うちより安い店はねぇ!】



「……プリン……」


「店にやっていきていきなりプリンだけとかお前も相変わらずだな。少し待ってろ」


 テーブル席に座りナナに注文を頼む。ここのプリンはできたてを作ってくれるのでとても美味しいのだ。それも1個100Rというお安さである。

 と言うかここの店は飲み物や特殊な料理を除き、殆どの定食が全部500Rで食べれてしまうのでむしろ高いのかもしれない。こんなのでよく採算が取れるものだと思うが、実はギリギリ赤字になってないというレベルだそうだ。


 やや暫くしてプリンが到着する。

 普通に作ればこんな数分で出来るわけ無いのだが、ここは魔法が普通に存在する世界、時空魔法というアコライトが使う魔法があり、それらを活用することで時間短縮等をしているのだろう、てんちょーがアコライトという訳でもないし、ナナは自称か弱い一般人なので、魔法は使えないが…多分何かあるのだろう。


「はいよ、他に食べたいものがあれば呼べよ? 沢山食べて貢献しろ」


「……ん………」


 食べる前にキョロキョロと辺りを見回すが、誰も知り合いは居なかった。

 この時間なら偶にカノンが来ている時もあるのだが、今回はいないらしい。


「………ぅー……」


「何だ、私が相手じゃつまらんか?」


「……ぉ?」


「フィルはエルが弁当作ってるし、ハウルはまちまちにしか来ない。ヤスオは自炊か武器屋の所で朝飯食うだろうからな、この時間は少ないだろ。いつも言ってるが」


「………ん……」


 その言葉に顔は無表情から変わらないが少しだけ声のトーンが落ちる。だが、ナナが前に座って話してくれているので、少しだけ嬉しかったようでプリンをゆっくりと食べ始める。


 じっくりと味わうように舌でプリンを転がすと、微かに甘みの様なものを感じる、今までは何を食べても何の味もせず、ただ生きるためだけに食べ物を食べていたが、この町でこの店でナナとてんちょーに会えて初めて味を知ることが出来たのだ。


「どうだ? 甘いだろう」


「……ん」


 こくこくと頷きながらプリンを食べる。初めて甘みを感じた時、食べ物というのはこれほどまでに美味しいのかと感動したほどだった。今ではプリンがない生活は寂しくて出来なくなっている、中毒と言うか漸く人並み以下の食事事情になったのだ、ちなみに他の町で食べたプリンはほとんど味を感じなかったので、プリンを食べるときはいつもこの店と決めている。


「お前の味覚障害は喉の異常と心の問題だからな、徐々に治していけばいい。うちのものを食べて美味しくないとか許されざるからな、意地でも治してやる」


「……あり……が…とう……」


「看板娘はな、こういう時こそ動き輝くものなんだよ。ほめてもいいぞ? そして沢山食べて売上に貢献するが良い、そうすれば私の時給があがる」


 ナナの時給は1時間787Rだったりする。安いと感じるし実際安いのだがほぼ1日中店で働いているから給料もばかにならない…と言うか実はあまりお金に興味が無いので、口だけの文句の様なものだ。


「あははー…う、売上あがったらねー」


「これは客を増やすしかないようだな…アリア、ちょいと客を増やしてきてくれ。何お前なら【お兄ちゃん、一緒にご飯食べよ♪】といえば一発だ」


「いかがわしいから却下だよー」


「くっ! 意外な所からストップがかかったか…!!」


「………ぉー……」


「やめろ、拍手するな。コントじゃないっての」


 パチパチと拍手するアリアオロ。漫才芸人はこういう劇をやってお金をもらうと聞いたのでお金を用意しておくべきだろうとか本気で思案してたりする。


「……プリン……おい……しい……皆……いれ…ば……もっ…と……」


 この前のダンジョンアタックの後で食べたプリンはとても美味しかった。仲間が居て、皆で食べる料理はとても―


「……また………いく…」


 強くなるのにも、お金にも、なんにも興味はない。

 だけど、一人は寂しい事に気づいたから、仲間が居て欲しいと彼女は思う。ヤスオやカノン、フィルにミキ、町の知り合いのセレナにナナにてんちょーに、今の彼女はとても幸せだった。


「………今日……も……がんば…る……」


 彼女の壮大な一日は今日も始まる―



―25話に続く



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