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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
84/216

24-09 【強敵との接敵】 Ⅱ

これで残す所後1回で24話が終了になります。


―ミス!! ジュエリーボックスは回避した!!


「っ!!」


 怒りに任せた攻撃は当たらない、教えてもらったじゃないか…!! 【蓮華】の派生攻撃は基本的に【絶対命中】が付与される…が、初撃の【蓮華】には命中補正も絶対命中効果もついていないのを失念していた。冷静に敵の動き方を見て当てなくちゃいけなかったのに―!


「……【連操魂】」


「【連操魂】!!」


―アリアオロは【連操魂】を唱えた!!

―カノンは【連操魂】を唱えた!!


「す、すげぇ…土砂が…!! 土砂が浮かび上がってる!!」


「ヤスオさん、フィル君。ハウルさんは私達に任せて、攻撃を。シーフは私の後ろに来なさい」


 ハウルさんが崩れ落ちた場所から土砂が浮かび上がっていく。さながらさっきの魔法の逆再生の様な感じだ。


 心配だが今はこいつを倒すことに専念しないと……!


「フィル君!! 僕が隙を作る! その隙を狙ってぶちかませっ!」


「おぉっ!!」


 槍を構え重心を落とし突撃出来る体勢を取るフィル君。後は確実に当てるための隙を作るだけだ、絶対命中効果があるとはいえ、見当違いな場所を狙ってしまえば流石に外れてしまう。あくまでも【絶対命中】は超至近距離での命中補正にほかならない。時空を捻じ曲げで当てるとか、そういうとんでも技術じゃ無い。


 奴に魔法を使わせてしまえばミキが危ない。いや、あの【大崩落】という魔法は僕が受けても死ぬ可能性がある…短期決戦で攻めなくては…!


 武器を構えたまま奴を誘導するように走り抜ける。


「……!! GIIIIIIIII!!」


「せいっ!!」


 今だけは頭の中のログをオフにする、完全に集中するためにはあいつだけを見なくては―!


「はぁっ!!」


 駆け抜けざまに剣を切り上げるが、たやすく避けられる―! だが…


「よしっ!!」


「ヤスオ…何をし…そうかっ! 任せたぞっ!」


 僕がやっている無作為な移動と攻撃の意味をフィル君は理解してくれたらしい。


「おおおおっ!!」


「GAAAAAAA!!」


 再び大きくはね飛ぶモンスター、そうだ…僕が望んだ方向に飛び跳ねろ。飛び跳ねて飛び跳ねて…フィル君が確実に当てられる隙を作る!


 駆け寄り剣を振り相手を誘導させ、魔法の行使も阻む撃たれたら負け…ないとしてもダメージがかさんでいく、回復魔法は僕しか使えず全体を回復する魔法は持っていないし、ポーションもそこまで多い訳じゃない。


 それにハウルさんを救出している二人は無防備に近く、その近くでわたわたしてるミキに至っては隙だらけだ。絶対に魔法は使わせない。


「ぜええええええっ!」


「ZYAAAAAAAAAAAAA!!」


 大きく跳びはねるジュエリーボックス、どうやら回避に集中すると動きがおおぶりになり、魔法を使わなくなるみたいだ。これなら当てられないまでも相手を阻害することが出来る。


「【蓮華】ええええええっ!!」


 飛び跳ねた着地地点を狙って【蓮華】を仕掛ける―!

 だが、ほんの刹那のタイミングで回避されてしまった…だが……そう、逃げ跳ねた先は―!!


「ドンピシャあああああっ! 【ファイナルブレイク】!!」


 高らかに叫び自己バフを掛けて突っ込むフィル君、狙う先には……


「!!!???!!!???」


 僕の攻撃を回避して今まさに着地しようとしているジュエリーボックス…! 如何に俊敏に動きまわり攻撃を回避すると言っても、飛ぶスキルを持ってない以上ジャンプ中は無防備だ…! 僕では当てられないとしても…彼には初撃から絶対命中と威力を倍増させるスキルがある!!


「届けえぇぇっ! 俺の最高の一撃!! おおおおおおおおっ!」


「GI!! GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


 フィル君の槍がジュエリーボックスを串刺しにした。

 機械の様なくぐもった様な叫び声を上げながら、モンスターは消えていく。同時にログをオンに戻した。


―フィルの攻撃!! 

―クリティカルヒット!! ジュエリーボックスに即死ダメージ!!

―ジュエリーボックスを倒した!!

―ヤスオは【速】【知】【器】が上がった!!

―ヤスオを除く全員にそれぞれ経験値を配布!! 

―石(未鑑定)を獲得!!

―戦闘終了!!


「ふ……ぅ…! これが俺達の力だっ!! やったなヤスオっ!」


「あぁ! これで…! フィル君、ハウルさんを助け出そう!」


「わ、わかった!!」


 今尚砂利をどかしている最中の場所に僕達も向かったのだった―








―休憩中


「と、とりあえずポーション! ポーション飲めって! 死ぬなよぉ!?」


「勝手に殺すな…ごほっ! 埋もれて動けなかったが早めに助けだされたからな、戦いはこれ以上出来んが何とか生きてる」


「今すぐ! 今すぐ回復しますからっ! 【治癒】! 【治癒】!!」


―ヤスオは【治癒】を唱えた! 

―ハウルのHPが回復 重症なので6割までしか回復しない! 残り4割

―ヤスオは【治癒】を唱えた! 

―ハウルのHPが回復 重症なので6割までしか回復しない! 残り6割


 あのあと直ぐ砂利をどかしていくとハウルさんが自力で這い上がってきた。本当に生きていてくれてよかった…でも流石にダメージが深い様で回復魔法じゃ回復しきれないほどになっている。これ以上はハイポーションか休養をとらないと…


「落ち着け、押し潰されなかったからなダメージだけですんでいる。お前の回復で全快とはいえんが動くのは可能だ。が、流石にこれ以上の戦闘は厳しいな」


「まさかこんな場所に魔法耐性モンスターが出るなんてね…誰も死ななくて何よりだわ。フィル君良くやってくれたわね」


「いや、ヤスオが削ってくれたのと、隙を作ってくれた御蔭さ。俺一人じゃ多分当てられなかった」


「さて……私もこれ以上の探索はおすすめしないわ、成果はあったし戻りましょう?」


 戦闘不能者が出てしまった以上、戻るのが一番ベストだと思う。これ以上はミキもこれじゃシーフとして動けそうにないし、フィル君は切り札を切った。カノンやアリアちゃんはレベルが高いお陰で余力はあるが、僕達の疲労がかなり大きい。


「じゃあ今帰還の羽を………? アリアちゃん? どうしたの?」


「………帰る……スキル…で……戻れ……る……」


「アリアちゃんのスキルで…?」


 両手を腰に当ててなんとなく自慢気な態度でコクコク頷くアリアちゃん。しかし対照的に無表情なのでその仕草は微妙にシュールだ。


「…羽……高い……スキ…ルで……節……約」


「アリアはメイジよね…契約魔道書じゃなくてスキルでの帰還となるとユニークスキルかしら」


「……ん……これ…で……帰る……」


 アリアちゃんがボロボロのローブから何かを取り出す。見せてもらうとそれは赤黒く、なんというか呪われてそうな小さな鍵だった。


 それを掌に乗せアリアちゃんが何かしら呟き始める。


「……形成……転移……固定………【転移の門】」


「……な、何よあれっ!? でっかい扉!? 門!?」


「で、でけぇ…」


 高さ5メートルはありそうな巨大な扉が突如目の前に現れた。何の前触れも無く出てくると流石に心臓に悪いな…見た目もグロっぽい…こう血塗られた色というか…さっきアリアちゃんが見せてくれた鍵と同じ色をしてる。


 重厚そうな扉がゆっくりと開いていく……と、その奥はなんと―


「出口、か。成程便利なスキルだな、【帰還】や羽が必要なくなるとは便利なスキルだな」


「………これ…で……帰れ……る……週……1…で……使え……る…スキル……ヤスオ……帰……ろ?」


「う、うんそうだね。何はともあれ皆生きて帰れたんだ、てんちょーさんの店で打ち上げに行こう!」


「賛成よ、冒険の後の食事ほど楽しみなものはないわね」


「はぁ……アイテムは美味しいけど、めっちゃ怖いわね、次行くときは護ってよね」


 それぞれが門を潜りダンジョンを脱出した。初のダンジョンアタックは最後に戦闘不能者を出してしまったが、それでも死者は出なかったし実入りもとても良いアタックになった。


 色々課題が出てきたが、今はまずゆっくり休んでパーッと騒ごうと思う。



―ダンジョンアタック終了!!



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