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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
8/216

02-02 【苦難の中】 Ⅱ

PVが10,000を超えました、皆さん閲覧有難うございます。

グダグダで拙い文章ですが、楽しんでもらえると嬉しいです。

―1週間後 【魔の森】


 あれから更に何日か過ぎ、今自分は基本食料集めをしつつウサギを見つけたら狩れそうなら狩る生活を送っている。しかし未だにウサギは倒せていない、自分でも安全に狩れる様な隙を見つける事が出来なかったからだ。


 今漸くその場面に出くわしている―!


―ファングラビットが現れた!! 相手は此方に気づいていない!!


(ウサギの他には…よし、何も居ない。前を向いてるからこっちにも気づいてなない。チャンスが、やっとチャンスが来た!!)


 太めの木に隠れウサギの隙を伺う。

 実はこうやってウサギと出会った回数はそろそろ10回にも及ぶ。そのどれも全て失敗に終わっているがその御蔭で多少なりとも分かったことがある。


 どうやらあのウサギはどうやら後ろにはあまり注意を払っていない様なのだ。奴が振り向く前に、全力で剣を叩き込めばうまく行けば倒せるかもしれない。


 淡い希望だが前回二回で倒せた事と、【力】が1上がっていることを考えれば今回も2回で倒せる可能性はそこそこ高い筈だ。


(あいつは音に敏感だから速攻で駆け寄らないと、サイズが小さいからよく狙って叩きつけるように…前みたいに我武者羅に振り回しても当たらない…それ所か無駄に使用回数が減る)


 何度も何度も深呼吸し、頭の中で落ち着けと念じる。

 生き残るためには…この森から出るためにはモンスターを倒さなくては行けないのだから。


「………ギュッ!」


 望んでいたチャンスがついにやって来た!

 ウサギが後ろを向きゆっくりと身体を丸め始めたのだ。おそらく休んでいるのだろう。


 震える手でギチリと音がなる位に剣を握り小さく深呼吸し全力で走る―!


 相手の身体は普通のウサギより少し大きい程度。

 普通に剣を振った所で威力は期待できない、走りながらショートソードをぎっちり握り右腕を体ごと左下に構える。剣道など勿論やったことがないので我流だが、こうして下から振り上げることが出来ればかなりの威力が望めるはずだ―!


「……うおおおおおおおおおおおおおっ!」


―ヤスオの奇襲!! ………成功!!

―クリティカルヒット!! ファングラビットに致命的なダメージ!!


 振り上げた剣は綺麗にウサギの胴体を切りつける―!

 そのまま持ち上げるように切り上げウサギを吹き飛ばした。鈍い音を上げながら数回ほどバウンドした所で両足を使い地面に着地するウサギ。


 システムメッセージを信じるなら致命的なダメージは与えた筈だが、止めは刺しきれていない!


「ギュ…ギュイイイイイイイイイイイ!!」


「くっ…! もう少しだったのに! だ、だけどもう少しだ!」


 僕とウサギの距離は大体10m前後、あいつが力を振り絞って襲いかかってきたら防ぎきれるのか―


―ファングラビットの攻撃!!

―ヤスオに中ダメージ!! 残り8割!!


「うわああああああっ!?」


 考える余裕すらウサギは与えてはくれない。

 あの距離を瀕死の状態に関わらず猛突進してきた。この後どうやって攻撃するなどと考えていた所為で避けることすら出来ずモロに突撃を食らう。


 腹部にバスケットボール…いや、ボウリングの球を投げつけられた様な重い衝撃と痛みが襲うが、この前の痛みに比べればまだ耐えられる。


「ごほっ! そ、そうかこいつ死にかけてるから…これならまだっ! 喰らえええええええっ!」


―ヤスオの攻撃! ミス!!


「しまっ!? うぎゃあああっ!?」


―ファングラビットの攻撃!! 

―ヤスオに大ダメージ!! 残り4割!


 止めを刺そうと焦ってしまい攻撃を外してしまった所にカウンター気味に再び突撃を食らってしまう。


 その勢いで僕は後ろに吹き飛ばされ背中を地面に思い切り叩きつけられた。あまりの衝撃と激痛に目の前が真っ暗になり呼吸すら止まってしまう。


「うぐっ! げほっ! げほっ! 死んで…死んでたまるかああああああっ!」


 それでも直ぐに立ち上がり僕は剣を構えて突撃した! 

 そうしなければ殺されるのは此方なのだ、なりふり構わず剣を振り回す―!


―ヤスオの攻撃!!

―ファングラビットに大ダメージ!!

―ファングラビットを倒した!!―ファングラビットの牙を1個獲得

―ファングラビットの毛皮を1個獲得

―ヤスオの【体】【速】が1上がった

―【剣修練:最下級】を覚えた。


「ギュウウウウウウウウウ!!」


 断末魔の叫び声を上げウサギは消えていく。

そ れと同時に僕もその場に倒れこんだ。死の恐怖で動いていた身体はその恐怖が消えたことで再び激痛が襲って来たのだ。痛みで身体を動かす事すらままならない。今襲われたら確実に死ぬが何をどうやってもこれ以上動けなかった。

辛勝、いや後少しで死ぬ所だった。


「た、おした…倒した…痛い、痛いよ…全身が痛いよぉ…」


 痛みと死ぬかもしれない恐怖で気絶することも出来なかったのが幸いし僕は自分が回復魔法を使える事を思い出した。


「け…【軽癒】…!」


―ヤスオは【軽癒】を唱えた!! HPが微量回復!!


 初めて使う回復魔法は正直言って気休めにもならなかった。

 痛みが気持ち程度収まったような感じがするだけで、ほとんど何も回復していない。そもそもが軽い擦り傷切り傷を治す魔法だから当然なのだけど。


―ヤスオは【軽癒】を唱えた!! HPが微量回復!!

―ヤスオは【軽癒】を唱えた!! HPが微量回復!!

―MPが足りない!!


 【軽癒】の消費MPは【3点】僕のMPは10点、たった3回しか使えなかったが、

3回も唱えたお陰か、痛みはあまり収まってないが立ち上がれる位までには回復できた。


「か、帰らないと…動かないとこのままじゃハウンドが、ウサギが来る。」


 相変わらず頭はがんがんするし鈍い痛みは収まらない。何処か折れてしまった可能性もあるが、病院もなければ何もない現状我慢するしか無かった。


 痛みを我慢して僕は隠れ家まで歩き出した―



―2時間後 【ヤスオの隠れ家】



 足を引きずりながら自分の隠れ家に到着したのはあれから2時間も経った後だった。


 到着するや否や僕はその場に倒れこむ、もう気力も体力も限界だった。痛みと疲労がしきりに僕を眠りに誘う。


「帰ってこれた…ハウンドやウサギにあったら確実に死んでたよ…運が良かったなぁ。」


 それでも気力を振り絞りショートソードをいつもの場所に置き安堵する。

 今日もこの剣のお陰で生き残ることが出来た。勝つ事が出来た。上手く使ってやれないのが悔しいと感じるほど、この剣は手に馴染んでくれる。


「ありがとうな…最後めちゃくちゃに振り回して、ごめん…ごめんなぁ…」


 錯乱して結局の所、剣を振り回してしまったのが痛かった。

【鑑定】を使う体力も残っていないので残り使用回数はまだ分からないがかなり消耗しただろう事は嫌でも理解できる。本当に自分が情けなかった。


「ステータスが…上がったのか、でも…もう、限界だ…」


 ステータスやスキルが増えたみたいだけど今の僕にそれを喜ぶ気力はなく、その場に倒れるように眠りにつく。時間がたってMPが回復すれば、この痛みももう少し抑えられるかもしれないと考えながら。











―翌日


 朝、鈍い痛みで目が覚めすぐに回復魔法を数回使う。

 重症を治すような魔法ではないがそれでも痛みを和らげることは出来るようで、昨日よりも幾分楽になれた。闘うのは無理だけど少し動く位なら可能だろう。


「何とか生き残れたか…ウサギもハウンドも雑魚なんだよな、やっぱりゲームとかの主人公達ってレベル1でも超人なんだろうな、僕には真似できないよ」


 ダメージを受けても普通に動ける主人公達に昔は憧れた。

 あんな超人になりたいと願い、自分には無理でマンガや小説に逃げたけど、現実で主人公達と似た状況に陥っている今は正直勘弁して欲しい。


 こんな苦しい思いをするなら地球で真面目に働いていたほうが何倍も幸せだろう。あんな痛みに耐えるくらいなら悪口や暴力など何も怖くない。


「ステータス【体】と【速】が上がったのか、この2つは低かったからかな…どうせなら【魔】か【運】が上がって欲しかったけど、HPが増えれば攻撃も耐え切れるし、これはこれでよかったのかもしれないな。」


 HPが10から12になっている。数値で書かれてもよく理解できないけど高い分だけ耐え切れる可能性が増えるのは有り難いものだ、このままステータスが上がればウサギも問題なく倒せるようになるのだろうか。そうなった場合ステータスは上がるんだろうか、まだよくわからない。


「昨日は…倒せると思って勢い込み過ぎたのがまずかったんだ、焦りすぎて無駄に武器を使い過ぎるなんて、こんなんじゃ先が見えてる…早く違う武器も見つけなきゃ。そうすれば剣を壊さずに済む。」


 昨日の戦いで使用回数が【17回】にまで減っている。

 このまま使い続ければ…せめて使いやすくて硬い棒でもあればそれを武器にできるかもしれない、ウサギの牙を括りつけて簡易的な槍に出来れば最高だ。そもそも使いやすくて硬くて真っ直ぐな棒が見つかればの話だけど…


「よし…しょ……だ、だめだ…」


 とりあえず水を飲みに川に行こうと立ち上がろうとしたが足に力が入らずふらふらと座り込んでしまう。昨日のダメージと疲労がまだ抜けきっていないのだろう。疲労はともかくダメージは暫く休めばMPが回復するから定期的に【軽癒】を使っていけば動けるようになるかもしれない。


「幸い、魚はまだ残ってるし、食べ物はあるから今日は体力回復に集中しよう…でもこれも直ぐに無くなるからまた集め直さないと…」


 理不尽な現実に涙が溢れる。

 泣いても意味が無いのは分かっているが昨日自分は死ぬ気で頑張った、そう思いながら涙を流した。明日からまた頑張ろうと心に決めて―


「異世界でいきなり迷いの森で装備は拾い物でモンスターは強い。こんなクソゲー誰がやりたいよ…ほんとに、ゲームならどれだけ良かったことか。」



―02話終了…03に続く




―リザルト

new【速】+1 

new【体】+1

new【剣修練:最下級】

―ステータス報告

【田中康夫】【人間:異世界人】【年齢:20】【Lv:--】

【HP】12 【(力+体)×2】

【MP】10 【知+魔+精】

【力】3【速】3【知】4【魔】3

【精】3【器】3【体】3【運】2

■所持スキル

【???:???】【サバイバル:最下級】【鑑定:下級】【解読:最下級】

【火魔法:最下級】【水魔法:最下級】【風魔法:最下級】【土魔法:最下級】

【治癒魔法:最下級】【剣修練:最下級】


2015/08/31 ご指摘を受け修正及び追加しました。

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