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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
75/216

23-02 【鍛冶への道は】 Ⅱ

のんびりとのんびりと、ですが次回から少し大変です。

果たしてどうなるのでしょうか。

―数日後。商店街




「ふーむ……中々いいもんだな。2980Rか、悩むな。どう思うヤスオ?」


「そ、そうですね…」


 両手いっぱいに荷物を持ちながらナナさんに答える。重くはないんだけどひたすらにバランス取りが大変なので、受け答えするだけで大変だ。この荷物全部ナナさんの物なので落とす訳にはいかない。




1.今日は休みなので勉強予定だった。

2.朝いきなりナナさんがやってきた。

3.【少し】買い物に行くから手伝えと言われた。

4.今は夕方です←ココ


「おぉぉぉ……夕日が、夕日が」


「知らなかったのか女の【少し】は長いんだぜ? 荷物持ちご苦労ちゃんと昼飯は奢ったんだ。寧ろ私の様な美人とデート出来て光栄に思うがいい」


 ニヤリと笑うナナさん、なんというか邪悪っぽい笑みだがそれが異様に似合っている。美人は得とはいうがまさにそれだ。


「いや、まぁ…それは事実ですけどね。他には何処に行くんですか?」


「ふむ、後1~2件巡ったら終わりにするか。いやぁ今日は助かった助かった。しかしそれだけの量の荷物よく落とさずに持てるな?」


「持てないこと前提だったんですか…流石ナナさんというかなんというか」


 なんというかこう彼女には勝てそうにないなぁ…

 ひらひらと手を降って僕を招き寄せ再び町ぶらぶらと歩いて行く。小さな町だが夕方でも賑わいがあり色々繁盛している。冒険者達が色々土産を買ったりしている姿がちらほらと見える。店主さんと仲良さそうに話す姿が殆どで町の人と冒険者が一体になった感じがするな。


「冒険者が町民と仲が良いのが珍しいか?」


「え? あ…そうですね」


 聞いた話を信じれば冒険者と町民は基本仲が良くないらしい…僕が知っている町はここだけだからそっちの方が信じ難いが…


「ここなら当たり前だ、この町は冒険者が居ないと色々成り立たんからな」


「そうなんですか…」


「青空市場での場所代を始めとして依頼や商店など、外から金と人材を持ってきてくれるんだ、これほどありがたい存在はないだろう? 有事の際は冒険者という腕利きが雇えるんだからな」


「確かに………」


「とは言え、この町は元々冒険者が興した町で今でも住民の2~3割は引退した冒険者がほぼだ、だからこそ許容できるとも言うがな。冒険者が近い場所なんだよここは」


 冒険者が興した町………か。確かにそれなら冒険者を嫌うって事はあまりなさそうだよな。


「ふーむ、次はここだな。行くぞヤスオ」


「了解ですー」


 真剣な話はそこそこに再び買い物が始まる。きらーんと擬音が付きそうな勢いで服などを吟味するナナさん。女性の衣服に掛ける情熱は凄いよな…僕は着れればなんでもいいから、よくダサイとかやぼったいとか似合わないとか言われたもんだ陰口で…でも何が格好良いとかわからないし、元が元なので似合わないし興味も無いので仕方ないか……


 あ、アリアちゃんも服には興味なさそうだよな…てかまだあのボロボロの防具と服つけてるからカノンやフィル君が驚いて色々揃えようとしてたなぁ…普通に断ってたけど。これで思い入れがあるーとかなら多少なりともわかるが、着てる服は普通に此処で買った安物で、防具も市販のローブと来たもんだから凄まじい。


「さて……ヤスオ。今日はどうだった?」


「今日、ですか? 荷物持ちって結構大変なんだなぁって。世の中のイケメンって、毎回こんなことしてるのか……そりゃ気配りも出来ますよね」


 僕には無理だ。絶対無理だ。


「お、なんだ饅頭顔の癖に、自分もイケメンの仲間入り出来た~とか思ってるのか?」


「いや自分の顔面偏差値くらいは理解してますんで」


 異世界に来たら格好良くなるーとか痩せたら格好良い! とかそう言うお約束はありません。痩せようが何しようが僕は平均以下の顔面偏差値です。醜いまでは行かないけど、お世辞にも格好良いとは口が裂けても言えません。


「なんだつまらん。と言ってもそこまでアレではないけどな。逆にクリーチャーとかみたいだったら面白かったんだが」


「あはは………」


「お前さ、この町にきてもう三ヶ月以上は過ぎてるよな」


「そうですね、早いもんです」


 アルスさんに連れて来てもらってからもうそんなに立ったんだなぁ……季節的にはまだ秋口、冬ももう少ししたらやってくるのか。


「それでだヤスオ。お前、勉強と仕事とモンスターハント以外何かしてるのか?」


「……………え? ご、ご飯食べに行ったり、かな?」


「それは違うだろ」


 た、確かに……


「あ、あれ……そう言えば僕ってこの町に来てから一切遊んでない…自堕落が服を着た男と言われたこの僕が……アルェー?」


「いや、今のアンタがそのセリフほざいたらこの町の大半自堕落になるからな? やっぱりか……(セレナが言ってた通りだな)」


「(仕方ない、セレナに頼まれたからな…少しは諭してやるか)その姿勢は立派だけどな、少しは気を抜け? 仕事が終わったら食べて寝る、もしくは勉強。休みの日は鍛錬かモンスター狩りか、勉強。何か生き急いでる感じがするぞ?」


「あ、あはははは……」


 そういえば、遊ぶってこと全然考えてなかったなぁ。まずはアルスさん達に追いつくって事しか考えてたし、魔法を覚えたり剣を強化したり鍛錬したりとやりたい事が多くてゆっくりしてる暇もなかったし……やっぱり張り詰めすぎてたかな、この前も一人で戦いに行ってひどい目に合ったんだから。


「あ…もしかして今日自分を誘ったのって…!」


「いや単純にお前が一番暇で力ありそうだったから選んだだけ」


「そ、そうですか…あ、あるぇ……?」


「感謝しろよ? 適度にガス抜きしなきゃ爆発してた所だ。私のような美人に付き合ってもらったんだから明日からはもう少し気を抜いてみろ。んじゃ、最後にうちの店で食べてけ、店自体はやってるからな」


「はいっ!!」


「あ、私結構食べるから、次はヤスオがおごれよ?」


 人好きする様な優しい笑顔のナナさん。なんだかんでで色々面倒を見てくれるし冒険者の人達が毎日彼女に会う為に店に来てる理由もなんとなくわかるな。

 ガス抜きか…そうだよな、根の詰め過ぎで倒れちゃったらまた迷惑を掛けてしまうし休みを取ることも考えないと。


 この後は二人で食堂に行っててんちょーさんのよくわからない調理方法に唖然としつつ沢山運ばれてくる料理を美味しく食べた。冒険者の人の突き刺さるように羨ましい視線に晒されて冷や汗を掻きながらだけど、そこは勇気を振り絞ってスルーしました。で、結局二人でこの店では凄まじい金額2万Rは超えるほど飲み食いする。


 ナナさんは終始相変わらずだったが、少し彼女の性格がわかったような気がするな……この店で彼女と知りあえて良かった、そう思う。



―23話終了…24話に続く




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