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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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22-01 【フィールドアタック】 Ⅰ

臨時パーティ話その1です。

―町の外。近くのフィールド


 街道より少し離れたこの場所は冒険者にとって絶好の狩場だったりする。この付近は角ウサギが多めで、ハウンドが少し探索するとよく出てくる。そこから少しダンジョンのある方面に進むとスモールベアやヴァイパー、そしてパライズモスと力量に応じて戦う場所が異なっている所が有難い。


 但しここから反対方向や、ダンジョンの間近くに行くと下級キラーのブラウンベアーに出会ってしまうから、低レベル帯の人は近づかないほうが利口だ。


 そんな冒険者の憩いの場…ってのは何か変だけどそこに僕達6人が集まっていた。


「それじゃあ点呼開始!! 1っ!」


 臨時パーティのお約束として各メンバーの点呼がある。ダンジョンなどに臨時で集まる場合は誰が居ないかを点呼で確認する時があるというらしいが、まぁ大体形骸化してるただのお約束ともいう。


「………2よ」


【-のーないかのん-きたアアアアアアアアアッ!! 初めて! 初めて点呼で1以外になったわ! ここからかのんの時代が始まるのよっ!!】


「3だな、今日はよろしく頼むぜ」


「4だ。今日は宜しく頼むぜ。このままじゃ弟分に抜かされちまいそうでな、気を抜いてられねぇ」


「………ご……ばん…」


「…………6。なんでダンジョンアタックでもないのに呼ばれてるの? 昨日の今日じゃん、ちなみに自警団員の人が逃げたら殺すって言ってました。乙女の尊厳が大ピンチなんですけど」


 何故か参加する事になったミキが微妙な表情で此方を見ている。

 

 実はあの後ダンジョンに連れて行く話になったらハウルさんに色々言われたらしい、一字一句伝えるとこんな感じだったそうな…






―自警団のお兄さんのありがたいお言葉。


【ほう、ダンジョンでシーフとして借りを返す、な。ヤスオの方から話は聞いたが、好きにすればいい……と、言いたい所だが、てめぇごときのレベルでダンジョンで生き残れる訳がない。スキルがある? それで生き残れるならだれでもシーフになるわ戯けがっ! そんなセリフは最低でもレベルを5以上にしてからほざきやがれ。丁度いい…明日お前もついていってレベルを上げてこい。逃げても構わんが…その時は容赦せん、何処に居ようと地の果てまで追い詰めてやろう。】




 

 以上、ハウルさんの激励の言葉でした。


「違うよね、あれどっちかといえば自警団に追われる立場っぽい奴だよね。目つきとかアレじゃん!!」


「なに、あいつなりの激励だと思えばいい。あいつが認めなかったらそもそもお前は今だに留置場の中だしな。あれはあれで結構甘いのさ、わかりにくいがな。なーに、前衛は俺とフィルに任せておけ、この辺りの奴なら流石に負けねぇさ」


 流石団長さんだ、ハウルさんの事良くわかってるんだなぁ…そう言う友人関係って羨ましいよ。


「どちらも普通のファイターね、タンク系じゃない以上防御においての過信は出来ないわ。ヤスオさん、貴方は盾を使うけど前衛としてはどのタイプ?」


「僕もどちらかと言えば【速剣】タイプだね。盾は最近使い始めたばかりで、基本は速攻で倒すタイプかな。一応防御は【風壁】と盾を使えばハウンド程度ならほぼ無効化出来るけどヴァイパーは流石にまだ痛いから」


 あのハウンドを簡単に倒せるようになったんだな…少しずつでも成長してるんだな僕も。


「私に防御を期待するな!」


「そもそも貴女には何も期待してないわ」


 鋭いカノンの一言にタジタジになるミキ。うんまぁ…スリと被害者だしね。妥当といえば妥当。


「……辛口ですたい」


「当然の評価だと思うわよ?」


「ちくしょう言い返せねぇ…まぁ、私は後ろでちまちまと石でも投げてるわよ。注意でも逸らしておけばいいでしょ?」


 こうなんというかすげぇやる気が感じられないなぁ…まぁ、無理やり来たみたいだしこんなものかもしれないが…でも命を掛けて戦うんだからもう少しこう。


「武器もナイフしか持ってないしそれが最善だな。後、団長はお前のこと信用してるみたいだけど 俺は信用してないからな、逃げようとしたら覚悟しておけよ?」


「あーはいはい、わかってますよー」


「なるほどね、とりあえずは近場の雑魚で慣らしましょう。このメンバーならブラウンベアーも行けるでしょうけどまずは連携が大事よ。100%を出しきれないパーティなら無い方がマシだから、ね」


【―のーないかのん― 下手にバラけたりすると逆に危ないのよね、ヤスオさんに指示とかお願いしようかしら。なんといってもパーティリーダーだものねっ! きっと彼なら出来るわ!】


「とりあえずはヤスオさん、貴方に指示を任せるわ。私達は基本貴方の指示通りに動く、貴方の手腕期待してるわよ? ヤスオさんは前衛と後衛どちらでも出来るし、戦闘ごとにスイッチしてみて? その際に私達がどう動くか見れるはずだから」


 流石はもう少しで中級、誰をどう動かしたら良いか直ぐわかるんだな。一応仲間を募ったリーダーなんだから僕も頑張って覚えなければ。


 所でアリアちゃんが静かなんだけど何を………していらっしゃるんでせうか…? 何故地べたに座り込んで下向いてるんだろう…


「あ、あのー…アリアちゃん? 何してるの?」


「………ん……蟻…沢山……」


 アリアちゃんが指差した所にはちょっと大きな蟻の巣があって、そこに大量の蟻がぶわっと発生してた。蟻はまだそこまで怖くないけどこれだけ居ると怖気が走る。で、肝心のアリアちゃんだが持ってる杖の先端でゆっくりと穴を広げてた…どうしよう、行動パターンが読めねぇ。


「……巣……小さ……い…から……これ…で…大き……く」


 無表情…っていうか眠そうな顔だけどどことなくやり遂げた感のある彼女が其処に居た。19歳…されど19歳……いいんだ生暖かく見守ろう。


「よし、気を取り直して…責任重大だし頑張らないとな。精一杯頑張るけどもしおかしかったら色々指摘して欲しいな」


「任せなさい、これでもヤスオさんより経験してるから」


「そりゃ頼もしいよ、それじゃ皆まずはハウンドとかを探してみましょう」


 まずは軽くこの辺のモンスターを倒していこう―




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