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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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CP-10 【常識外は基本】

スリの女の子の名前判明です。

ちなみに考えたのはこのまえがき(お話完成後書いてる)を書く数分前です(何



この世界の設定などは特に考えてません、政治や陰謀渦巻くお話には関わりませんので、そちらの方が好きな方はどうかご容赦を。

 


 目の前で、それも店の中でお涙頂戴やってるバカが二人いるんですけど。

 なに…この…なに……? なんでこんなに甘いのこいつら? 馬鹿じゃないの? やっぱ変だわこの町、私が今まで見てきた町とかとは全く違うし…


 此処に来る前の村や町なんて冒険者なんか化物扱いだし、小さな村じゃ入れてくれないとか日常茶飯事なのに、てかこの店ってかこの町の店全部冒険者価格やってない所がおかしいから。


 基本大金稼いでくる冒険者に対しては基本価格の5倍とか10倍とか普通なのに、首都のカルティアなんて15倍よ15倍。国で定めたとか何とからしいけど、馬鹿じゃねぇの? ほんと。 詳しい事はよく知らないし知りたくもないけどさ。


 でもここ、相手が冒険者だろうとなんだろうと定価で売ってるし、値段も安いしでこれでなりたってるんだから凄いわ。


「明日はフィルやファッツにもう二人冒険者連れて行くんだろ? んじゃ、ついでにこれももってけおらぁっ!! そいつはサービスだ! 何かあったら使いやがれっ!!」


 そう言ってあれに渡したのって…!? 


 ちょっ!? あれ帰還の羽じゃん!? 低レベルの冒険者がこぞってほしがるダンジョン帰還アイテムをあんな簡単にあげちゃうの!? ポーション代全部より高いじゃん! 羨ましいんだけどっ!! あれ1枚で都市じゃ500万で見たわよ!?


「有り難うございますっ! もしも危ない時があったら迷わず使いますんで!!」


 あかん、驚くのに疲れてきた。こいつらは全員甘ちゃん、それでいいや…とりあえずさし当たっての問題はこいつのセリフよね。確認しとかないと。


「えーと、あんたら明日モンスター退治しに行くの? なんかの依頼受けて?」


「いや、鍛錬と連携を兼ねたモンスター退治だよ。僕はまだまだ弱いし、今回ソロは無謀だって今更気づけたから仲間を募ったんだ。この前あんたを捕まえたカノンさ…カノンともう三人の5人で行くんだ。一応ドロップは皆で売るし、僕以外は金額的にマイナスって事はねーと思う」


「うわ…あれも来るんだ? あんた怖くないの? あれ容赦なく人殺せる顔してるわよ? 私ももう少しでやばかったわ…」


 乙女の尊厳は守りぬいたわよ…ほんと、マジほんと人生終わるかと思ったんだから…


「何回か会ったけど、気難しそうな以外は普通に良い人だったさ。自分みたいなのにも敬語で話してくれるし、あの時は単純にあんたが悪かっただけだと思うな」


 うぐ…その通りすぎて言い返せない……んー、でも狩りねぇ。態々モンスター倒してレベル上げて~なんて面倒くさい事するなぁ……ん? 待てよ? 上手く行けば恩を返せるかも。


「……!! そうだっ! あんたシーフはいないのシーフ!! ダンジョンアタックするのに絶対必要よシーフは! 罠発見や宝箱のトラップ解除、その手の仕事は全部シーフの仕事!」


「あー……そう言えばいないや。僕が会ったことあるのは、ファイター、メイジ、アコライトだけだから。まだアーチャーとシーフは見たこと無いしね。そうか……将来的にダンジョン潜るならシーフは居るよなぁ」


「ふっふっふ! 何を隠そう私はシーフ! ちょいと戦闘は苦手だけど罠探しや特に宝箱のトラップ解除はお手の物よ! という訳でダンジョン行く時は私を連れてけ、そうすりゃ恩も返せるし♪ 本当は5割は頂くけど流石に暫くは皆で山分けにしてあげる!」


「アホかてめぇ。なんで罪人を罪も償いきってないのに外に出さなきゃならねぇんだよ。普通に考えて直ぐ逃げるだろうが」


 うぐ…五月蝿いおっさんね、顔が良いのが更にムカつく。


「そりゃ、普通なら私も直ぐ逃げるわよ。でも私はこいつに借りがある、そいつを返すまでは逃げないって」


 恩を返すまではね、私はこう見えても義理堅いんだから♪ 可愛い上に腕も確かで義理堅いって最高じゃない? 褒め称えても良いわよ。


「つーわけで次回行く時は私も連れていけよ~? 店長だって、あんたより強いこいつが見張ってるんだから安心でしょ? 私だって流石にあのおっかないの相手に逃げないわよ今度こそ殺される。てか、ソレ以前にあの自警団員に殺されそうで怖いです」


 あの男ってさ、自警団っていうか寧ろ逆側の人間よねぇ…人相悪いし目つき悪いし、口も悪いし怖いし、怖いし、怖いし……あ、また震えてきた。


「そりゃハウルだな確実に。確かに殺す一歩手前まではあいつはやるぞ。もともと冒険者だったしこの町の中じゃ一番お前等の事理解してるしな。てか、そんなに行きたきゃてめぇでハウルに言え」


「そこは私は怖いからあんたがやってよ。どっちにしてもシーフ居ないんでしょ? 絶対お得だって。私は恩を返せる、あんた達はダンジョンに必須のそれも腕利きのシーフをゲット。まさにWin-Winよね。戦闘はからっきしだけど、こっちは勉強したのよ? 金稼ぐためにね」


 何を隠そうこの私シーフ技能で必須な奴は既に覚えてるしランクも高くなってるのよねぇ。


―【エネミー感知:下級】

―【トラップ感知:中級】

―【トラップ解除:中級】

―【ゴッドハンド:下級】

―【ストップトラップ】


 どうよこのそうそうたるスキルの数とランク。言っとくけどトラップ感知と解除なんて中級冒険者でもこのランクになってない時がほとんどなんだから。更に解除の技術を上げるゴットハンドに、万が一作動したトラップを打ち消すストップトラップだって持ってるのよ♪ ほんと自分の才能が怖いわ。


「はいはい…どうしてもシーフが居なかったら最悪ハウルさんに相談してみるさ。でも逃げないように絶対に監視するから変な素振りを見せたら強制的に制圧するからな」


「安心しなって、私は嘘もつくし騙しもするけど、借りや恩については絶対に破らないから、それが私なりの誇りだし」


「そんな誇り持ってるなら初めから悪事なんかしなけりゃよかったのに」


 疲れたように言う目の前のヤツ。


「冗談でしょ。人間楽に暮らすためならなんでもするわよ。私はそれを見て生きてきた、だからこそ私は楽に生きる。頑張ったって踏みにじられるんだ、なら無駄なことはしないで楽しく愉快に相手を逆に踏みにじって生きるのよ。安心しなさい、あんたやこの町は絶対に狙わないから」


 この世界はね、あんた達が思ってるほど優しくも何もないのよ。此処みたいに甘ちゃんしか居ない場所でぬるま湯に浸かる生活してるからわからないんでしょうけどね。殺し、騙し、冒険者でも一般人でもそれが基本、私はずっとそれを見て掻い潜って生きて来た、なら私が強者になって楽に暮らすのが一番よ。


「セイルさん、こいつやっぱ留置所に突っ込んだままの方がいいんじゃ…」


「奇遇だな、俺もそう思ってた所だぜヲォっ!?」


「ちょっ!? 待って! ストップすとぉぉぉっぷ!! 狙わないから! 落ち着けってのおぉぉぉっ!?」


 目がマジだった二人を止めるのは流石の私も苦労したわ………





…………


 

「言い忘れてたけど、私はミキ。ミキって呼んでもいいわ。いい加減にあんたって呼ばれるのはイラつくからさ。そっちも名前教えてよね? ヤスオってのはわかるけどさ。聞かないと不公平だし。恩を返す人間の名前も知らないって、ただの馬鹿だしね」


「あーはいはい、ヤスオでいいよヤスオで」


 凄い投げやりな感じで名前を聞かされる、ちょっと待ちなさいよね。


「あんた絶対に他のやつと私で会話区別してるでしょ!!」


 他のやつには敬語とか優しい口調なのになんで私の時だけこう、どうでも良さそうな口調になるのよっ。


「おめーと他の人じゃ信頼度も何もかも違うっての」


「うわっ、むかつくぅ…」


「はいはい、それじゃあな」


「あ、そうそう。私に悪事働かせたくないならヤスオが私を養えばいいのよ、可愛いしお買い得でしょ? 豪遊させてよね? 月1000万R程度のお小遣いでいいわよ?」


 毎日最高級のディナーとかエステも通えるのが最低限ね。他にはそうねぇ……


「留置場はあっちだぞ?」


「くそぅ!? てめぇ絶対私の魅力に参らせてやるからな!」


「ありえねぇから、絶対ありえねぇから」


 こんな感じで軽口を叩き合う、ヤスオって言うお馬鹿と知り合った。コイツのお陰で今の私がある以上、恩だけは返すからちゃんと受け取れよな。それまで仲間になってやるからさ。



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