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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
68/216

21-01 【狩りの準備】 Ⅰ

次はスリさん視点のお話予定です。

名前何にしようかなと未だに名前について考えてません。


このストーリーはそこまで典型的な悪人と言うのは実はそこまで出てきません。

出てきたりもしますが、それで話が膨らむのはあまりないかもしれません

どうかご了承下さい。 



―道具屋【俺の塩】



「いらっしゃいませー♪ 【俺の塩】にようこ……そ……………」


「ポーションとか買いに来たら何故かスリの人が居た件について……え、なんであんたここにいるんだ?」


 明日の臨時狩りの為に道具屋に買い物に来たのだけど何故かセイルさんじゃなくてこの前捕まえたスリの女性が笑顔で応対していた。


 僕が混乱していると奥の方からセイルさんが出てきた。


「なんだぁ? ちゃんと仕事しろよ…ってヤスオじゃねぇか。あぁ、そういやこいつ突き出したのお前等だったな」


「あ、セイルさんこんにちはです。明日の為の用意をと思ってポーションとか買い足しに来たんですよ。で…なんで彼女がここに…?」


「あぁ、こいつは犯罪者だからな、罪滅ぼし+捕まってる間の食費を自分で稼がせてる。他の店じゃ冒険者だときついからな、俺が適任だっただけだ。スリ程度とはいえ冒険者に対する罰としちゃ妥当な所だ」


 タダ飯食らわせる程自警団は優しく無いと言う事か、うんよく分かる。


「こ、このおっさん厳しいのなんのって…もう足がガクガクなのよ」


「さっさと接客しろゴルァ!!」


「あいあいさー!! という訳で改めていらっしゃいませっ!! オススメは塩です!! 塩買おうぜ塩っ!! てか、何でこんなに塩あるのよ」


 そこは気にしてはいけない部分だ店名からして俺の塩だし。


「塩はこの前買ったからいらないとして…」


「買ったんだ、どれ位?」


「……1トン」


 あの時の僕はきっとどうかしていたのだと思う。何故あんなに買ってしまったんだろうか…あぁ、スリの人が【こいつおかしい】って目で見てる…安心してくれ、僕もそう思ってるんだ。


 ちなみに塩は個人倉庫にしまってあるが…あれを使い切る時は果たして来るんだろうか……どれだけ食べても一人じゃ1トンは無理です。


「とりあえずポーションあるかな?」


 目的はHPとMPの回復ポーションだ。今回のパーティで回復魔法を使えるのは僕しか居ないから、緊急の時のMPポーションは絶対いる。カノンさ…カノンはかなり強そうに見えたけど、道具を用意して悪い事はないはずだ。


「はーい、ポーションですね。HPとMPどっち御入用です? 割れやすいから気をつけて下さい」


「うーん…もう油断はしたくないし…両方共2個ずつ買うよ。流石に高いけど命には替えられないし」


「あんたの口から死ぬとかってあんまり似合わないわね。なんか冒険者って感じしないし。はい、こちらになります。4つで30万Rになります。丁度お預かりします。はぁ、やっぱ金もってるなぁ……」


 30万R渡すと羨ましそうにお札を見てる、こいつも冒険者なんだから頑張れば稼げるだろうになぁ。ポーションを袋に入れてもらいそれを持ってきたリュックに入れておく。この中にはポーションが割れない様に布を詰め込んでいるので早々割れたりしない。ポーションって基本ガラス瓶だからこういう時困るよな…一応瓶自体に補強魔法みたいなのがかかってるらしいからそんな簡単には壊れないらしいんだけど……


「弱いのは認めるさ、実際まだまだだし。なんせつい先日死ぬ一歩手前だったから。オッターさんが助けてくれなかったらハウンドの餌だったよ」


 僕が今ここにいるのはあの時オッターさんが居てくれたお陰だ。僕もいつかはあんな立派な冒険者になりたい、ほんと尊敬する人が沢山増えていくな。今の所悪人みたいなのは目の前のスリ少女しかいないし。


 と言っても、この町から違う場所に行けばそういう訳にも行かないんだよな…悪人とかにはそこそこの頻度で遭遇するって言ってたからなぁ。


「……はぁ!? 何勝手に死にかけてるのよっ! あんたにはまだ恩も返してないんだから勝手に死ぬなっ! 私が恩を返し終わってから死になさいよっ!」


 トンデモ理論で怒られる僕…うん、意味がわからん。


「なんか凄い変な理由で怒られてるんですが…いやだから、恩なんてどうでもいいって。そもそも恩なのかこれ?」


「このアホはどうでもいいとして」


「アホじゃないもん!!」


 ヒステリックに叫びながら否定する様子をガンスルーしセイルさんが話しかけてくる。


「スリなんざアホで十分だ。ヤスオよぉ、俺も少し怒ってるぞくるぁ!! 前に言ったよな無理はしねぇって。テメェはセレナを泣かせて嬉しいのかっての!!」


 セイルさんに頭ごなしに怒鳴られた。実は既にセレナちゃんには泣いて怒られている、あれほど心にクル怒られ方はなかった。本当に死んでいたらあの子の心を思いっきり傷つけていたんだ…


【や、ヤスオお兄さんの……ヤスオお兄さんの馬鹿、馬鹿…馬鹿ぁ!! そんな無茶して……! どれだけ心配したと思ってるんですかっ!! 明日は……明日はご飯抜きですからねっ! 私怒ってますからねっ!!】


 ひたすらに謝るしか出来なかった…親方は怒ってはいなかったが浅慮過ぎると注意された、そうだよな…アリアちゃんとかフィル君のどちらかでも連れて行ってたら起きなかった事故みたいなものなんだから。


「てめぇは冒険者だし、その辺自己責任なのは理解はしてらぁな。だがヤスオよぉ、知り合った以上何かあれば気になるんだよ。お前がセレナやフィル、他の奴らの事を考えるなら少し行動を考えやがれ。それも出来なきゃ冒険者なんざやめちまえや。そんときゃ、俺が物理的に引退させてやるよゴラァ!!」


 セイルさんにもいつもお世話になっている、だからこそ僕がこんな事になったのを怒ってくれているんだ。昔は親が怒ってたら五月蝿いとしか思えなかったけど、今はよく分かる。僕を心配してくれているからこうやって怒ってくれてるんだって事を。


 ティルさんにも事の顛末を話したら怒鳴られた…一時は連れ戻して云々の話になったらしい…ほんと迷惑ばかり掛けてすいません。


「肝に銘じます、今回の事は自分の油断や現状把握が出来なかったせいですし。これから最低でも仲間を募って出る事にしましたので、こんな事は起きないようにします」


「まぁ、本来俺等がとやかく言う言葉でもないんだがな。それでも心配する奴も居る事は覚えておけや。確かに冒険者なんざ何時死ぬかわかんねぇような職業だし今回の事もテメェのミスもあるが運が悪かったってのもある。それでも文句があるなら、こんな甘い町に来た事に対して言え」


「いえ、こんなに心配してもらって寧ろありがたいです。その言葉絶対に忘れません、冒険者をやる以上死ぬ目に合うかもしれないけど今回みたいな自分の浅慮で死ぬことだけはしないようにします」


 次からは基本的に誰かを募ってから狩りをする事にした、もうあんな事故は起きない様にしないとな……




 

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