19-03 【スリと魔法使いと世界の現実】 Ⅲ
全話でほぼ書ききったので此方は短いです。
後は余剰を明日投稿になります。出来る所まで毎日投稿を頑張りたいです。
―帰り道
スリを自警団に送り届け終わり今僕達は帰路についている。宿屋までの少しの距離は僕の長屋にも続いているので雑談を交えながら。
「漸く終わったわね、流石に疲れたわ」
「すいません。一応捕まえた本人ですし、聞き取りもありますんで」
「その辺はまぁ仕方ないわね、それよりヤスオさんに聞きたいのだけどなんで敬語な訳? レベルは私の方が高いとしても年齢は貴方のほうが上よ? そう畏まられるとやりにくいわ」
「あ、あー…そ、そうです…そうだよ、ね。ごめん…一回会話する口調決まると、あまり変えにくくて、気をつけ……るよ」
目の前の彼女は年齢以前に、自分よりレベルも高く自信に満ち溢れていて何より美人だ。そんな彼女に砕けた会話をするのは初対面なのもあってか無理があった。そもそもコミュ障なのだ、寧ろここまで会話出来るようになったのだから改善された方だろう。
「多少ぎこちないけどまぁいいわ。とりあえず2~3ヶ月はここに滞在する予定だから何かあれば宜しくね。ダンジョンアタックの時は誘ってもらえると嬉しいわ」
「う、うん。その時はお願いするよ。自分でも、その、出来る事があるなら手伝うから、その時言ってもらえれば。住んでる場所は…えーと、この先の分かれ道にある長屋で、普段は…えーと…武器屋で仕事してるから」
「えぇ、その時は頼りにさせてもらうわ。この町の事は私より知ってるだろうし、色々教えてもらってもいいかしら?」
「うん、えーと…具体的には何を聞きたいかな?」
この町の事は流石に色々覚えている食料はどこが安いとか青空市場の場所とかなら僕でも教えられるだろう。
「依頼掲示板が何処にあるか知りたいのだけど、知っているかしら?」
「ん、それなら町の中央にあるよ、えーと場所は」
ホープタウンの中心には噴水があり、町の憩いの場となってる。其処には様々な露店が立ち並んでて、この町の人や冒険者が店を並べてたりする。青空市場と違ってここなら町長か団長さんに許可を取れば露店を出したり出来るんだ。大体はクジとか食べ物屋とかそう言うのだけどね。
綿菓子や型抜きまであったのは驚いた…こういう娯楽は異世界にも普通にあるんだなぁ…
で、ここは町の人と冒険者が交わる交流の場で、ここで町の人や冒険者達が巨大な掲示板に依頼を貼り付けていくんだ。こういうのをまとめるギルドみたいなものは存在してない…都市に行くと似たようなものはあるけど国の管轄でギチギチらしくてろくなもんじゃないと言われてるが…
僕も何度かここで依頼を受けた事がある。ウサギの皮集めとかハウンド肉集めとかね。
依頼方式はここで好みの依頼を受け、紙に記されている場所に行って内容を聞いて仕事をこなす。終わったら報告すると言う感じだ。
「…って所かな。普段から賑わってるし、仕事にあぶれる事は無いと思うよ」
「やっぱり…珍しいわね。えぇ、有難う明日早速向かわせて貰うわね」
「どういたしまして」
面と向かってお礼を言われるのは恥ずかしくて下を向いてしまう。
するとクスクスとカノンさん、いやカノンが笑っていた。
「え、ど、どうしたのかな?」
「いいえ、ふふっ。面白い人って思っただけよ、狩りに行く時が楽しみだわ」
「あ、あはは…僕はあんまり強くないからあまり期待しないでね」
「大丈夫よ、はじめから強い人間なんて滅多に居ないわ。レベル9まで行けば中級まであと少しですもの、頑張りましょうね?」
柔和な笑顔で言うカノン。美人で性格も良いとか無敵だろうな、何が無敵だかわからないけど。
なんだか更に気恥ずかしくなって頭を掻きながら二人で歩いて行く。
「あ、僕はこっちだから」
「あら、もうここまで来たのね。早いものだわ」
分かれ道に到着しここで別れる事になる。冒険の誘いを受けたけど、本当に一緒に狩りとかをするのかな。もしそうなったら邪魔にならない様にしないと。
「それじゃそろそろ失礼するわ、またねヤスオさん」
「うん。またね。ゆっくり休んで疲労を残さないようにね、それじゃ」
「えぇ有難う。ヤスオさんもね?」
カノンを見送り、自分も長屋に戻ることにした。気がつけば夜遅い、早めに遅めの夕食を食べて寝ることにしよう。今思い出したが腕が相変わらず重い、明日に疲労が残らなければいいが…
―19話終了…20話に続く。
―リザルト
変動なし




