18-01 【幸運の後の不安】 Ⅰ
なんとかここまで来ました。お話としてはまだ序盤の大きな場所にも到達していませんが(汗 ゆっくりと暇つぶし程度に見てもらえれば嬉しいです。
pvが200,000を超えました、皆さん有難う御座います。とても嬉しいです。
モンスターの集団討伐から早くも数日が過ぎ、町は静けさを取り戻していた。戦いの後の大宴会は大賑わいで、色々な冒険者達の笑顔が印象的だった。僕は団長さん達と知り合いなのやオッターさんと行動を共にしていたので、彼等と一緒に宴会に参加したのだけど、団長さんがお酒ばかり勧めてくるのはちょっと困ってしまった。オッターさんもお酒が飲めないと言うのでフィル君を入れて3人でジュースを飲みながら楽しんでいた。
オッターさんを含め何人かの冒険者達は暫くの間ここを拠点にするらしい。同じく冒険者のアリアちゃんだが、実はこの一週間違う場所の依頼に行って居なかったそうだ。通りで姿が見えないなと思っていたけど、そういう理由なら仕方ないよな。
今日は天気も良かったのでモンスター退治ではなく剣を訓練を行っている。僕の使うメイン武器はショートソードなのでそれを使った剣の素振りをやっていた。アルスさんが町に居た時に色々効率的な鍛錬方法を教わる事が出来たのでそれをこなしていく。
こうして剣の鍛錬を続けていると、前に技を閃いた様に新しい技を覚える可能性があるらしい。そういえば色々な事を教わったな―
…………
―回想―先人の教え。
「さて、今日は白兵、特にファイターについて教えるとするか。お前は魔法も使えるけど普通に接近武器も使えるのが最大の長所だ。ならその長所を活かすべきだろう?」
とある日の午後、僕はアルスさんに連れられてフィールドに来ていた。ここで実践を交えた戦い方を教えてくれるらしい。僕はまだまだ未熟…と言うかそれ以下なので、こうしてプロ…冒険者の人に教えて貰えるというのは凄く有難い。本来なら授業料とかが必要になるはずなのに、仲間からお金なんて取らないさと笑って言われてしまった。
「ファイターってのは五種ある基本クラスの中でも一番メジャーでな。魔法の才能や弓やシーフの才能がなかったり、一定の年齢まで何もしなければ自動的にこれになる。クラスってのはさ教会で祈りを捧げて転職するって感じだ、これは生涯に1回しか出来ないし、適性がなければそのクラスにはなれない。でも、戦士の適性が無かったとしても15~20歳位までに他のクラスの転職しなければファイターになるんだ」
クラスを変えるまでは自身で確認できるステータスの部分にある【クラス】という場所に【――】と記載されるらしい。これを教会でこの職業になりたいですと神様に祈りを捧げる事で、適性があればそのクラスに変更されると言うのだけど…やはりこの辺ゲームっぽいよなぁと思う。
ちなみになんで教会かと言うと、そこが一番神様に近い場所だからって言う理由で、神聖っぽい場所なら基本何処でもいいらしい。ちなみにこの転職にお金は一切掛からないそうだ、大体のお金に困ってない人は100~500R位募金すると聞いた。なんか凄いリアルな数字で乾いた笑いが出そうになる。
「まずは軽く伝えると。ファイターは物理接近タイプ。アーチャーは物理後衛タイプ。シーフは物理中衛タイプ、アコライトが前衛~後衛魔法タイプでメイジが後衛タイプだ。この辺は上位職を目指す事で多少なりとも変わるけどな」
「メイジなのに前衛に立ったり、とかですか? 意味はなさそうですけど」
「いや、メイジが前に出て戦うってのもあるにはある。上位クラスに【ウィザードナイト】って言うクラスがあってな。名前の通り魔法を使える前衛タイプの魔法戦士だ。【魔法剣】っていう【技】と【魔法】を掛けあわせたとんでも威力の攻撃が特徴だな」
他にもアコライトの上位クラスに【パラディン】や【モンク】という攻撃と回復に秀でたクラスなどもあるらしい。そちらは【魔法剣】と似た【闘気術】なるものがあるそうだ。威力は魔法剣より低いそうだけどHP回復不能や防御力無視などのとんでも技が多数あると聞く。
「で、話をファイターに戻すが。一言でファイターって言っても勿論中身は人によって多岐に渡るな。俺はスタンダードに剣と盾を使ってて、その中でも【タンク】と呼ばれる前衛に立って皆を護り続けるタイプをやってる」
僕の様にスピードを活かした小剣や長剣タイプに槍や斧を使うタイプ、ファイターと言うのはおおまかな区切りで、細部は本当に色々あるんだな。
アルスさんが言うには僕は【速】に秀でているので【速剣術】や【双剣術】を目指すのがいいらしい、どちらも【速】に威力が依存するし、【先手】の様に一瞬だけど速さが上がる技もある、風魔法の中には一定時間【速】を上げられるものがあるので更に威力が底上げされるのだ。
「これらは慣れてきたからの話になるけどな。まずは剣と盾を使う様にしたほうがいい、初心者に行き成り応用をさせても出来る訳ないだろう」
「た、確かに…」
「敵の攻撃を落ち着いて盾で受け止め、剣を振る。これさえできりゃレベル1でもウサギなんざ余裕で倒せる。行き成りショートソードだけっていうマゾプレイでスタートしたお前なら盾の重要度が良く分かるだろ? 持つ手に衝撃は来るが、ダメージはほぼ軽減してくれるし逆に攻撃メインで盾を持たなければ、防具しか身を守る物がない。この危険さを熟知出来なきゃ前衛はあっさり死んでしまうからな」
ウサギの牙に対して盾が欲しいと何度も思ったものだ、攻撃を避けるしか無かった前の自分を思い返す…もし盾で防ぐ事が出来ればとても楽だっただろう。ハウンドの噛みつきだって盾で塞いでしまえば衝撃程度しかダメージになるものはない。
更にアルスさんが初期の武器の使い方について教えてくれる。
武器はどんなのを使ってもいい、慣れてるもの使えれば十分らしい。でも先に盾の使い方を覚えるのが生き残る最善の方法だ。相手の攻撃を受け止め、どれだけの威力か確かめれば次の攻撃に対して余裕や対策が出来る、攻撃を受けた時どうやって反撃するかという余裕も生まれる。速さに自信があるのなら回避をメインにするのもいいらしいけど、初めの内は回避にばかり目が行ってしまって他が疎かになりやすいし、魔法は殆ど避けられないそうだ。特に僕はまだ素人だから、そうなってしまえば余裕と冷静さを無くしてしまって本末転倒になってしまう。
「盾の使い方…生き残るためにはそれが一番なんですね」
「100%合ってるって訳じゃないけどな、だが攻撃ばかり育てても防御が出来なきゃ何れ死んじまう。安全対策を取ってまずは勝って生き残る事を考えるのが一番さ。んじゃ次はファイターの利点と強みを教えるぜ?」
「はいっ!!」
アルスさんの授業はまだまだ続く―




