16-01 【鍛冶師見習い兼冒険者見習い】 Ⅰ
沢山の方に見てもらえて嬉しいです、短いですが楽しんで貰えるように頑張りますね。
16話は小説オリジナル予定です。特に何かある訳ではないですが(汗
―数日後
この世界の鍛冶は地球の鍛冶と違って、スキルがある為知識さえあればどんな人でも最低限の武具は作れる。ただし、ちゃんとした技術や経験などがなければ大したものはやはり作れない。僕も鍛冶師の見習いになってまだまだ2ヶ月程度しか経っていないから、商品として作れる武器を作るのはとても大変だ。
型に銅などを流し込んで作るブロンズソードとかなら簡単に作れるかもしれないが親方が作る武器にそんな手抜きな物は存在しない、例え一番弱い武器であろうとも一つ一つ丁寧に打っていく。親方の打つ武器はどれも全部素晴らしく、耐久度も攻撃ランクも攻撃力だってとても高い。僕が作ったショートソードと親方の作ったショートソードでは基礎攻撃力からして大きく違うのだ。流石【武器防具製造:最上級】を覚えているのは伊達じゃないと言った所か。
「ヤスオよ。お主の打つ武器にはまだまだ粗さがある、これらはのスキルだけではどうにも出来ん、実際に武器を打ち、それぞれの材料の打ち方を覚え、身につけ、作れて当たり前になるまでやり続けて、漸く人並みになると知るんじゃ」
「はい!!」
「お主の持つショートソード、今の熟練では黒鉄を使うのは難しいじゃろう。今は一心不乱に鉄の武器を打てい、それらを打ち続け満足の行くものが作れた時、鋼、黒鉄とやっていくがええ」
今のショートソードの材料は鉄を使っている、武器の強化はこれを基本素材にして様々な鉱石や素材を溶かし混ぜあわせて打っていくのだけど、僕の力量では上位素材と鉄を上手く融合させる事が出来ない。この融合というのが特殊で、武器を強化する時は専門の機材を揃えて武器を一度溶かし材料に戻し出来た素材を他の素材と混ぜあわせて1から再精錬を掛ける。普通に考えれば弱い素材など打ち捨てて強い素材だけで武器を作ればいいかもしれないけど、僕はそれを絶対に行わない。
【ショートソード】をあくまでも基本に据えて、打ち直しながら武器を強化するのだ。この武器を強化し最強の剣にしてやるのがこの剣に助けられた僕が出来る恩返しだから。別の素材で新たにショートソードを作ったらそれはただの別物だ、例え多少もろくなったり普通に作るより弱くなったとしても、いつかきっと成長してこの剣を強くする…
ちなみにこの強化打ち直し、この世界ではスキルなどがあるので結構メジャーだったりする。愛用の剣に特殊な素材を混ぜあわせて強化するなんて依頼も都市などでは偶に来るらしい。
「今の調子で鍛冶を続けていけば、見習いは近いうちに卒業出来るじゃろう。だがそこからが長い、努々忘れぬようにな? 大体の鍛冶師見習いはこの時期で辞めてしまう事が多いからの」
鍛冶スキルは一朝一夕で覚えるものでもランクアップするものでもない。必要なのは諦めずに鍛冶を続ける心と鍛冶を楽しむ心だと親方は教えてくれた。
「分かりました!!」
「ほっほっ。全くお主は元気じゃのう、さて…今日の仕事はこれで終わりじゃから家で食べていくとええ」
鍛冶場は武器屋件実家から少ししか離れていないので、仕事終わりの時はよく食事に誘われる。お風呂を借りて戻る頃にはセレナちゃんが僕の分もいれた夕食を作ってくれるのだ、仕事がある日は大体ここで夕食を頂いている。
まだまだ遊びたいざかりの年齢なのに彼女は武器屋の売り子や炊事洗濯など一切の家事を取り仕切っていて、親方も頭が上がらないそうだ。自慢の孫娘だといつも言っている。僕もセレナちゃんみたいな子が妹だったら確かに鼻が高くなるしよく分かる、寧ろ僕の様なダメ人間には眩しい子だ。
「有難う御座います、親方今日もお疲れ様でした」
「うむ、汗を流しに行くかの」
鍛冶場は凄まじく暑いから汗だくなのがデフォルトだ。僕も着ているシャツを絞れる位汗を掻いている、そんな場所なのに此処は全く汗臭くない。理由は簡単で僕が【消臭】と【芳香】を使っているからだ。親方はその魔法を覚えていないので、僕が魔法を使うと喜んでくれたのが嬉しかった。どうやら僕は人に喜んでもらえるのがとても好きな様だ。
親方が先に汗を流しに行ったので、その間に自分に【浄化】と【清潔】を掛けて応急処置を施す、勿論お風呂にも入るけどそれまで汗だくなのは仕事中ならともかく平時はベタベタで気持ちが悪いから使っておけばそれがなくなるし掛けない理由が無い。親方はお風呂で汗を洗い落とすのが好きなのでいらないと言われてる。
「う……あぁ……ふぅ、よく伸びたな」
「ふふ、ヤスオさん面白い伸びでしたね」
「おっと、見られちゃったか恥ずかしいな」
伸びをしながら歩いているとセレナちゃんにバッチリ見られていた。手を口に当てて軽く苦笑している姿がとても様になっていた。
「今日も食べて行かれますよね? お風呂から上がったら直ぐに用意出来ますので楽しみにしてて下さいね?」
「うん、何時も有難うね。何かお礼しなくちゃなぁ」
「気にしないでください、一人分の料理を追加するなんて何でもないですから、食べて喜んでもらえたらそれで十分です」
こう、なんと言うか日本じゃ天然記念物レベルに感じる程の良い子だ。いや僕が見てきたこの位の子供がアレだっただけで、探せば普通にいるかもしれないが…とても話していて心が安らぐ感じがする、ほんと親方が自慢だと言う意味が改めてわかるな。
今日は清潔感漂う白いワンピースに青いエプロンを身に着けていて、それがとても似合っている。可愛い子は何を着ても似合うんだな。僕が普通に服を来たら犯罪とか言われそうだけど、てか引きこもる前に自分より年下の中学生位の女の子に何もしてないのに汚いだのキモイだの、目がセクハラだの言われて警察を呼ばれたレベルです。ちゃんと誤解はとけたけど相手は終始謝りもせずイヤミを言い続けていた、警察の人も身なりをきちんとしろだの何故か僕が責められるはめになったのは思い出したくない思い出だ…思い出しちゃったけど。
そりゃ流行の服とかは分からないけど、普通の服を着ていただけだしちゃんと風呂にも入ってた、僕が太っててイケメンじゃないからそう言われたんだろな…今も痩せてはいるけどイケメンじゃあないからガリで気持ち悪いとか言われるんだろう、後はそう言われない為にも身なりや態度に気をつけていかないと、初見で相手をいきなり全部分かる人なんてほとんど居ないだろうし、気持ち悪いと思われていた自分にも責任はあるだろう、目の前に身なりの悪い蛮族が出てきてこの人は良い人ですって言える人の方が珍しい。
相手に誠実に対応すればきっと分かってもらえるかもしれない。なんて思えるようになったのは皆に会えたお陰なんだろうな、家でニートをしてたままじゃ相手が悪いとか相手の評価は1度決めたら変わらないとか考えてたと思う。そして更に人間関係が悪化していくんだ、日々努力して人に好かれる様にならなきゃ、異世界で生きていくのは大変だ。
「……?? どうしたんですか?」
「ん? あぁ、なんでもないよ。セレナちゃんの料理楽しみだなぁ」
「ふふっ、期待していて下さいね? 今日はヤスオさんが大好きって言ってたハウンド肉を使ってますから」
「おぉ! 楽しみだなぁ」
肉はやはりハウンド肉が一番美味い、犬の肉とか普通に考えれば抵抗があるかもしれないけど、ハウンドを倒せばブロック状で出てくる肉だし、新鮮でとても美味しい、食感は牛を食べているみたいで味は鶏肉の様な感じがする。だから更に違和感無く食べられるんだろうな。
買ってきた無駄にある塩を使って現在一番美味いハウンド肉の焼き方と塩加減を勉強しているので、ハウンド肉には五月蝿い僕がここにいる。やはり肉はシンプルに塩が僕には一番あっているな、タレとか味付きも美味しいけど肉の味がわかるそのままや塩だけってのがジャスティスだと思う。
「今度僕がセレナちゃんと親方に最高のハウンド肉をごちそうするよ。まだまだ焼き加減の所で問題があるんだよね、やはり焼きつつこまめに塩を…」
「あ、あはは……」
セレナちゃんが微妙な表情をしていた……何故だろう。
2015/10/09 ご指摘を受け文章改正




