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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
40/216

14-02 【宝物の小剣と平和な町】 Ⅱ

―【ホープタウン】フィールド



 太陽は真上に輝いている、そろそろこの世界も秋らしいので風が吹くと流石に寒いが、身を引き締めるには良いだろう。


 町の門の門番さんに挨拶をして街道を逸れてモンスターがうろつくフィールドに辿り着く。町の周囲にはウサギやハウンドなどが彷徨いているので冒険者にとっては絶好の狩場と言えるだろう、奥の方にいけば更に違う種類のモンスターが居る。


 この二ヶ月の間に何度か戦ったがハウンドが可愛く思えるレベルの脅威だった。今の僕では倒せない事は無いけど、2体以上現れたら逃げるしか無い。


 ホープタウンの周囲に居るモンスターはこの6種類だ。


―ファングラビット

―ハウンド

―スモールベア

―パライズモス

―ヴァイパー

―ブラウンベアー


 この中でブラウンベアーだけは見たら逃げろと言われた。今の僕じゃ何も出来ずに殺されてしまうらしい、アルスさん達が言っていたのだから間違いはないだろう。あの人達の戦っている所を見せてもらったが、信じるに値するだけの実力だった。僕が100人居ても勝てそうにない。


(よし、行くか。直ったショートソードを試してみたいしな)


 武器はショートソード、これだけは譲れない。

 防具は防具屋さんで全て整えてある、ハードレザーという種別の革装備で僕が作ったボロ装備なんか及びも付かないレベルで軽く扱いやすい。流石に首を守るネックガードは売っていなかったので、それだけは自作で作った。これで首を狙った攻撃もそこそこ防げるだろう。


 この装備一式、全部で50万いかないで購入出来た。お金はこの前売ってもらった分のお金で余裕で間に合ったので、後は生活費として貯金している。


 鉄製の装備も一度は考えたけど、今の僕じゃ重くて使いこなせなかった。ゲームみたいに重量なんて気にせずに装備なんてのは流石に無理だったので、軽く丈夫で防御力も高い革装備で纏めている。


 鉄装備だけど、重くても防御を中心としたタンク系ならば問題ないらしい。最低限動けて皆の盾になるタイプなら、動きが遅くても防御力を考えるなら鉄の装備が良い。僕はソロで戦うし、ショートソードを使った【速剣術】を使うから、足が遅くなるのは致命的だ、どうしても鉄装備を装備したいなら【力】16位まで育てるか【リミットカッター】と言う重量を緩和できるスキルを覚えるしか無い。


 剣にレザーシールド、革鎧、早く動く為の丈夫な靴。アリーさんが僕を見て【メイジの装備じゃ無いよね】と言っていたが、そもそもメイジって言うかクラスが無いので気にしたものじゃないな。


(良い天気だなぁ。温かい時期になったら皆でピクニックとか行ってみたいかも)


 目の前に広がる広大なフィールド。空には鳥が飛んでいるし、白い雲がゆっくりと流れている。異世界に来ても太陽や雲、その他の物はあんまり変わらないんだな、そういう異世界に来たからなのか分からないけどね。

 

―!!!!!!!!!!!!!!


 ゆっくりと歩きながら、それでも警戒を忘れずに歩いていると遠くの方から聞こえてくる独特な鳴き声が聞こえてくる。前に聞いた事のある唸り声の様なヘビの鳴き声だ。直ぐに剣を抜き構えながらいつでも戦える様に準備を整える。


 この声はおそらく【ヴァイパー】だ。

 名前で大体わかると思うけど、蛇の様なモンスターでかなり強い。冒険者でも少し間違えたら殺されてしまうという、推奨レベル5~8の好戦的な相手だ。全長は3メートルを優に超え、頭部がキングコブラの様になっている。巨大なアコナンダとキングコブラが合体した感じで勿論毒も持っている凶悪なモンスターだ。


(……あっちも気づいたな…!! ………来たっ!!)


「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!」


―ヴァイパーが現れた!!


 巨大な毒蛇が鎌首をもたげ舌を伸ばしながら威嚇してくる。

思わず気圧されそうになるが、こいつは前に一回倒しているんだ、そう何度も何度も怯えてなんて居られない。


 回りには他のモンスターは見当たらず、ここにいるのはヴァイパー1体だけ、それならば全力を出しきればこいつには勝てる―!

 

「勝たせて貰うぞ。僕は強くならなくちゃ行けないんだ………【先手】!」


―【開幕】 ヤスオの【先手】発動!!

―【最速行動】付与 このタイミングのみ【速】+5!


 久方ぶりに感じるこの疾走感、こいつと前に戦った時は魔法と槍だった。槍に至っては全く効果が無かったけど、この剣なら…このショートソードなら!!


「おおおおおおおっ! 【蓮華】!!」


―ヤスオの攻撃!! 【蓮華】発動!!

―ヴァイパーに中ダメージ!!


 【蓮華】の一撃がヴァイパーの胴部をハンマーの様に叩きつける。そのまま押し切るように振り切ると肉を切り裂く感触が手に伝わった。


 剣の一撃は綺麗に決まり、浅くない切り傷をヴァイパーに与える。痛みで暴れだすヴァイパー、全身をまるで鞭の様にしならせ僕に叩きつけようとしてくる。あんなの直撃すれば防具があろうとなかろうと身体の骨なんて簡単に砕かれてしまう。


―ヴァイパーの攻撃!!

―【割り込み】!! ヤスオは【風壁】を唱えた!!

―盾で身を守っている! ヤスオに中ダメージ!! ………毒抵抗!!


 咄嗟に張った防御魔法と盾のお陰で大分威力が下がったがそれでも全ての衝撃は防ぎきれず、僕の身体が面白いように吹き飛ばされる。上手く着地する事も出来ず、ぎりぎり受け身を取れたがごろごろと勢いのままに転がった。ヴァイパーは追撃を掛けようと巨体からは想像出来ないスピードで這いよって来る。この程度のダメージはなれたもので、直ぐに起き上がり魔法の準備を整える。


 それにしても防具を整えて防御魔法に盾まで構えたのにここまでやられるとは。毒に侵されなかったのは不幸中の幸いだ。この世界で初めて毒に侵された時は全身が熱くなって上手く動く事が出来なくてやばかった。毒回復のポーションのお陰でその時は助かったから、今も1個は持っている。


 やはりこいつは強い、一撃を受ければあっという間にピンチだ。でもだからこそ、勝てれば成長出来るかもしれない、そう思うと恐怖を塗り消すような勇気が湧いてくる。強くなっていつかはあの人達と―


「次はこいつだ!! 【風縛】!!」


 口を裂けるほど開いて飲み込もうとしてくるヴァイパーに右手を突き付ける!


―ヤスオは【風縛】を唱えた!!

―ヴァイパーは【捕縛】された!!


 目の前まで来ていたヴァイパーが風の鎖に縛り付けられ藻掻いている、こいつに対しては【風縛】が効かない時があったので不安だったけど、今回は上手く行ってくれた。さっき与えた分のダメージを考えれば次の一手でこいつは倒せる!モンスターが動けない間に一歩後ろに後退して止めの魔法を唱えた。


「前にこいつを使った時は一撃で倒せなくて焦った…毒に侵されたのは忘れてないぞ!! 【火球】!」


―ヤスオは【火球】を唱えた!!


 今尚必死にもがき続けるヴァイパー向かって火の玉を投げつける―!

 

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 火球が直撃し轟々と燃えていく、前回は開幕火球を投げつけて安心したのがまずかった、炎を纏いグズグズと燃え落ちながらも突っ込んで来て思い切り噛まれてしまった、もう癖になった防御魔法と防具がなかったら今頃腕は無かったと思う。ついでに初毒も食らってしまい死にかけてしまったのはやばかった。なので今回は全力で攻撃してある程度減らしてから万全の状態で燃やしたのだ、さぁ…どうなる?


―ヴァイパーに致命的なダメージ!! ヴァイパーを倒した!!

―ヴァイパーの皮2個獲得!

―毒の牙2個獲得!

―ヤスオには経験値は入らない!

―戦闘終了!!


 赤黒い火と煙を放ちながらヴァイパーはその場に崩折れ消えていった。ぷすぷすと煙が出ている其処にはドロップが幾つか転がっている。何とか倒せたようだ、ステータスは上がらなかったのは残念だけど、剣も魔法も通じているから頑張れば倒していけるだろう。


「つつ……まずは怪我を治すか。【治癒】!」


―ヤスオは【治癒】を唱えた!! ヤスオのHPが全回復した!


 全身を淡い光が包みこみ、先程まで感じていた痛みがあっという間に消えていく。攻撃を受けた部分ももう何の痛みも感じない。


―回復魔法【治癒】

  

 【軽癒】とは違い、本格的なアコライトの回復魔法だ、かなりのダメージも回復してくれるし、これのおかげで痕が残るような怪我も回復できている。この魔法はティルさんが餞別と言う事で【治癒魔法の書】をくれたから読んでみたら覚えられた。もしかしたら覚えられるかもしれないとはアリーさんも言っていたけどまさかメイジとアコライトの魔法両方も覚えられたのは僕も含めて全員吃驚していたな。


 【治癒】は下級魔法だけど1回使えば僕のHPの8割以上も回復してくれる。下級でこれなのだから中級になればもっと凄いんだろうな…アリーさんは使えるみたいだけどこういうのは自分で覚えた方が感動できるよと、やんわりと断られてしまった。早く強くなって覚えてみたいな。


 しかしこの2ヶ月殆どステータスが上がっていない。特に10まで上がった【知】と【魔】は全く上がらなかった。ステータス的には実力と装備さえ整っていればヴァイパーにも勝てているから、どうやらこいつらでは上がり難いのだろうと思う。ステータスキャップだったら嫌だなぁ…

 となればブラウンベアーを倒すのが目標になるけど、一人じゃ確実に無理だし流石にフィル君や団長さんを無茶振りに巻き込む訳にはいかないからまずはここで経験を積んで戦いやすくならないといけないな。

 

 熊を倒すのを当面の目標にしよう。

 その為には魔法もそうだけど剣術も鍛えていかなくては。ステータスが上がらなくても新しい技を覚えたりスキルアップしていけば、勝てないまでも最低でも立ち回れるかもしれない、そうすれば勝ち目も見えてくる筈だ。


「せっかく剣がまた使えるようになったんだ、使いこなすしか無いよな」


 なぁ、ショートソード。お前を折ってしまったダメな使い手だけど、また一緒に戦って欲しい。今度は手入れの仕方も覚えたし精錬も出来るようになった、まだまだ全てが半人前だけど、きっとお前を最高の剣にしてみせるから。


「頑張って、あの人達に追いつかないとな…目指せ魔法戦士!!」



―14話終了…15話に続く。




―リザルト

new【力】+1

new【速】+2

new【精】+1

new【体】+1

new【治癒魔法:下級】

―ステータス報告

【田中康夫】【人間:異世界人】【年齢:20】【Lv:--】

【HP】44 【(力+体)×2】

【MP】43 【知+魔+精】

【攻撃力】9+9=18 【攻撃ランク:D+】

【防御力】8+13=21 【防御ランク:D】

【力】09+00【速】10+01【知】10+00【魔】10+00

【精】09+00【器】08+00【体】08+00【運】05+00

■所持スキル

【カードスロット:4】【サバイバル:下級】

【鑑定:下級】【解読:下級】【MP上昇:最下級】

【火魔法:下級】【水魔法:最下級】【風魔法:下級】

【土魔法:最下級】【光魔法:最下級】【治癒魔法:下級】

【剣修練:最下級】【速剣術:最下級】【槍修錬:最下級】

■装備

【平凡な】ファインショートソード

【攻撃力:9】【攻撃ランク:D+】【耐久:33/46】

レザーシールド 

【防御力:6】【防御ランク:D】【耐久:43/50】

ハードレザーアーマー 

【防御力:5】【防御ランク:D】【耐久:43/50】

ハードアームガード 

【防御力:3】【耐久:43/50】

ハードレッグガード 

【防御力:3】【耐久:43/50】

【平凡な】ネックガード 

【防御力:2】【耐久:38/45】

【小さき太陽の指輪】

【ターンごとにHP6回復】【徐々に状態異常回復】


■セットカード

【ファングラビットカード】:【速】+1 重複不可

【ハウンドカード】:【HP+10】重複可能

■攻撃技

【先手】【蓮華】

■魔法

【灯火】【浄化】【製氷】【弱風】【消臭】

【芳香】【活性】【修繕】【明光】【軽癒】

【念話】【翻訳】

【火炎】【火球】【消炎】【炎与】

【風刃】【風壁】【風縛】【風与】【風化】

【治癒】【精癒】【解毒】

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