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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
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CP-03 【邂逅する者達】

遅れていた感想返信を完了です、忙しくて返信できず申し訳ありません。

森編クライマックスです。


 

 

 こんばんは、初めましてアルスと言います。幼馴染の二人と一緒に冒険者やり始めて既に1年、適当にやって来た割にはそこそこ強くなったんじゃないかなぁと思う今日この頃です。

 勿論その間に、色々な仕事もやってきましたし、様々なモンスターも倒してきました。レッサードラゴンから命からがら逃げたのも今ではいい思い出です。もう二度と会いたくありません。そんな訳で、ある程度度胸とかはついてきたつもりなんですが。今の現状を正しく認識するにはちょっと経験が足りないかなぁと改めて思いました。


「…!? jgie9uek:wpkigopi90w!?」


 誰が予想できるでしょうか。仕事で来た人間なんて住んでる筈がないような迷いの森…と言うかダンジョンの中にどう見ても蛮族スタイルの人間が現れるなんて、いやこれが山賊とかならともかくですが、目の前の蛮族? さんはどう見ても山賊には見えないっていうか、これ、どんな確率だよ…


「しかも言葉通じてねぇし…」


 襲いかかってこられてもどうにか出来る自信はあるのですが、目の前の見た目蛮族は俺に奇襲を掛けて来た後、俺が【威圧】するとすぐに挙動不審になり最後は土下座して泣き始めました。この時点で、目の前の彼は迷いの森から出られなくなった人なんだろうなぁ、とアタリをつけたのです。

 実はそんな所の話じゃない、超とんでも話だった事に驚くことになりますが…ってそろそろサブイボ出てきた、俺の口調じゃねぇよこれ。


「【翻訳】対象は俺とアリーとティルで。あー…ハジメマシテ…?」


 んじゃ、何故こうなったかを思い出していくか…目の前の人が泣き止むまで時間がかかりそうだしな。






……





―【森の中】 ターン??


 入り口でティルが魔力をコントロールして問題無く入れるのか、すぐに出られるのかを試してる。俺は魔法は専門外だし、正直なにやってるのかさっぱりわからんのだが、アリーはふんふんとしきりに頷いてるし魔法使いなら常識なのかもしれん。俺も無駄だとしても魔法の勉強はしておくかね。ウィザードナイトやパラディンは目指してないし、俺自身【精】は高いが【知】も【魔】も足りないから目指しても仕方ないが、覚えておけば戦いの時に楽かもな。中級ダンジョンじゃモンスターも普通に中級、下手したら上級・下位使ってきやがるし、守るのも一苦労だ。


「……出入りは問題なく可能っと。二人共離れないよーに、ボクから離れたら出られないからね?」


「了解。ってか、二人共も寧ろ俺から離れるなよ? 特にティルは普通に迷子になりそうだからな。」


 戦闘時以外はお調子者であるこの自称姉は、普段はとてもぼけーっとしてる事が多いのが玉に瑕だ。口調が独特なのや見た目がちっさいから良く子供と間違えられたりしてる、俺等がほんとにガキの頃から世話になってるから、なんだかんだ言いつつティルには頭が上がらんのだがな。


「へいへい、大丈夫ですお~だ。」


「あはは、結構長い旅だったしここまで来たらもうすぐだね。早く遺体を探さないと。やっぱり虱潰しかな?」


 この森自体は不思議な事に、【ダンジョンの癖にターン数が無い】からアリーの言う様に虱潰しに探しても問題なく全箇所を探索出来るだろうな。森の規模としても対して広く無いのは目視で確認済みだ、迷いの森特有の進行の阻害もティルが入れば無効化出来る。遅くても1日あれば全て見回せる筈だ。


「モンスターもハウンドと牙ウサギだけなんだろうし、探索自体はヌルゲーだな。所でティルさんや、なんでその二種しか居ないんだ? ダンジョンにしては規模も小さいし、ターンも無いし、変わってるよな?」


 正直、ウサギやハウンドが100居ようが1000居ようが一手あれば一蹴出来る。流石にこいつらを万倒しても経験にはならないからレベルも上がらないし、無駄にHPは使う気はないけど、少し物足りないな。森の外で出会った熊の方がまだやりがいがある。


「んー、何か色々伝承があるらしいお? 大事なものを保存してる場所とか、実は聖なる場所とか。一定の強さを持つモンスターを排除してるっていうのが有力だけどね、でもここに潜れるレベルの人は逆に何もなくて帰っちゃうらしいお。」


 あー…まぁ確かに、ハウンドやウサギでレベル上げなんかしてても5~6まで行ければいいとこだしな。それならヴァイパーやスモールベアにシフトしたほうが素材効率も経験効率も良い。対策さえ取れてりゃあいつらも倒しやすい部類だからな。


「そっか…強い人はもっと稼げる場所に行くよね、宝箱なんて滅多に出ないだろうし、モンスターもそれしか居ないなら頭打ちだしね。それだけで7まで行けば凄いと思う。」


「そういう訳でこの森は未だに未開拓って訳だおね。それを調べに行って世界からさよならしてしまった人が居るって事で。それじゃそろそろ探しに行こうか! さくっと終わらせて美味しい料理でも食べに行くお~!」


「おー!」


 女性二人が帰った後の料理を考えてテンションを上げていく…こう、何というかもう少し色気があった方が良いんじゃねぇのかね? この二人は。


「んじゃ行くか。万が一があるんだし油断は禁物だからな?」


 二人が緩く「わかってる~」とか言いながら俺の後ろをついてくる。ま、戦闘中やダンジョンアタック中はこう見えて二人共隙が無いからな、一応の確認だけしてる感じだ。

 

 それにしても見事に草木しか無いな、森の中だから当たり前って言えば当たり前なんだが。ダンジョンって言うよりこれじゃ普通の森だよな。

 何にせよ俺の獲物は大剣でメインは【剛剣術】だから周囲の木も薙ぎ払っちまうし、少しは気をつけんと。


「折角のダンジョンなんだし、宝箱位出てこねぇもんかね?」


「早々ある訳ないっしょ。数ヶ月に1~2個見れれば御の字なのに、寧ろこんな下級ダンジョンじゃ見たくないお。悲しい物しか入って無さそうで。」


 ダンジョンを潜る一番の理由に宝箱の存在がある。稀にしか見つからずその中には様々な金銀財宝や強力なアイテム等が眠っている。俺達の様な冒険者がこぞって探しているシロモノだ。ただ、ダンジョンのランクによってはその辺で市販されている物しか出てこなかったりするし、高ランクダンジョンじゃ何億R(リーン)もするアイテムが何個も出て来たりする。この宝箱を巡って冒険者同士が殺し合いをするってのも多々あるんだが…俺達は今の所そういうのには遭遇してない。


「宝箱かぁ、この前見つけた宝箱は良い物入ってたよね。お陰で良い防具買えちゃったし。使いすぎて皆もれなく貧乏だけど。」


「あぁ、あれは当たりだったよな。2つで8000万、かなりの稼ぎになったもんだ。」


 俺達の様な中級クラスだと8000万はかなりでかい。3人の装備を整えるには十分な金になってくれた、生活に必要なギリギリまで使っちまったのはまぁ…泡銭と同じ感覚って事で。

 ちなみに8000万だが、下級ランクなら目が飛び出るレベルだけど、中級クラスなら頑張れば稼げる金でもある。上級…クラスチェンジした冒険者達なら数億、数十億なんて普通だったりと、色々人外魔境が広がってる。俺等もそこまで行くつもりだが、いつになるやらだな。


「ボクはユニークとかレジェンドとか見てみたいお~。レアでもそこそこの値段で売れるのもあるけどね、ほらこの前の【ドラゴンラブリュス】だっけ? あれはレアだけど3000万で売れたし。良いレジェンドとかなら夢が見れるお。うん…魔道書さえ出なければ…」


 宝箱から魔道書が出るってのはいわゆるハズレだ。あれらは魔法使いに必須の本だけど、普通に町や都市じゃ道具屋で売られてるし…正直安い。下級の時に買うと考えれば、一応マジックアイテムなので20万~50万位するが、それで終わってしまうのが切ない所だ。勿論【契約タイプ】の上位魔道書とかはそれに限った話じゃないけどな。でも、この魔道書は滅多に出ない上に、普通の魔道書はそこそこ出る。実はついこの前も出て来てティルが凹んでた。


「って、ちょっとタンマ。あそこに小さな洞窟が見える」


 喋りながらも周囲の確認は怠ってない、そんな訳で近くに小さな洞窟を見つけた。もしかしたら中で死んでいる可能性もあるし怪しい場所は全部見ていかなければな。


「一応調べてくる、アリー支援頼む。」


「了解。【ダブルブースター】【祝福】【大防壁】」


―アリーセの【ダブルブースター】! このターンのみ【支援】魔法を同時に2種唱える事が可能!

―アリーセは【祝福】を唱えた!! アルスの【力】【速】【器】が+10!

―アリーセは【大防壁】を唱えた!! アルスの【防御力】【+30】上昇。魔法軽減【15%】上昇!


「ほい追加。もってけお~。【豪炎与】」


―ティエルは【豪炎与】を唱えた!!

―アルスの武器に【火属性】が付与された! 攻撃力【+15】!!


「おいおい、過剰だっての。」


「油断はするなよ?(キリッ」


 ドヤ顔しながら俺の真似をするこの愚姉、後で覚えてろよ? ご飯食べてる最中に変な顔して盛大に吐かせてやるからな。俺の恐ろしさを改めて知るがいい。


「んじゃ、さくっと行ってくる。10分位だって来なかったら見に来てくれ。」


「気をつけてね?」


 アリーの言葉に左手を上げて洞窟に向かう。木々を掻き分け進んでいくとどう見ても人の手が掛かって居るのが確認出来た。近場には焚き火の跡、昔ここに居た人間がなんて言うには新しすぎる。火は消えているがこの燃え方や灰を見るからに今日まで火がついていた筈だ。

 それに洞窟の入り口もよく見ると手入れされている上に、洞窟の奥からは微かにだが魚や肉の匂いがする。これはもしかして…森の中でまだ生きている可能性が…ダンジョンから出られないのだとしたら可能性はある。もしそうなら助けてやらないとな。


 俺が洞窟の入口に手を掛けたその瞬間―!

…感じるのは粗雑な弱々しい殺気と魔法の気配!!


―??の奇襲!! 半成功!!

―??は【風縛】を唱えた!!


「くっ!? 【風縛】だと!? はあああああああああっ!!」


―アルスは抵抗!! 【捕縛】を打ち破った!!


「誰だ!! 姿を見せろ!! この剣の錆にしてやろうか!? 【強大威圧】!!」


―アルスの攻撃!! 【強大威圧】発動!!

―クリティカルヒット!! ??は【恐慌】【スタン】した!

―さらにMPが4割減少!!


「あ…あぁぁ…あぁぁぁ…あぅ…」


「やっぱり人間…って、やり過ぎた…ば、蛮族のヒトデスカ…?」


 目の前にはボロボロの間に合わせで作った様な防具?? みたいな物を装備して、これまた自作っぽい槍をその場に落として怯えている子供が居た。いや、よく見ると髭も生えてるし、15~17歳位かもしれないが、かなり背が小さい…ティルより小さいんじゃなかろうか…


 とまぁ、これが目の前の蛮族っぽい人に出会った経緯だ―




2015/09/28 ご指摘を受け別視点での題名を変更です

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