10-01 【微かな光明】 Ⅰ
この時点までまだ一人…滅多に無いんじゃないでしょうか(汗
もう少し、もう少しです(多分
―翌朝 【ヤスオの隠れ家】
―【粗悪な】ファングスピア【25/25】を作成した
―【粗悪な】ファングスピア【28/28】を作成した
―【粗悪な】レザーアーマー【23/23】を作成した
―【粗悪な】レザーアーマー【25/25】を作成した
―【粗悪な】アームガード【20/20】を作成した
―【粗悪な】アームガード【20/20】を作成した
―【粗悪な】レッグガード【27/27】を作成した
―【粗悪な】レッグガード【23/23】を作成した
―【粗悪な】レッグガード【26/26】を作成した
「作るも作ったり防具と武器の数々…気がついたら朝過ぎてましたとかどれだけ集中してたんだ僕は。」
目の前に大量に置かれている武器と防具達。あれからひたすらに武具作成を続けていたら楽しくなってきて、気がつけば空が白くっていうか既に昼近くっぽかった。昔から僕は楽しいことは辞められずにずーっとやる癖があるからその所為だな。素材もほとんど残ってない、と言うか材料が無くなって漸く気がついたのだ。この無駄な集中力戦闘で活かせないもんだろうか。
両手を広げて思い切り伸びをする、この全身が伸びる感覚が気持ちいい。とりあえずこれで必要な分の武具は揃ったし暫くはモンスター退治や訓練に専念出来る、食料集めは魚の他にたまにいる小動物とハウンドの肉でどうにかなるからそこまで焦る必要はない。ただどうにもここ数日は野菜や甘いものが食べたくなってきた、栄養素が足りないのかもしれない。草か…【鑑定】も下級に上がっているし食べられる草も判別出来るといいな。
「はふ…寝転がると気持ちいいな。」
地面に敷いた皮の上に寝転がる。毛皮のふさふさ感が疲労と眠気でふらふらしている身体に丁度いい。これらの生活で使う皮は流石に残している。
「今頃疲労感と眠気が…あ、ふらふらする…あー。少し休んでそれから食料集めと探索に行こう…だめだ、眠くてふらふらする。」
地面でごろごろしながら今回の装備で使った素材の事を考える。モンスターが落す皮は剥がなくても手に入るし、何より腐らないのが助かる。小さな小動物を捕まえた時ナイフで剥ぎ取ってみたが、所々破けてしまい使い物にならなかったので倒せばほぼ9割以上手に入る素材は有難い存在だ。
今はこうなんというか蛮族みたいな格好になっているが、いつかはちゃんとした革鎧を作りたいもんだ、自分で作った防具に身を包み、盾とあのショートソードを持つ自分…なんかちんちくりんな変なのしか想像出来ないけど、立派な戦士って感じがする。
森の外に出てからはきっと他のモンスターが居る筈だ。今の装備で勝てるモンスターが律儀に出て来てくれるとは限らない。それ所か巨大熊とか巨大蜘蛛、色んなモンスターが居る可能性の方が高い。自分に倒せるモンスターばかりならいいけど、その巨大熊とかに襲われたら冷静でいられる自信がないな…
もし村や町を見つけたら、そう言う基礎情報や常識などを学ばないとけないな、その辺疎かにすれば其処から追い出されてしまうかもしれない。そうなったら森を出て人里を探す意味が消えてしまう。現代…日本での感覚のままで居たらとんでもない事になりそうだ。この辺NAISEIとか出来るチート主人公ってどうやってるんだろうな。って気にしたもんじゃないか、そう言うのは出来る人がやればいいさ、僕みたいな頭の悪い奴じゃ無理だしね。
「……ぁ…落ちそう…少し休ん…で……今日は奥ま………」
そろそろ本格的に意識が落ちてきた。入り口は塞いであるし、今は休ませてもらおう。起きたら今日も探索が待っている…
……………
―数時間後 【迷いの森出口前】
開いた口が塞がらないというのはこう言う事を言うんだろうか。
川で食料集めを終えてから約1時間程度、その1時間で森の出口を見つけてしまった件について…マジですか…洞窟からあんまり離れてなかった場所に出口があったのだ。【魔】がまた上がったお陰でモヤがかなり薄くなってたので普通に進んだらここについてしまった。今まで必死に探索してたのにどうやらモヤの所為で辺りをぐるぐる回っていただけらしい…勿論、出口が見つかったのは大発見だ、喜びのままに飛び跳ねたって良い位だが……
僕は森の出口に手を翳す―
―【魔】が適正値を満たしていない! 魔力が干渉を阻んだ!
―ここから先に移動することが出来ない!
目の前に見えない壁があるみたいでここから先には指一本通り抜けられなかった。宝箱や魔法書もそうだけど、見えない壁とかいい加減に理不尽過ぎると思う。
「だからファンタジーは!! これだからファンタジーはっ!」
このやるせなさを見えない壁に叩きつける。とりあえず石を投げてみたらすり抜けた。槍で突いてみたらゴムを突いたみたいに弾かれる。なんという理不尽…つまりこれは【運】と【魔】が足りたからここまで来れたって事で、ここから抜け出すための【運】はクリアしているけど【魔】はまだ足りないって事だろう。後は【魔】を上げていけば良いとして…白骨死体の人自分より【運】も【魔】も足りなかったんだろうか…人の事言えるステータスじゃないのは分かってるけどね。
「……森の外…か……結構普通の場所だなぁ。村とかは遠そうだ。」
こみ上げてくる気持ちをそのままに僕は馬鹿みたいに進めない先にある草原を見つめた。言葉に出来ない、良くわからないごちゃごちゃとした感情が溢れだしてくる。森の外は歩きやすそうな草原で周囲には沢山の花が咲いているし、近くには動物やウサギも見えた。太陽の光が辺りを照らして草露に反射してキラキラと輝いて見える。
その草原をもう少し見ていたくてその場に座り込んだ。
「ゴールは見つけた。後は僕が頑張るだけ…か。」
とても美しい草原…そういえば地球でこんな場所を見た事は稀にTVで見る世界の神秘特集とか位だったな。ゲームやアニメじゃメジャーな場所だけど自分が住んでいた場所には流石にこんな広大な自然はなかった。少し遠出すればきっと合ったんだろうけど、僕にとって世界は自分の部屋だけだったから。
小学校の時から虐められて、中~高校でもそれは変わらなかった。両親は引き篭もった僕を何とか更正させようと頑張ってくれたのに、そんな想いを煩わしいって叫んで台無しにしてしまったんだ…ひねくれて、あきらめて、自分の好きなモノしか認めないで、そりゃ、こんなダメな人間になるのも当然だ。
虐めの理由はなんでもない、ただ【運が悪かった】それだけだ。そして自分はやりかえす勇気もなく、ただ我慢するしか出来なかった。立ち向かえば、相談すれば…きっとどうにかなったんだろう。でも、その立ち向かう勇気が自分にはなかっただけだ。それを免罪符に閉じ篭ったんだ、自分を正当化して…後はそのまま年だけをとって、自他共認めるレベルのダメ人間が出来上がった。
今では人の目を見て会話する事もできなくなってしまった。相手が怖い何かされるかもしれない、殴られるかもしれない、嫌な事を言ってくるかもしれないと恐怖に怯えて。話しかけてきてくれる両親には部屋の中から怒鳴る事しか出来なかった。本当に僕は馬鹿だったんだなぁ。
「もし…もし帰れたら、僕は変われるかな…? 変わりたいなぁ、今の僕なら少しはマシになれるかな…今なら多分、人間は怖くないと思う。あんな虐めに負けないと思う。それよりなによりモンスターの方が何十倍も怖かったから。でも、上手く人と話せるかは分からない…な。はは、情けねぇ。」
空が青く、とても綺麗だった。
今まで死ぬような目にあってきた、つらい目にあってきた。泣き叫んできた。でも、空はとても青くて、凄く綺麗で。【空を見てたら辛い事なんて忘れてしまう】その言葉が何となく理解できた気がした。
帰れないかもしれない…いや、帰れないだろう。だから精一杯死ぬ時まで頑張ろう。せめて、自分は頑張って死んだんだって、両親に胸張って言えるように。さぁ、そろそろ行こう、センチな気分なんて僕には似合わない。出口は見えた、あの果てが無いと思っていたゴールに手が届いたんだ。後は我武者羅に走り抜けるだけ。ゆっくりと立ち上がって僕は再び草原を見る…
「出るんだ。ここからきっと。 さぁ、やるぞおおおおおおおっ!!」
気合を入れ直し、自分は再び森の中に戻る。
やる事は既に決まった、後は先のゴールの為に全力を出していく。叫び過ぎて噎せたり、その直後にハウンドに見つかって慌てて戦闘に入ったのは自分らしくまぬけだなぁと思ってしまった。あぁ、ちゃんと戦闘には勝てた事を報告しておきます。
……………
―ハウンドを倒した
―ファングラビット2体を倒した
―ハウンド2体を倒した
―ハウンド2体から逃げ出したが逃げきれず中ダメージ。逃走した。
―干し肉を1個消費
―ファングラビットを倒した
―ハウンドを倒した
―ファングラビット2体を倒した
―暗くなってきたので自動的に帰宅した。
―ダメージは問題なく回復した。
■バトルリザルト
―【粗悪な】ファングスピア【6/24】
―【粗悪な】レザーアーマー【6/26】
―【粗悪な】アームガード【7/23】
―【粗悪な】レッグガード【11/30】
―【粗悪な】ネックガード【16/20】
―ファングラビットの長牙を4個獲得
―ファングラビッドの毛皮を5個獲得
―ハウンドの毛皮を4個獲得
―ハウンドの肉を6個獲得
―ポーション(良品)を2個獲得
―石(未鑑定)を1個獲得
―ヤスオの【力】が1上がった
―ヤスオの【速】が1上がった
―ヤスオの【精】が1上がった
―ヤスオの【体】が2上がった
―【槍修練:最下級】を覚えた!
―【魔】が規定値を満たしていない為、森の外にでる事は出来ない様だ。
―とあるパーティが森を目指している…。