09-02 【身を守る物、作り上げる者】 Ⅱ
長い戦闘はダレるとかなり前に別の小説で指摘されましたので、簡易な戦闘は軽めに描写予定です。
―正面からの全力戦闘
僕の目の前で唸り声を上げてウサギが威嚇している。人間の皮膚程度容易く引き裂く理不尽に長い2本の牙が口を開く度に揺れていた。
対して僕は槍を右手で持ちいつでも対応出来る体勢で立ち向かう。武器と防具を新調した今、ウサギと真正面から戦ってどうなるかを今調べようとしていた。作った防具の性能とそれを防御魔法を用いた時の軽減率や、装備による行動阻害の程度を確かめるつもりだ。
―戦闘開始!
―ファングラビットの攻撃!
「ギイイイイイイイイイイイイイイッ!」
甲高い鳴き声を上げながら、有無を言わさず突っ込んでくるウサギ。それに対し僕は慌てずに左手を前に突き出し魔法を唱えた。
「今だ!! 【風壁】!!」
―【割り込み】! ヤスオは【風壁】を唱えた!!
目の前に現れる風のバリアが展開され、飛びかかってきたウサギの攻撃を大きく緩和する。この魔法では全ての衝撃を無効化する事は出来ないのは知っている、さぁ…防具の効果はどうなる…!
―ヤスオに微小ダメージ!!
ぶつかった衝撃こそあったが、体当たりの衝撃は魔法と防具の効果がほとんどダメージになっていない、心配していた牙の攻撃も2枚の皮を重ね合わせた防具の前に止められていた。
「すげぇ…ほとんど痛くない!」
魔法の効果と防具、2つの効果が相乗効果となってウサギ程度の攻撃はほとんど無効化してくれた。これなら正面から向かっても問題なく勝てる! この際だから色々試しながら戦ってみるつもりだ。
「まずは…【風刃】!」
―ヤスオは【風刃】を唱えた!!
つきだした左手をそのままウサギに向けて魔法を放つ。風魔法【風刃】僕が覚えている魔法の中でも抜群の飛距離と良コスパの魔法だ。今の僕なら20m以上離れている相手にも風の刃を叩きつけられる。
消費MPたったの1で創りだされたとは思えない風の刃がウサギを襲う!!
―ファングラビットに大ダメージ!!
「ピギイイイイ!?」
魔法はそのままウサギに直撃し、まるで剣で斬り裂いたかの様に白い肉体を赤く染めた。威力が低いとは言っても其処は攻撃魔法、十分な威力を出してくれる。衝撃でそのままボールの様に転がっていくウサギだったが、その勢いを逆に利用して砲弾の様にまっすぐに僕向かって飛びかかってくる。
―ファングラビットの攻撃!!
―ミス! ヤスオは回避した!!
ゲームとは違いダメージを受ければ動きも鈍る、足元目掛けて突っ込む習性があるのは理解してるので簡単に回避する。攻撃パターンさえ覚えてしまえばウサギ単体程度なら最早怖くも何ともない。 ごめん嘘です、普通に怖いです。
このまま魔法だけで攻めても良いが耐久度と攻撃力が上がった槍を使っておくのも必要だろう。両手で構え隙が出来たウサギに攻撃を仕掛ける。
―ヤスオの攻撃!!
―ファングラビットに甚大なダメージ!! ファングラビットを倒した!!
―戦闘終了!
―ヤスオには経験値は入らない!!
―ファングラビットの長牙1個獲得!
―ファングラビットの毛皮1個獲得!!
自分でも拍子抜けするほどあっけなく槍がウサギの胴体を貫き倒してしまった。正面から戦ってここまで余裕で倒せたことなんて今のが初めてだ。防具と魔法…これがあるだけで僕みたいなのでもここまで行けるものなんだ。
ハウンドもウサギもこれまで何回も倒してきた。だが魔法が有るとはいえ余裕があった訳じゃない。何の問題もなく、安定してモンスターを倒せたことに何故か涙が溢れてきた。
「やった…僕でもやれるんだ。 あぁ畜生。泣いてる暇なんてないのにさぁ…」
胸の中に感じる暖かさをしまいこみ、改めて気合を入れる。これはまだ始まりなんだから、もっと戦ってステータスを上げるんだ、森を出れる様になるまでが今の目標なのだから。
「うし! 今日の目標はウサギ10体! 絶対に倒してやる!」
調子に乗ってまた滑らないように気をつけないとな、防具をつけてるとはいえ一瞬の油断が死に繋がるのだ、もうあんなミスは出来ない。ドロップを袋に詰め込み、再びモンスター退治と探索を再開した。
……………
―ヤスオは全力で戦った!!
―ファングラビットを11体倒した
―ハウンドを倒した
―暗くなってきたので自動的に帰宅した。
―バトルリザルト
―【粗悪な】ファングスピアが壊れた
―【粗悪な】レザーアーマー【17/27】
―【粗悪な】アームガード【16/24】
―【粗悪な】レッグガード【27/31】
―【粗悪な】ネックガード【19/21】
―ファングラビットの長牙を16個獲得
―ファングラビットの毛皮を10個獲得
―ハウンドの毛皮を1個獲得
―ハウンドの肉を2個獲得
―ヤスオの【力】が1上がった!
―ヤスオの【知】が1上がった!
―ヤスオの【魔】が1上がった!
―【MP上昇:最下級】を覚えた
―ランクが上がる毎に最大MPが上昇する。
―最下級:1.5倍 下級:2倍 中級:2.5倍 上級:3倍 最上級:5倍
―【隠れ家】
大した怪我も無く安定してモンスターを倒す事が出来た。なんとハウンドまでもあまりダメージを受けずに倒せたのは大きい。【風壁】と防具のコンボはとても有効だった。あれだけ倒してもステータスは3種しか上がらなかったが、必要な【魔】が上がってくれたから良しとしておこう。
ステータスもそうだけど【MP上昇】というスキルを覚えられたのが最大の成果だ、ランクによってMPが大きく上がるのは凄く助かる。今覚えているのはランク最下級だけど、それでも今のMPの1.5倍も上がるのだ。MPが足りなくて枯渇していた僕には最高のスキルです。
「しかし、示し合わせたようにHPとMPが全く同じって凄いな…攻撃力と防御力も同じだし。」
今のHPとMPは34。初期のHP10点位しか無かった事を思い出すと凄まじい急成長だ、一度や二度の攻撃なら結構耐えられる様になったし、何というか肉体的に丈夫になってきていると思う。重い石とかも休憩を取る時は入り口前に置いてたのだけど、これが結構重くて手が疲れてたが今なら簡単に動かせる。ステータスが上昇すると言うのはここまで変わるものなんだろうな。
「地球じゃあり得ないよなぁ。どういう理屈なんだか…」
そう言いながら改めて全身を見る。腕や足ががかなり引き締まってきているしオークみたいに飛び出ていた腹も【太りすぎ】から【太り気味】位にまで引っ込んでいる。この森にきてまだ2ヶ月程度しか立っていないのにここまでの急激に肉体成長は生活もあるだろうけど、【力】や【体】が上昇したお陰だろう。
外出する前にこなしている腕立てなども50回位は普通にこなせる様になってきたし、漸く人並み程度にはなれたんじゃないかと思う。後は根性とかを鍛えないとな。根性の無さはは自慢できるレベルだ…自慢してどうするんだか。
「それにしても…ハウンドの噛み付きもレッグガードと【風壁】でほとんど無効化できたし、防具作成は大成功だな。耐久度も減ってるし【修繕】を掛けておかないと。後は…折角材料も手に入ったんだから予備を沢山作っておくか。」
やっていることがなんちゃって鍛冶屋さんになってきてる気がする。この調子で技術を独学でもいいから身につけておけば、いざ弟子入りする時に役に立つかもしれない。逆に色々おかしいだろうって怒られる可能性もあるのは敢えてスルーした。
朝になるまでは結構な時間がある、これだけあればかなり防具が作れそうだ。今から腕がなる、夕食もばっちりハウンド肉を用意してるし水も補充しているので万全、超万全だ。今の僕に作成の隙はないだろう。
「完璧だ…! 今僕は防具作成の鬼になる…! 」
若干ハイになりながら防具作成を開始した、材料を使い切る勢いで作りあげようと思います。
―09話終了…10に続く
―リザルト
new【力】+1
new【知】+1
new【魔】+1
new【MP上昇:最下級】
―ステータス報告
【田中康夫】【人間:異世界人】【年齢:20】【Lv:--】
【HP】34 【(力+体)×2】
【MP】34 【知+魔+精】
【攻撃力】6+6=12 【攻撃ランク:E+】
【防御力】6+6=12 【防御ランク:E+】
【力】06+00【速】07+01【知】08+00【魔】08+00
【精】07+00【器】08+00【体】06+00【運】04+00
■所持スキル
【カードスロット:4】【サバイバル:下級】
【鑑定:下級】【解読:下級】【MP上昇:最下級】
【火魔法:下級】【水魔法:最下級】【風魔法:下級】
【土魔法:最下級】【光魔法:最下級】【治癒魔法:最下級】
【剣修練:最下級】【速剣術:最下級】
■装備
【粗悪な】【ファングスピア】※沢山代目
【攻撃力:6】【攻撃ランク:E+】【耐久:21/24】
【粗悪な】レザーアーマー
【防御力:3】【防御ランク:E+】【耐久:26/26】
【粗悪な】アームガード
【防御力:1】【耐久:23/23】
【粗悪な】レッグガード
【防御力:1】【耐久:30/30】
【粗悪な】ネックガード
【防御力:1】【耐久:19/21】
【ショートソード】※現在破損
【攻撃力:7】【攻撃ランク:D+】【耐久:00/40】
■セットカード
【ファングラビットカード】:【速】+1 重複不可
【ハウンドカード】:【HP+10】重複可能
■攻撃技
【先手】【蓮華】
■魔法
【灯火】【浄化】【製氷】【弱風】【消臭】
【芳香】【活性】【修繕】【明光】【軽癒】
【火炎】【火球】
【風刃】【風壁】【風縛】




