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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
21/216

CP-01 【異世界の冒険者達】

別の場所からの話になります。

此方は主人公の視点が入らないので基本三人称での地の文進行となります。

ご了承下さい。

―【アーナスの町】


 町長が冒険者嫌いで有名な町であるアーナスの門の外。

其処に3人の冒険者が居た―


 全身を白を基調とするプレートアーマーで身を包んでいる男性。背中に括りつけてある同じく白く自身の1.5倍はありそうな盾が特徴的だ。

 兜は今は被っておらず多少くすんだ金色の短い髪に精悍な顔つきが見て取れる。自信に満ち溢れた表情が見ている者を魅了するほどだ。


「迷いの森ね。本当に大丈夫なのか?」


「モチのロンだお。ちゃあんと調べてからじゃなければそんな所いけないっしょ。問題なく出入り可能。強いて問題を上げるとしたら、中で【帰還の羽】や【帰還】【転移】は意味が無いって所かな。」 


 口調が特徴的な小柄な女性が自信満々に告げる。光に反射し輝いている銀髪を縦ロールにしている可憐な女性だ。こう見えても彼等の中では最年長なのだが見た目は20所か15~17歳程度にしか見えないほど可愛らしい。

 黒をメインし首元のネクタイの様な物と肩から袖の部分が真紅のドレス型マジックローブに身を包み、小型の魔法の杖をクルクルと回している姿は、大人というよりも可愛らしい少女に見える。二人との身長差を考えると更に顕著だ、この中で一番歳上なのだが。


 今回の依頼は彼女自身が吟味し選んできた物なので調査は万全だ。

 目的地である【迷いの森】についても必要な情報などは全て掴んであると彼女は言いながら説明を続ける。


「今回の依頼は500万R(リーン)だし、結構美味しい仕事だお。行きは流石に徒歩になるけど帰りはアリーの【転移】があるしさくっと終わらせようか。」


「漸く【転移】が覚えられたからねぇ、【帰還】は全然覚えられないけど。でもこれで色々な町へ一瞬で行けるようになったよ。限界は流石にあるけど。」


 アリーと呼ばれた少女が人差し指で頬を掻きながら言う。

 先ほどの女性と同じように見た目は年若く20台前半位に見える。あどけない顔立ちの中に熟練の冒険者風の雰囲気を感じさせている。傍目から見ても美女、もしくは美少女と言われる顔立ちだろう。

 アコライト特有の白のローブを身に纏い、男性と同じ金髪を肩の辺りまで伸ばしている。周囲には淡く輝く2枚の少盾が浮かんでいるのが見える。


「そいつは助かるな、これで色々な町に行くときに馬を借りたり【転移便】を使う必要がかなり減る。それじゃティル道案内頼むぜ?」


「あいあい了解ってね。それじゃ出発進行~」


 馬を借りる手も考えては居たが、これから向かう場所は森系のダンジョン、その辺に待機させたらモンスターに食われて賠償金をとられる可能性があったので取りやめにしていた。

 期日は【3ヶ月以内】なら問題無いとティル…メイジの女性が聞いていたので時間的な余裕はかなりある。ここから徒歩で向かったとしても半月はかからないだろうし、帰りはアリーの【転移】の魔法で一瞬で戻れる。

 依頼報酬500万R、探索系の依頼としては相場より若干高いがこの後の事を考えれば早々無駄遣いは出来ない様だ。


「しかしなぁ…迷いの森で消息不明になった男を探しだして欲しいって…その男性が行方不明になったのってどれ位前だったって?」


「んー、30年位前かね。流石に死んでると思うお? 白骨化してるに1票。それに依頼人の事は気にしても仕方ないって。ボク達は依頼をこなす、依頼人はハッピー。ボク等は報酬を貰って更にハッピー、ほら一石二鳥。」


「でも、行く場所は迷いの森なんでしょ? 遺品だけでも持ち帰って欲しいって言われてもさぁ…」


 ティルが受けた依頼は【迷いの森で消息不明になった男性の捜索】だ。生死は問わずで対象が持っていると思われるアイテム等をせめて遺品として持ち帰ってきて欲しいという物だった。

 微妙に胡散臭さを感じたりもしたが、依頼は依頼。冒険者が町民などに好ましく思われてないのは何年も冒険者をやってきた為嫌でも理解していた。この程度の依頼なら何の問題は無いと彼女は受けたのだ。多少懐がピンチだったというのが理由の大半を占めているが。


「なーに、今回の森の事ならボクにお任せさ。実は今から向かう迷いの森はね、【魔】と【運】が適正値なら普通に行き来可能なんだお。そして一人でも適応していれば近くに居る人も一緒に行き来できるって寸法だね。」


 レベル15のメイジである彼女は問題なく【魔】の適正値は大きく超えている。更に元々の運の高さもあり、迷いの森を通行するのに必要なステータスは整っていた。と言うより整っていないならこの依頼は受けていない。


「ティルがOK出して向かっている以上その辺は気にしてないけどな。気になるのはどうして今更そんな遺体を探しに行かなくちゃ行けないって事だ。」


「遺体を回収できたら250万、所持品を回収できたら更に250万。こういうお使い系の依頼にしてはダンジョンが絡んでる所為もあって、少しだけ依頼料が高い程度だよね。適正って言えば適正な依頼だから裏は無いと思うな。」


「依頼人の同期の研究者って言ってたし、依頼人も依頼人でどう見ても研究者でございって姿だったからね、遺体を探してるっていうより彼の所持品がメインでしょ。普通によくあるお使いイベントの認識で良いと思うお~。それに場所が迷いの森だから冒険者達も敬遠してたっぽいしね。ほいこいつが書類ね、目を通しておくよーに。」


 そう言うとティルが持っていた書類を男性―アルスに投げ渡す。それをそのままキャッチして中身を取り出し内容を確認していく。書かれているのは森に到着するまでに出会う可能性のあるモンスターや進路上にある問題など、ダンジョンのランクは中のモンスター情報について書かれていた。


―【迷いの森】 下級ダンジョン

―確認されているモンスター。は2種のみ。

―ファングラビット、ハウンド

―但しダンジョンに向かう周辺には【ブラウンベアー】が現れる可能性が高い。

―フィールドでの確認されているモンスター。

―ヴァイパー、スモールベア、パライズモス、ハウンド、ファングラビット

―途中に小さな村が2箇所ある以外に休憩所などは無し。

―村の冒険者に対する友好度は【最悪】出向く際は注意すること。


「うーん。ブラウンベアー位しか注意するもんがないな、ってかダンジョンランクが下級なのか迷いの森って。こりゃ確かにお使いだな、悪いけど二人共報酬が入ってもあまり買い物は出来ないって考えておいてくれ。」


「はいはい、分かってますよ~だ。どっちにしても装備の修繕とか買い替えとかで結構使ってるし早くお金手に入れておかないとやばいお。」


「必要最低限は全部揃えたし、徒歩でも十分間に合うように保存食も買い込んだからねぇ…懐がちょっと寒いよ。」


 冒険者はとてもお金が掛かる。下級レベルの頃は生活するにも厳しい位の稼ぎしか稼げないし、中級レベルになれば装備にお金を持っていかれる。中級レベルで妥協しお金を稼いでいれば一生楽して生活することも可能だが3人はそれをすることは無かった。


「なぁに、レベル20まで上がればクラスチェンジ出来るし、そこからボク等の時代が始まるお! その内お金なんてただの単位にしか見えなく成ること請け合い。今半ば似たようなもんだし。」


 それで金欠になってしまっているのはあえて誰も突っ込まない。突っ込めば其処から更に突かれているのが目に見えているから。


「そうだね、まだまだ先は長いけど頑張らなきゃ。」


「うんむ! この調子で頑張っていけば仲間も増えてその内ギルドも作れるかもしれんおね。いずれは大人数でダンジョンアタックとかも出来るお~。」


「ギルドかぁ…俺も男の仲間が欲しいよ。後1~2年頑張ればいけるかもな。」


 偶に臨時などで男性と組む事は何度もあったが友人の様な関係になったことがない。一緒に冒険をしている目の前の女性二人は幼なじみで小さい頃から一緒に居るが22歳になっても尚男の友人が出来なかった。

 傍目から見れば見目麗しい女性を二人連れているのだから敬遠されているのは自分でも分かっているが、それでも寂しいと彼は思っている。 


「あぁ、男だけで馬鹿騒ぎとかしたいなぁ…」


「やれやれ、目の前に美人が二人もいるのに男が欲しいなんてアルスはホモかお~?」


「うっせぇよ。ガキの頃から一緒に居るせいで全て把握してるんだから慣れてるんだよ。つぅか俺はバインバインの女の子が好みです。」


 目の前の二人は残念ながら慎ましい身体をしている。アルスの目がやや白目になりつつ下から上を覗いた後、やや大げさにため息をついた。それはもう大げさに両手を上に上げてやれやれとため息をついた。


「ティル、この馬鹿ぶちのめそう。」


「OKアリー。攻撃、回復、攻撃、回復のエンドレスで。」


「ノン! 攻撃、攻撃、回復、攻撃、攻撃、回復で。」


 二人の目は怒りの炎で燃えていた。【火炎】なんて二人の前ではマッチの火レベルだろう。自らの滅びを確信したアルスはその場にガックリと膝をつき呪詛の言葉を吐く。


「くそっ、ナイチチーズめ。やはり男が必要だよな…分散的に考えて…あぁ、同士よまだ見ぬ同士よ、俺を助けとなって…がくっ。」


「うん、ギルティ。」


 二人の蹴りが何故か倒れこんでいる馬鹿の背中を踏み潰した。鎧に身を包んでいるので鉄の感触がして踏んだ心地がわからないから二人で気が済むまでストンピングしつつ。


「誰がナイチチだって言うのさ。私はそれなりにあるんだからねっ!」


「ほほぅ、アリーさんや。私はそれなりってどういう意味かなぁ?」


「ひぃ!? やぶへびった!?」


 ぎゃーぎゃー騒いでいるこの3人、こう見えても中級クラスの冒険者だったりするのだが、別の視点から見てみればただのハーレム男と取り巻きにしか見えない。アルスの男性の友達獲得作戦はまだ達成は遠い様だ…

 14年からなる、アルスの男性の友人獲得計画は果たして成るのだろうか。


「二人共埋めてくれようぞ! 姉を怒らせた事後悔するが良いおっ、物理的に!」


 とりあえず暫くは無理そうである―




2015/09/14 ご指摘を受け加筆及び修正です

2015/09/28 ご指摘を受け別視点での題名を変更です

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