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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
204/216

44-04 【アコライト】 Ⅳ


―ホープタウン フィールド



「……ここからはじまるのです。僕等の漫才大紀行が!!」


「はじまんねーよ!?」


 とまぁ、終始こんな感じでフィールドまでやってきた僕達。

 クリオさんはアコライトと言うよりは、自分で言ったように漫才芸人っぽい所がある。先ほどからずーっとふざけてはいるが、それが不快という訳でもないし、単純に面白い人だ。着ているローブとかを見ている限りでは逆な性格をしていそうなのに、本当に不思議な人だと思う。


「打てば響く、ミキさん貴女にはツッコミの才能がありますね。可愛くて器量よしこれは垂涎モノですよ」


「やかましいわ」


「あ、あははは…とりあえずこの周囲で戦ってみましょう」


「そうですね、それでは支援行きますよ? 【邪反鎧】」



―クリオは【邪反鎧】を唱えた!!

―ヤスオ、フィル、ミキ、クリオ対象!

―物理防御点と魔法防御点が【+32】上昇!!

―【4T】持続。




 クリオさんが魔法を唱えると黒い粒子の様な物が僕達の体を覆っていく。

 黒いオーラが僕達を包み込んだが恐ろしさや気持ち悪さではなく、寧ろ安心感すら感じる。何というか…そう。


「夜…みたいな」


「おや? 分かりますか? 邪反鎧という魔法は夜の安寧の力を用いて邪悪な力を反射させるという意味があるらしいですよ」


「ふむ…なるほどね。いやそれよりも、まさか聖属性魔法じゃなくて邪属性魔法使いとはね。大体のアコライトは聖属性を選ぶものと聞くけど」


 ノーヴァ君が少し驚いた様に言う。確かに聞いた話ではアコライトは聖属性を好んで覚えるとアリーさんから聞いた事がある。

 なぜなら聖属性のアコライト魔法には【重症】を回復できる回復魔法が存在するからだ。治癒属性の回復魔法は効果こそ高いが、とあるスキルを取得して【精】をかなり高くしないと重症を回復できないが、聖属性の回復魔法は効果こそ治癒属性よりかなり低いが重症を一瞬で回復できる様になるのだ。


 僕も勿論覚えている。魔法名は【聖治癒】。

 【聖癒】という下級聖属性の回復魔法の中級だ。【聖癒】も一応重症を回復出来るのだが、その成功率はあまり期待できるものじゃない、体感3~4割がいい所だろう。だが中級魔法の【聖治癒】となれば100%重症を解除出来るので、戦闘中に安心して回復できるのが嬉しい。何せMPさえあれば数百万もするハイポーションを節約できるのが美味しい。


 とまぁそんな訳でアコライト系の人は聖属性を覚える事が多かったりする。後邪と聖じゃ、色々世間の目も違うとか。


「普通はそうでしょうね、でも僕はアコライト派生上級職の【ネクロマンサー】目指してますので」


「ネクロマンサーってなんだ? プリーストとかと何が違うんだ?」


 フィル君が聞き慣れないクラスについて聞いてくる。

 僕は小説やゲームで何度も見たことがあるからわかるが、この世界ではネクロマンサーはアコライトの派生クラスなのか…


 大体においてネクロマンサーって言えば。邪悪の代名詞。

 死者をアンデッドに変えて使役して行くという大体悪役がやる職業だと思うのだが、そのネクロマンサーをまさか人を笑わせるのが好きそうなクリオさんが目指しているのは流石に驚いた。この後の彼の説明で更に驚くのだが……


「ネクロマンサーとは死者を慰撫する職業です。前世の無念などを晴らす、もしくは恨みつらみを聞いて浄化する、そういう専門職ですね。死者の力を借りて戦うことも出来ます」


「クリオさんはネクロマンサーの正の部分を目指しているのね」


「えぇ、アコライトですからね。プリーストは生者に対し救済するクラスで、ネクロマンサーは逆に死者を救済するクラスなのです。とは言え、昨今のネクロマンサーの方は正ではなく負の方に向かう方が多い、嘆かわしい事です」


 クリオさんの話を聞く限り、アコライトの派生であるネクロマンサー自体はそんな恐ろしい職業では無いことがわかった。地球で言う宮司とか巫女、エクソシストみたいなものなんだろう。だが残念ながらその力を悪用する人の方が多いって事だ。


「僕のネクロマンサーになった後の夢は、1万体を超えるゾンビ達とタップダンスを踊ってフィーバーすることです」


「とりあえず真面目な表情でギャグを言うのはやめたらどうかしら…」


 遠い方面を見つめてキリッとした顔で、どう突っ込んだら良いかわからないセリフを吐くクリオさん。何というかここまで来ると逆に凄いと思う。


「それではさくさく行きましょうか♪ あ、さくさくと言ってもクッキーではありませんよ? もしかしたらサクサクな味わい深いクロワッサンかもしれませんからね。あ、カノンさん僕と鍋を前提に結婚しませんか?」


「そのネタはもういいっての」


 フィル君に突っ込まれ嬉しそうな表情のクリオさん。

 なんか扱い方がわかってきた気がする。


「この周辺ならブラウンベアーが単体、もしくは1~2匹雑魚を引き連れて出てくる事が多い、今の僕達ならば問題無く行けるだろう。ヤスオ、前衛は任せるよ?」


「了解、フィル君もいるし、奇襲はミキが居る限り心配してないからね、結構気楽なものさ」


「そうね……皆とても頼りになってきたわ。私も追い抜かれない様にしなくちゃ…ね?」


 そう言うカノンの表情はとても明るかった。

 僕やフィル君、ミキはこれまでずっと彼女におんぶにだっこだったから、これから頑張っていかないとな。


「まぁ、ミキ様は凄いからな♪ ツー訳でアンタ達戦闘準備っ! この先にブラウンベアーとヴァイパー居るわよっ!」


「えっ? まじかよ、この辺でこぼこしてるから解りづら…マジでいやがった」


 ミキが弓を構えて警告する。

 この辺は結構山なりになってたりするので奥の方に何かが居ても見えないのだが、そこはシーフ。あっさりと敵を見つけ出す。


「お誂え向きに良い相手ですね、それでは戦闘を始めましょうか」


 クリオさんの声の下、見えてきたモンスター向かって僕たちは走りだした。



【邪反鎧】邪属性魔法 中級魔法

消費MP:21 補助:【精×2】

【精+10(最大25)】m内の味方【運】体に効果

物理防御点と魔法防御点を+【精×2(最大+50)】する。【4T】持続。

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