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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
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SP-10 【これ以上無いほど真剣に、斜め方向に突き進め】 Ⅱ


―ヤスオ自宅


―解読成功 【時空魔法の書】【5割読破】【必要知:25】



―必要【魔】到達


―魔法取得 【時空魔法:中級】

―【停止】を覚えた

―【転移】を覚えた

―【帰還】を覚えた

―【瞬化】を覚えた

―【瞬転化】を覚えた

―【連瞬化】を覚えた


「うわぁ……」


 魔道書を読み終えた後ヤスオが引き気味に吐き出した。

 つい先日漸く手に入れる事の出来た時空魔法書を読んで魔法の勉強をして覚えた魔法の種類をログで見てつい呟いてしまったのだ。


 アコライト魔法の中でも特に覚えにくいとされる時空魔法。

 あのアリーですら【転移】の魔法は覚えているものの、【帰還】の魔法は覚えていない。それを普通に覚えてしまったのだから呆れと驚きが混ざった声が漏れても仕方ないかもしれない。


 逆に覚えやすい【重化】などの魔法や同じく覚え難いとされている【若化】や【老化】などの魔法は覚えられていないので相性と言えば相性なのだろう。


「覚え難いってアリーさんが言ってたからなぁ…まぁ、覚えたんだし良しとしておこう。これで帰還の羽も要らなくなるし、アリアちゃんに無理させる事も少なくなったな」


 時空魔法【帰還】はダンジョンや奥深い塔などから一瞬で脱出できる魔法であり、冒険者垂涎の魔法と言われている。

 ダンジョンから脱出するためのマジックアイテム【帰還の羽】が安くて50万Rなのだから重要性が分かるだろう。普通に働いていたら給料の2~3ヶ月分はこのアイテム1個で消えてなくなるのだから。


 流石に町にまで飛んだりなどは出来ないが、確実に出入り口の非戦闘区域などに飛ぶ事が出来るので、ダンジョンアタックなどで重宝される魔法である。冒険者でパーティを組む時にアコライトが必須と言うのはこれらの魔法と治癒魔法から来ている。


「転移は…【精】が10超える事に、記録できる場所が増えるのか…10ってかなりきついけど高くなると結構あちこち行けるようになるなぁ」


 覚えた魔法の使い道を考えだした時、家のドアがノックされた。

 まだ没頭しなかったのでノックに直ぐ気付くヤスオ。


「はーい、今開けまーす!! あ、ティルさん! おはようございます!」


 バッチリとドリル…ではなく縦ロールを決めたティルが遊びに来た。

 来ている服も普段の魔法のローブではなく、スッキリした感じの私服を来ている。普段の彼女の姿とは違う、冒険者ではなく一人の女性の様な出で立ちにヤスオも目をぱっちりと開けて見つめてしまう。


「やっほーヤスオ。暇だから遊びにきたお~」


 舌っ足らずな語尾は相変わらず特徴的だが、それも彼女の味だろう。

 直ぐに彼女を中にいれてお茶を用意し始める。


「いらっしゃいです、今お茶用意しますね。あれ? アルスさんやアリーさんは一緒に来てないんですか?」


「ん? あの二人はデートだお、デート。うむ、出来る姉は頑張るアリーを笑顔で見送るのであった」


「あはは、アリーさん頑張ってますね」


「から回ってるけどねぇ」


 アリーやティルの話を聞いて来た事もあり、アリーがアルスを好いている事は既に知っている。それとなく応援はしているのだが、どうにも距離が近すぎたのか今一先に進めていないらしい。


 ティルにとっては生意気ざかりだが、可愛い弟と妹の様な存在なので上手く行くことを願っている。


「お待たせしました、どうぞ」


「ん、ありがとね~。おぉっ!? 美味しいじゃないか! 匂いも良いお~♪」


「エスタさんに貰ったんです、今お気に入りのお茶なんですよ」


 お陰で最近はジュースを飲もうと思わないヤスオである。


「ほうほう……お? これは時空の魔道書だおね【転移】か【帰還】覚えたかい? もしそうなら遊びに来れるね」


「あ、さっき両方共覚えました」


「なにそれ凄い!? うむ、流石自慢の弟だ!!」


「僕も驚きましたけど、なんかもう今更感が…」


 漆黒の鎧マンに変身したり成長システムが違ったりと、最近何が起きてもそういうものなんだと悟りの境地に到達しているヤスオ。止めはおそらく【やすおアタック】とかの所為であろう。


「しっかし、ヤスオもたくましくなったもんだ。あの泣いてばかりいた頃からもうすぐ半年近く立つんだもんなぁ、そりゃ変わるか」


「少しずつ強くなってきてますよっ!! もう少しで皆と一緒にダンジョンにも行けるかもしれないです!!」


 ぐっと拳を握りしめ力こぶを見せる。

 鍛えあげて来た身体は立派な成人男性のそれになっていた。まだ多少ぽっちゃりしているのはご愛嬌だろう。


「お、言ったなぁ。その時はばんばん頼りにするかんね? 頑張ってくれお~♪」


「任せといて下さい!! って、そうだ、ちょっと待っててください」


「ほいほい」


 ふと何かを思い出し部屋の隅に置いてある宝箱型の収納箱を開ける。

 この中には様々なアイテム等をしまってあるのだ。そこから包装された小さな箱を取り出しティルの居るテーブルの上に置く。


「これ、ティルさんにプレゼントなんです。出来れば早く渡したかったんですが、どうもごたごたしてて」


「ぉお……あ、開けてもいいかお?」


「はい、どうぞ」


 ヤスオからプレゼントを貰い面白い程わたわたしているティル。

 人に色々プレゼントをする事があっても、こうやって相手から貰う滅多にない、と言うかちゃんと心が篭ったプレゼントなどアルスとアリー位しかくれたことが無い。下心満載な男達色々持ってきた事もあったが、それらは全て断っているので、ティルにしてみればいきなりのサプライズで、少々ドキドキしていたりする。


 丁寧に包装された小箱、赤いリボンがアクセントになっており中々に洒落ている。ヤスオからもらった事もあり、どうにも開けるのが勿体無く感じたが、意を決して丁寧に包装を開けていく。中の箱も燃えるような赤色をしている、感触からしてどうやら革を鞣した高級品の様だ。


 どことなく指輪を入れたような箱にも見え少し鼓動が高なっていく。ゆっくりと開けると中には。


「香水…?」


 中に入っていたものは小さな紅い小瓶。見るだけでもとても可愛らしいものだった。


「ティルさんには何が似合うかなーって考えて、香水なんて良いんじゃないかなぁなんて、思ったんです。センスの欠片も無いんですが、良ければ貰ってもらえますか?」


「…………ばぁ~か、似合わないっての。まったくキザなんだから、さ。うん、大事にさせてもらうお。ありがとヤスオ」


 小瓶を箱に仕舞い壊れ物を扱うように大事にその場に置いた。

 ヤスオからは見えなかったが、少しだけ顔が赤くなっていて気づかせないように少しだけそっぽを向いて。


(プレゼントだけで顔を赤くなるなんて、安いなぁ…ボクは)


「…? どうしたんですか?」


「なーんでもないお♪ ふふん、柄にも無いことするからお姉ちゃん少し吃驚したじゃないか。よし、プレゼントもらったお返しだお。ボクとのんびりデートでもするかっ!!」  


「了解です! お伴します!!」


「いよーし! 此処は仲良く手でも繋ぐかっ!! 仲良し姉弟の登場だおっ♪」


 いつもの調子を取り戻してヤスオを連れ出していく、ティル。

 ヤスオにはわからなかったが、その笑顔はいつも以上に嬉しそうだった。




―ティルの信頼度が大きく上昇

―ティルのシークレットスキル判明! 【ヘキサグラムマジック】



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