表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
20/216

06-01 【自らの意思で戦え】 Ⅰ

沢山のブックマークや評価、感想有難うございます。

頑張る気力が湧いてきます。


森編ももう少しで後半です。

ヤスオ君はどうなるのでしょうか。

―2日後 【近くの川】


 風邪は一日休んだお陰で大体良くなってくれた。だけど治ったばかりで直ぐ動くのは危険なので更に一日身体を休める事にし、基礎体力を付けるために隠れ家の中でずっと腕立てや背筋など思いつく限りの運動をこなしていた。

 流石にこれだけ動いていれば喉が渇く…こればかりはどうしようも無いので槍を持って数回ほど水を飲みに行ったけど、運良くモンスターに出会わずに済んだ。これも【運】が高くなったお陰かもしれない、何はともあれ2日も身体を休めたお陰で身体はすっかり元気になった。今日からは槍と魔法の練習をしようと思い、いつもの川に来ている。


 今槍は持っておらず近場に置いてある。まずは覚えたての火魔法の訓練を始める予定だ。つい先日覚えたばかりの炎の魔法…どれほどの威力、範囲があるのかを調べないと安心して使う事は出来ない。下手に広範囲過ぎて森が燃えてしまったら色々詰むから安定して使える様にならないと。


「すぅ……はぁ……利き手の指先に精神を集中…」


 魔法の使い方は覚えた時に頭の中にいつも出ているメッセージを読んで覚えた。一応火魔法の書にも同じ事が書かれていたので、間違ってはいないと思う。自分の右手首を左手で固定し対象に向かって狙いを付ける。目標は川の中、ここなら火が燃え移る心配は無い―


「…【火炎】!!」


―ヤスオは【火炎】を唱えた!!


 身体から魔法を使った時特有の虚脱感を感じた瞬間、まるで映画などで出てくる火炎放射器の様な凄まじさで火が川に向かって突き刺さる! 轟々と唸りを上げて放たれる初めての攻撃魔法は、凄いと言うより恐ろしさを感じてしまった。


 何せこの魔法は【下級】魔法なのだ。つまりこの上には最低でも中級と上級の魔法が存在する…この魔法の時点で火炎放射器から放つ火より確実に強いだろう火の勢いなのだから、想像するだけで震えてくる。もしモンスターがこの魔法を使ってきたらもれなく焼死体…というか消し炭も残らなそうだ。


 時間にして3~5秒程度で指先から放たれていた火は消え去っていく。川の水に叩きつけられていた火も間も置かずに消滅した後、それを確認し改めて大きく息を吐いた。


「は…ぁ……はぁ…はぁ…何あれ…何…火炎っていうよりあれじゃ猛火だよ。

僕の【魔】であれだけならちゃんとしたメイジって人が使ったらどうなるんだ? 僕が使ってもウサギやハウンドなら焼き殺せそうなのに。」


 何度も何度も深呼吸をし冷静さを取り戻す。この魔法で分かった事が幾つかあるからまとめていこう。


1:射程内の全体を焼くというより、着弾点の対象に火を纏わせ焼いていく。


2:射程は結構短く【魔+5】mで【最大20m】までの射程がある。


3:指先の炎で自分が熱さを感じたり火傷する事はない。


4:怖い


 4が重要だ、とても重要だ。これを怖がらずに使ったら間違いなく死ぬ。使う時は広い場所を見つけ細心の注意を払って使うしか無い。一応延焼しなければ魔法の火は数秒で消えるので、燃え広がる前に消える事を祈ろう。

 この森の中には偶に地面に草も何も生えていない土の地面の広場があるから使うならそういう場所に固定されると思う。


「ここが森の中じゃなかったら凄い助かる魔法なんだけどなぁ…一応直ぐ消えるから場所を考えれば使える、後はこの魔法狙った場所以外には広がらないから制御さえ出来れば火事が起こる可能性は減らせるな…」


 指先から伸びる火の太さは実は其処まで大きくはない。大体野球ボール程度の太さ…? 位だろうか。着弾地点の火はかなり大きいけど燃え移る可能性は其処まで高くないと思う、着弾地点は狙った対象のみを焼くみたいだから周りに燃えやすい木とかが無ければ使えるはずだ。


 心配なのは僕が戦闘中冷静さを失った時だろう、あたりかまわず魔法を使えば森が焼けてしまう、森から出られない以上火事が発生すればどうなるかなんて目に見えているけど、焦りやすい僕がそれをその土壇場で思い出せるかだ…やはり精神鍛錬は行わないといけないな、何をどうすれば精神鍛錬になるのかが微妙に分からないが…。


「これは次の【火球】もとんでもなさそうだ…威力的にはこっちのほうが高いみたいだし…」


 続いてもう一つの魔法【火球】の試し撃ちを行う。さっきの【火炎】で魔法の恐ろしさは嫌というほど理解した。生活魔法とは違う、相手を攻撃…殺すための魔法、攻撃魔法…何度も練習して此処ぞという時に使えるようになれば生き残る事も可能だと思う。


 体勢を整え右手を目の前に突き出し手のひらを上に向ける。【火球】は手のひらに火の玉を作り出しそれを相手に向かって投げつける魔法だ。狙いは自分でつけて野球ボールなどを投げる感覚で使わないといけない。僕はノーコンだからよく練習しなくては。


「詠唱が要らないのはほんと助かるな。戦闘中に一人でブツブツと呪文なんて唱えてる暇なんてない。すぅ……よし! 【火球】!!」


―ヤスオは【火球】を唱えた!!


 魔法を唱えた瞬間、手のひらにバスケットボール大の火の玉が浮かび上がった。熱さなどは感じないし、手のひら数センチ上に火球は浮いている。手を動かすと火の玉もそれに続いて移動した。どういう理屈なのかは【ファンタジーだから】でもういいと思う、わからないんだからどうしようもない。


 狙いはさっきと同じく川の上、其処目掛けて火球を軽く投げつけた。

ゆっくり投げた火球は、手のひらを離れると行き成りとんでもないスピードで川の上に着弾し、周囲を焼きつくす様な火柱を上げた―!!

 さっきの【火炎】が起こした火すら焚き火程度にしか見えないレベルの豪炎を川の上なのに上げ続けている。


 やや暫く…10~15秒ほど過ぎた辺りで業火は何もなかったかの様に綺麗さっぱり消えてしまった。威力や範囲がでか過ぎる、まさかそれらが高すぎて使いづらくなるなんて考えもしなかった。

 威力や範囲が大きくて困ることは本来はない、多くの敵を巻き込んで一瞬で倒してくれるなら寧ろ有難いほどだけど、森の中では流石に困ってしまう。


「【火球】…これはハウンドでも確実に倒せるな。上手く使える場所を考えないと…魔法の制御出来るかどうか試してみよう。このままじゃ強すぎて使い道がないよ、折角覚えた攻撃魔法で確実にウサギ達を倒せる手段なんだから使えるようにならないと。」


 MPにはもう少し余裕がある、火力と射程範囲などがまだ安定している【火炎】の練習と制御から初めていこう。これを主力に出来れば槍の消費も抑えられるし、モンスターを倒すペースも確実に早くなる筈だから。


 意思も新たに僕は再び【火炎】の魔法を唱えていく。2回3回と唱えていくとMPを使い続けるとよくなる頭痛と倦怠感を感じる。【軽癒】は消費MPが高く既にこの状態には何度かなっている。

 暫く休めばMPが回復するので魔法行使を中断して少し休憩を取り、今度は槍の練習を行っていく。MPが全回復したら再び魔法の練習、休憩、槍の鍛錬、魔法の練習…とローテーションを組み鍛錬を行っていく。



―数時間後 



 練習の甲斐あって、【火炎】の範囲や大きさを僅かに調整できるようになった。魔法を使う時に下手に力まず、軽く魔法を使うという感じ…口では説明しづらいけどこれでモンスターに対して魔法を使いやすくなれたと思う。


 【火炎】は単体用の魔法で、【火球】はある程度の範囲を攻撃する魔法。消費も【火炎】が【3】に対し【火球】が【4】ほどある。僕の今のMPが【14】点なので【火炎】だけで攻めるなら【4回】は安定して使えるだろう。


「ふぅ…試しに地面に向かって魔法を使ってみたけど意外と燃えないんだな。魔法の性質なのか草木とかが濡れている所為か、どっちもかな。でもこれでウサギを倒すのには使えるな。」


 槍も魔法もこの調子で練習していけば近いうちにウサギ達と再戦も可能だ。数日程度じゃ話にならないだろうから、基礎体力を付けるのも考えて最低でも1~2週間は鍛錬に費やそう、どうせ焦っても仕方ないのだから寧ろ逆に考えてゆっくりと力をつけていけばいい。1ヶ月以上森で過ごしているお陰で、少しの休憩で身体を休める方法も何となく覚えてきたし、いい加減にこの生活にも慣れてきた。


「よし…! 明日からも頑張るか!」


 今日も帰ったら本を読んで解読のランクアップを狙わないとな。頑張ろう、自分。



2015/09/14 ご指摘を受け修正完了です。

2015/09/26 ご指摘を受け修正完了です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ