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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
191/216

42-04 【遺跡探索】

いつも閲覧有り難うございます。


感想返し完了しました。

いつもたくさんの感想や誤字指摘など有難うございます。

これからも頑張りますね。

 小部屋を後にしたヤスオ達、あらゆる場所に道が広がっているダンジョンの中をミキの先導でランダムに歩き続けていく。今の所モンスターの奇襲やトラップ、このダンジョンで脅威とも言えるスライムには遭遇しておらず些か緊張感の抜ける探索を続けていた。


「んー、なんつーか基本廊下みたいな場所でたまに開けた場所に部屋があるって感じだなぁ」


 フィルも感じていた圧迫感に耐性が付き問題無く歩いている。


「遺跡ってこんなものだと思うよ? あちこち部屋ばかりだったらみんな苦労しそだね」


「確かにマリーちゃんの言う通り、部屋ばかりだったら荒れつくされてそうだよね」


「ていうかだ、ダンジョン歩いてて思ったんだけどよ。何でこんなに荒らされてないんだ?」


 ふと疑問に思った事をカノンに投げかけるフィル。その問にカノンは直ぐに答えてくれた。


「瘴気が渦巻くダンジョン、それが原因よ。【ざわめく】で何度アタックを繰り返しても道が違ったでしょ?」


「おぉ、そういやそうだったな」


「基本的にダンジョンでは入り口と内部が直接繋がっていると言う事は無いわ。この場所もダンジョンでなくなれば小さな遺跡かもしれないの。瘴気による空間の歪化…詳しい事は解明されていないらしいけど、同じ場所を通行する確率は極めて低いわね」


「そうか…僕達がダンジョンからまっすぐに小部屋についたけど、他の人が入り口から入ってきても同じ場所じゃ無いって事か…ランダムダンジョン。ゲームにそう言うのがよくあったな。現実じゃこうなるって事か」


 軽く身震いするヤスオ。ゲームにはローグライク系と言うランダムでダンジョンが形成される物がある、彼も結構やりこんだ口で楽しいゲームシステムではあるが、それはあくまで画面越しに見たゲームの画面である。それが現実に入る度に内容が変わってしまうダンジョン、今こうして歩いている最中でもダンジョンは歪に変わり続けていると考えれば、いつそれに巻き込まれてしまうかと考えると流石に楽しんでなどはいられなかった。


 そしてダンジョンアタック等にはありがちな【地図】が無い事にも納得がいく。入る度にランダムで変わるダンジョン、それも一度として同じ空間になる事が無い場所で地図など何の役にも立たない、どれだけ長く潜り続けても一度入りなおせばそこは全く未知のダンジョンである以上、常に緊張感を感じさせる。


「変わらないのはモンスターって事か…」


「………ん………出る……モン……スター……は…固定……」


「大体ダンジョンの形式に因ってポップするモンスター等が決まってるわね。そして雑魚モンスター、強敵モンスター、ユニークモンスター、そしてボスが居る」


「強敵かっ! 腕がなるぜっ」


 口角をつり上げて笑みを零すフィル。ここ最近強い相手と戦う事が楽しくなってきていた。未だ追いつけない強さに憧れるが故の感情だろうか。

 

「ったく、ミキ様が必死に探索してるっていうのに。帰ったら晩ごはん奢りだかんねヤスオ?」


「何で僕だけ指定するのか」


「あんたアリアオロにおごれって言える?」


 純真無垢が服を来て歩いているどう見ても電波系少女にそれを言う勇気はヤスオにはなかった。


「……無理でした」


「なら消去法でヤスオになるのです、わかりましたかね?」


「いや、カノンとかフィル君とかいるだろうに?」


「まっ! この人奢りたくないからって他人を生け贄にしようとしてますよっ!」


「こんのヤロウ…」


「ふふ、仲が良いわねあの二人」


 ヤスオとミキのやり取りを見て微笑むカノン。勿論のーないではフィーバ-しているがその様子は誰にもわからない。


「仲が良いって言うか悪友って感じだよな」


「うーし! じゃっヤスオの奢りって事で!」


「くっ……仕方ない軽くパン食で」


 パン食も肉メインも100R程度しか変わらないので何でも良いのだが、なんとなく負けた気になってしまうヤスオ。

 そんなダンジョン内で和やかな雰囲気を醸し出しながら歩いていたが、廊下の突き当りにたどり着く瞬間ミキが右手を横に伸ばして全員を押し留めた。

 全員が一瞬にして気持ちを切り替え戦闘態勢を取る。アリアオロのみなんら変わった様子は見られないが杖を構えた所を見る限り戦闘態勢を取っているのだろう。ミキが後ろを振り向き左手の人差し指を唇に当て静かにしろとのジェスチャーを出しゆっくりと壁の向こうを覗き見る。



「・・・・・・・・・・」


 壁の向こうはかなり広くなっており、その中心に祭壇の様な物が設置されていた。両隣には大きな篝火が立ち、祭壇の上段には黄金色に輝く宝箱が鎮座している。しかしその宝箱へと続く階段の前には重厚な鎧に身を包み剣と鎧で武装をした騎士の様な存在が周囲を絶えず警戒し続けている。


 直ぐに顔を引っ込めて状況を伝えるミキ。


「めっちゃ豪華な宝箱あったけど、目の前の鎧騎士みたいなのが邪魔してるわ。どっちにしてもここを通るならあれに見つかりそうだけど…」


 ここは突き当りなのでこの先を進むか先程の場所に戻るかの二択しかない。進む方向と宝箱を考えれば先に進むのが妥当ではあるが、ここにいるモンスターは一番弱くてブラウンベアーと言う情報を手に入れている現状、目の前の宝箱を守っている存在がモンスターではない訳が無く、どうみてもブラウンベアーより強いのは確定だろう、それが2体も居るとなれば慎重に行かざるをえない。


「ダンジョンに良くある典型的なガーディアントラップね。あぁ言うのは一定距離以上近づかなければ、此方を敵認識してこないわ」


「そうなのか? 普通モンスターってこっち見かけたら襲い掛かってくるだろ?」


「いや…僕も前に似たようなのを見たことがあるよ」


 ヤスオが思い出したのは森の中で宝箱を守っていたと思われるウサギ達。今回の鎧騎士もそれと同じならば近づかない限りは安心だと思っている。


「あ、でもそれなら…」


 マリーが手をぽんと叩いて妙案を思い付き、それを説明し始めた。


「ここから攻撃出来たら近づく前に大ダメージとか与えられたり倒せたりするんじゃ…? カノンさんもアリアちゃんも、そしてヤスオさんも私も遠距離攻撃できますし!」


「………中級……魔法…使い……3……弓……確か……に……」


「なるほどな、俺とミキは射程の問題や威力が無いから無理でもカノン達ならあの強力な魔法があるし、行けるかもしれねぇ」


「倒せなくても、流石に中級魔法3連続に弓の連続攻撃が当たれば撃破近くは持っていけるね。どちらにしてもここのモンスターを倒しに来てるんだから、寧ろ練習台みたいなものか」


「えぇ、やってみる価値はあるわ。倒せればこれから先の討伐が明るくなるし、倒せなければ、この後の戦い次第で次以降の戦いで戦術を使っていける」


 確定して先制が取れる状況ならそれを利用しない手は無いと戦う方向で意思をまとめて行く。


「なら、念には念を入れておこう。トランスブーストを切って威力を高めるよ」


「うおっ? 開幕それかよ」


「しょっぱなから躓いてたら、この後の戦いに不安残しそうだしね」


「違いないな。うし! 倒しきれなくても安心してくれ! もし残ってたら俺がバシっと決めてやるよ!」


 ヤスオの背中をパンっと叩き笑うフィル。

 そんな彼の激励を受けて同じく笑い、戦闘の準備を始めて行く―





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