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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
19/216

05-03 【死と病気と恐怖 そして火】 Ⅲ

PVが50000を超えました、沢山の方の閲覧本当に有難うございます。

頑張って書き上げていきますね、仕事や時間の都合上1話を区切って投下しています。出来る限り1日1話をモチベーションに頑張っていますのでどうかご理解の程を宜しくお願い致します。


ステータス及びリザルトは必要でしょうか?

必要なければ次回からは削除する予定です。

―翌日 早朝


 この日は雨が降っていた―


 雨の日は大変だ、表の焚き火が使えない以上いつもより警戒をしなくてはならないし仮眠をとるのも難しい、入り口周りに石や土を固めて堤防っぽくしているので、雨が洞窟の内部に入る事はあまりない。とは言え完璧に雨水を遮断出来る訳じゃないので必死に内部にも堤防っぽいものを作っている。


 モンスターが雨の日も盛んに動いているのかは探索をしてみないと分からないとしても、流石に全身ずぶ濡れの状態で戦いたくは無い。それでなくても沢山動くのに整地もされてない森の中じゃ移動時に転ぶだろうし、そもそも雨で濡れた身体の方が心配だ。


「…今日は黙って中で訓練してようかな…水を飲みに行くのが大変だなぁ。」


 朝食用の干した魚を食べ軽く準備運動を始める。何だかいつもより身体が重く感じたけど構わず槍の特訓を開始した。


 ただ、何故か今日に限って槍が重く感じてしまう、何回か突きの練習をしただけで息が切れるし、どうにも身体がだるく熱っぽい感じがした。


「もしかして風邪引いたのかもしれない…どうしよう。薬なんて持ってないぞ…」


 急いで特訓をやめて焚き火の側に近寄る。

 いざ風邪を引いたと理解すると頭が痛くなり寒気を感じ始めた、こんな状態で雨の中水を飲みに行くなんてのは自殺行為、今日はどれだけ喉が乾いてもガマンしないといけない。頭がボーっとしはじめ、寒気に続き呼吸が荒くなる。多分体力の低下と少し雨にあたってしまった所為かもしれない。


「寒い…焚き火を強くしなきゃ…寒いよ、頭が痛いよ…」


 息苦しさと寒さが僕から冷静さと勇気を奪っていく。


 泣き言なんて言っても仕方ないのに自分で自分を抑える事が出来ない。誰も居ないことは自分でも分かっている、それでもこの寂寥感を耐えるのは凄く辛かった。元々僕は気が強い方ではない寧ろ家に籠る位の根暗な人間なのだ。だけど死にたくないから気力を振り絞って生きているし、怪我も何とか耐えてこれた。

 でも、地球ではたかが風邪と言われてしまう様な物でも誰もいない所でたった一人で耐えるのは精神的に辛かった。初めてこの世界に来た時の恐怖と寂しさが再び自分を襲うのを感じる。


「げほっ…げほっ! 咳まで出てきた…このままじゃモンスターに見つかったら殺される、嫌だ…死にたくない…父さん、母さん…助けてくれよ…薬が欲しいんだよ…」


 グラグラする頭を抱え泣き言を言う自分…それでも具合の悪さにかこつけて眠る訳にはいかない。外の焚き火が無い今、今ここにある焚き火が消えてしまえばモンスターに襲われる可能性がある。外はどうしようもない以上入り口を内部に合った大きめの石などで塞ぎウサギの皮を上手く貼り付けてやり過ごすしか無い。何せここには食料などが置いてある、もしハウンドが通りかかった時に寝ていればそのまま人生終了だ。


「火の側で…げほっ! 早く治さないと…畜生、普段気にもしてないけど煙がきついっげほっ! げほっ!」


 寒さを耐え凌ぐ為に残っているハウンドの毛皮やウサギの毛皮は背中から被せる。これだけでもかなり寒さを和らげる事が出来る。後はこのまま待機して身体を休ませていけば風邪も落ち着いてくれる筈だろう。


 子供の頃は風邪を引けば学校を休める、休んでいる間にゲームやTVなどを自由に見てられる、そんな感じにしか考えていなかった。いつでも風邪を引いていたいなんて馬鹿な事を考えていた…あぁ、本当に馬鹿だ。こんなもの何も嬉しくない。


「このまま…風邪が悪化したりとか、大怪我をした時にポーションが無ければ…僕もあの死体の様に……」


 脳裏に浮かび上がるのはあの洞窟にあった白骨死体。背中がブルリと震え僕は両手で自分を抱きしめる…普段考えずにいた事が弱気になっている所為で嫌でも考えてしまう。頭をブンブンと振りネガティブな考えを振り払い、近くに置いてある生活魔法の書を手に取った。


 今読んでも魔法を覚える事はないけど、せめて気分を紛らわせるために読める所まで1から読んでみようと思ったのだ。これを読んでいれば少なくとも読み終わるまではくだらない事を考えずに済むと思いながら。





―【生活魔法の書】

―この魔法書は7歳以下のお子様に決して読ませない様にお願いします。

―これらの魔法は使い方を間違えると大変危険です、

―子供が魔法を使う場合は必ず大人が側で指導して上げてください。

―この魔法書には一般家庭で主に使われる生活用の魔法を掲載してあります。

―これらの魔法は魔法の相性さえ合えばどなたでも使える様になっていますが、

―覚えらないからといって病気や身体上の問題等という物はございませんのでご安心下さい。


―目次

―01P はじめに

―02P 魔法とは?

―03P 生活魔法について

―04P 魔法を覚えてみよう

―05P~25P 初級編

―26P~40P 中級編

―41P~60P 上級編

―61P~80P 応用編

―81P あとがき


「…なんというか、こうして読むと完全に子供用な気がしてきた…生活魔法だしなぁ…子供の内から覚えるのは当然って言えば、げほっ…当然だけど…」


―生活魔法にもそれぞれ属性が存在します。

―これらは魔法使いや冒険者が使う属性魔法と同じ種類のものです。

―それゆえ、得意な属性もあれば全く使えない属性もあります。

―まずはそこを注意して魔法を習得、及び練習してみましょう。

―特に【治癒】系統の属性は使える人がとても少ないです。

―もし使えなくても気にする必要はありません。


 改めて読むと成程と感心する、やはり魔法には個人個人で相性があるようだ。

 僕は今の所火、水、土、風、治癒と覚えているし魔法の才能が多少なりともあるのかもしれない。


―【灯火】は火属性の初歩の初歩というべき魔法です。

―この魔法は発動すると指先に小さな火を灯すことが出来るようになります。

―大体蝋燭の火と同等の熱量と大きさです。

―普段料理などに使う火は火打ち石などを使いますが、

―この魔法を使えばその手間を省く事が出来ます。

―他にもランプに火をつけるなど、様々な応用が出来ますね。

―これらの生活魔法は治癒魔法を除き【魔】が1あれば使えますので、

―相性さえ合えば基本誰にでも使うことが出来ます。


「げほっ…ごほっ…あぁ、そうかこっちにはコンロとかげほっ…そう言うの無いんだな…ファンタジー世界だもんなぁ。」


―【浄化】も生活に無くてはならない魔法の一つです。

―井戸から汲む水には多少の汚れなどは存在しています。

―このままでも普通に飲むのに支障はないですが、

―体調に寄ってはお腹を壊したりすることもあるでしょう。

―1度沸かしてしまえば殺菌も出来ますが、やはり時間と手間がかかります。

―そこでこの魔法の出番となるのです。

―この魔法は自身の【魔】に応じた量の水を綺麗に浄化、清浄し

―健康的で美味しい飲み水にすることが出来るのです。

―【魔】が1しか無くても心配する必要はありません。

―【魔】1もあれば風呂桶1つ分は浄化できるのです。

―更ににこの魔法の利点はほぼどんな水でも浄化し飲める水に出来る所です。

―しかし、残念ながら毒や呪いがかけられた水などは

―浄化できませんので注意してください。


「毒や呪いがかかった水はダメ…と、げほっ……今飲んでるのは川の水だし、問題はないな…うぅ、寒い…」


―【弱風】もまた生活に便利な魔法です。

―洗濯物を乾かしたり、暑い日などに涼むなど色々な使い方があります。

―お父さんがタバコを吸っている時、煙が子供に流れないようになんて事も。

―無いなら無いで問題のない魔法ではありますが、

―覚えていると楽ちんそれが【弱風】です。


 説明が物凄く短い【弱風】に思わず笑いそうになる。

 風を起こす魔法なのだからもう少し色々使い方があるかもしれないけど、確かに生活じゃ扇風機や空気清浄機代わりにしか使えなさそうなのも確かだと思う。

僕もそれ位しか思い浮かばない。


―続いて【活性】の魔法について詳しく説明しましょう。

―今までの魔法は生活内部などで使えた魔法ですが、

―この活性は生活の外で使う魔法となります。

―よくお母さん達が家の庭に花を植えたり、

―野菜を植えて育てているご家庭も多いでしょう。

―この魔法はその土壌に使うことで、

―肥料を与えたような栄養のある土にすることが出来るのです。

―流石に大きな畑全部に使えるほどの魔法ではありませんが、

―ご家庭で小さな花壇や畑を活性化するのには十分でしょう。


 そういえば母さんが良く家庭菜園をやっていたのを覚えている。

 家で取れた野菜だからと夕飯に出され、一切手を付けずにいたのを思い出す…

折角作ってくれた野菜、きっと取れて嬉しかったんだろう。僕はそんな思いを

意味なく踏みにじってたんだな…謝りたいな…母さんが作ったサラダや料理が食べたい。この魔法を使えばきっとその家庭菜園も元気に…帰れれば…だけど。


「こうして見ると、げほっ…どの魔法も生活する上で必要な魔法なんだな。

げほっ! げほっげほっ! ごほっ! はぁ…はぁ…あー、畜生! ふぅ…ふぅ…とりあえず、生活水準はあまり高く無いのかな、井戸とかがメインみたいだし、げほっ…でも魔法でどうにか出来る、と。」


 呼吸も落ち着いたので更にページをめくる―


―【軽癒】は生活魔法の中でもっとも覚えるのが難しい魔法であり、

―人によっては全く使えない人も多いでしょう。

―何故なら、先に述べた4種の魔法は生活魔法と言われていますが、

―あくまでも【攻撃魔法】の一部なのに対し、

―この魔法は【回復魔法】の種別だからです。

―【軽癒】はその中でももっとも制限が緩く、

―魔法が得意な人なら相性によっては先の4種に加えこれも使えるでしょう。

―効果は切り傷や擦り傷を治すのがメインですが、

―ある程度の体力なども回復することが出来ます。

―しかし、消費するMPに比べ回復力がとても低いので、

―最低限の怪我の治療に使うような魔法です。


「やっぱり…攻撃魔法と回復魔法で種別が違うのか…!!」


―基本的な魔法はクラスが【メイジ】なら攻撃、阻害魔法、

―【アコライト】なら回復、支援魔法と大まかに分かれています。

―ですがこの本に掲載されている生活魔法は

―それらのクラスに影響されず覚える事が出来る魔法なのです。

―勿論、相性によっては使えない生活魔法もあるかもしれませんので

―その点はご了承ください。


―これ以降を読むためには【知】が足りない!!

―【解読】ランクアップ!!


「メイジにアコライト…つまり魔法使いに僧侶って所かな…けほっ…ってここまでしか見れ…解読がランクアップ!? げほっ! ごほっ! 叫んだ所為で喉が…! ごほっ!」


 ただ本を読んでいただけなのにまさかの【解読】がランクアップした。

 風邪を引いているのに驚きすぎて叫んでしまった、お陰で咳が止まらず2分位その場で咳き込んでしまう。


 漸く落ち着いたので深呼吸をした後【火魔法の書】を手に取る。

 そう……【解読】がランクアップした今、この本で新しい魔法を覚えられる筈なのだ。ゆっくりとページを開き…そこに書かれていた文字を理解する―!


―解読成功 【火魔法の書】【3割読破】【必要知:10】

―【火魔法】ランクアップ!

―必要【魔】到達

―魔法取得

【火炎】【火球】


「【火炎】と【火球】…名前からして攻撃魔法だ…! 風邪が治ったら試し打ちしないと、ヘタしたら森が焼けるし…ごほっ…はぁ…何か上手く行きすぎて怖いな…しっぺ返しとか来ないと良いんだけど…とりあえず注意しないとな…あんな複数と戦ったら次は生きて帰れないし…」


 どうにも風邪を引いている所為で考える事が全部ネガティブ思考に回ってしまう。折角魔法を覚えた…剣に変わって槍しか無くなった今の僕にとっては救世主の様な物なのだから、喜んでおこうと思う。


「気分転換も出来たし少し休憩しよう、そうだ、げほっ…焚き火に薪を追加しないと、うぐっ! ごほっ! ごほっ! 煙がきついなぁ…」


 煙に耐えながら火を強くしその日1日ずっと身体を休めていく。明日には治っています様にと願いながら―




―05話終了…06に続く



―リザルト

new【力】+1

new【速】+1

new【魔】+1

new【器】+2

new【体】+1

new【カードスロット:4】

new【解読:下級】

new【火魔法:下級】

―ステータス報告

【田中康夫】【人間:異世界人】【年齢:20】【Lv:--】

【HP】20 【(力+体)×2】

【MP】14 【知+魔+精】

【攻撃力】5+5=10 【攻撃ランク:E+】

【防御力】5+0=5 【防御ランク:G】

【力】05+00【速】06+01【知】04+00【魔】05+00

【精】05+00【器】07+00【体】05+00【運】03+00

■所持スキル

【カードスロット:4】【サバイバル:下級】【鑑定:下級】

【解読:下級】【火魔法:下級】【水魔法:最下級】

【風魔法:最下級】【土魔法:最下級】【治癒魔法:最下級】

【剣修練:最下級】【速剣術:最下級】

■装備

【粗悪な】【ファングスピア】

【攻撃力:5】【攻撃ランク:E+】【耐久:08/08】


【ショートソード】※現在破損

【攻撃力:7】【攻撃ランク:D+】【耐久:00/40】

■セットカード

【ファングラビットカード】:【速】+1 重複不可

■攻撃技

【先手】【蓮華】

■魔法

【灯火】【浄化】【弱風】【活性】【軽癒】

【火炎】【火球】


2015/09/11 ご指摘を受け修正完了です。

2015/09/14 ご指摘を受け修正完了です。

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