表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
188/216

42-01 【輝くブーメラン】 ※長期ダンジョンアタックパート

―青空市場




 日々賑やかな青空市場、結構な頻度で顔を出しているので色々な人と顔見知りになる事も多い。それが目的で来ている人もいるし様々な思惑がここでは溢れてるんだろう。

 

 今日も今日とてこの後向う予定のダンジョンアタックの為に使えそうな物を買いに来ていた。ポーションや必要なものは日々補充しているので時間つぶし兼、掘り出し物を探しに来ている。よく見ればちらほらと話した事がある人や、どうみてもミキが店を開いたりしているがそれ以上に人だかりが集まっている方に目がいってしまう。


「あ、ヤスオさんこんにちは」


 ふと向かおうと歩き出した時、近くから声を掛けられた。

 その方向を振り向くと、カトル君が色々なアイテムを並べて座っている。


「カトル君じゃないか、こんにちは。今日は店を出してるんだね」


「あまり大したものはないんですけどね」


 そう言って苦笑するカトル君だが、近くにはこれでもかと女性冒険者達がしきりに此方を見ている。売っているものはモンスターの素材や宝石、ハウンドなどのカードで、悪くはないがそこまで良くも無いラインナップだ。武器とかは流石においておらず素材やアイテムを売っているのだろう。


 そして回りにいる冒険者はどうみてもアイテムじゃなくてカトル君を見ている…そうだね、イケメンだもんねわかります、超わかります。


「売れ行きはどうだい?」


「正直微妙ですね、何故かこう誘われることが多いんですが……」


「うん、それ他の男性冒険者に言わないほうが良いよ? ボコボコにされるから」


「ヒ、ヒィィィ…」


 怯えるカトル君だが仕方ないと思う。近場で同じく店を出してる男性冒険者の目がこう…【リア充死すべし】と言わんばかりになってるし。


「あ、あのなんとかなりま…」


「じゃあ頑張って」


 巻き添えは受けたくありません。カトル君弱い僕を許してくれ。

 手を伸ばしてヘルプを頼む彼をスルーして僕は人だかりの方に向かって歩いて行った。頑張れ、生き残るんだカトル君。大丈夫きっと大丈夫さ。


 なんかもみくちゃにされている様な声が聞こえたが気にせずに此方も此方で女性客や男性客が多すぎて何がどうなってるのかわからない場所まで来た。旗が立っているが人が多すぎて良く見えない。ただ、キャーキャーと黄色い声や野太い男性の歓声が聞こえてくる。


「何が…? ちょっとすいません」


 周りの人に失礼して少し前に行かせてもらう。

 結構勇気がいる行動だが、モンスターの殺気を正面から食らう寄りは問題ないのでさくさくと前に進む事が出来た。


 そこには―


「いらっしゃいませ~♪ 出張防具クジでーす! なんとハズレはありません! 特賞は何とミスリルのスロット付き防具一式!!」


 何故かピンクのフリル付き水着を来て売り子をしているマリーちゃんとお母さんのエリスさんが居た……特にエリスさんは頭にフードは忘れない念の入りようで、どう見ても子供…いや立派な女性ですよ?

 マリーちゃんはかなりプロポーションが良いので、動く度に男性達が凄まじい大声を上げている。そしてそんな美貌の持ち主がそんなこと全く気にせず客引きの為に歌ったり踊ったりメガネを掛けてみたり手品を初めてみたりとなかなかにカオスっぷりを表していた。


「らっしゃーい、らっしゃーい。防具クジだよ~ハズレはないよ~、当たりはスロット付きだよ~。さぁ! マリーそこでお色気だ!! アナタはとりあえず上半身裸にして歯をきらめかせて!」


 エリスさんのその言葉に目をキュピーンと光らせたマリーちゃんが恥ずかしげも無くお色気ポーズを取るとこれまた盛大に男性がエキサイトしていく。気持ちはわかるが女性の目がしろ……いやこっちはこっちでとんでもないことになっていた。


 そこにはガッシリとした上半身を惜しげも無く披露し王様が座ってそうな椅子に優雅に座るブーメランパンツ1枚で白く輝く歯を煌めかせているエスタさんの姿があった。顔は笑っているが目は凄く死んでいるその姿はなんとも形容しがたい、そしてそんなエスタさんを見て黄色い声を上げている女性プラス何故か一部の男性、女性はともかく男性の方に突っ込んではいけないな……


「あ、あのー…」


「あ…い、いらっしゃい。スルーはして…くれないよね」


「すいません。流石にインパクトがあり過ぎて」


 ガクッと崩れ落ちる上級クラス、ウィザードナイトのエスタさんの姿が其処にあった。


「だめだなぁそこで恥ずかしさをもっちゃ。マリーを見てみなさい、その気になればこれ以上の水着だって行けるよ、商売のために身を粉にする…最高だね!!」


「だねっ!!」


 輝く笑顔で言う二人の天使…いや小悪魔が其処に居た。


「いらっしゃいヤスオ君。どうだい? 1回10万Rだけど防具クジやっていかないかい? ハズレは無いからね」


「あー……そうですね、1回だけなら」


 くじ運はあんまり良くないが、エリスさん達にはお世話になっているし1回位やっておいて損は無い。お金をマリーちゃんに渡してこの世界にも普通にあるガラガラ…正式名称は分からないがそれをゆっくりと回していく。2~3回クルクルと回すと、白い玉が1個ポトンと落ちてきた。


「あ、あはははは……ハズレですね」


 マリーちゃんが微妙な表情でこっちを見ている。【運】の数値が高くてもこういうリアルラックはそこまで関係しないんだろうなぁ。


「残念、それじゃこの布のローブを1個ね」


「有難うございます」


 ローブを貰っても流石に使い道がないので、今度防具を作る時の素材に使うことにしよう。


「どうする? もう一回やっていくかい?」


「いえ、他の場所も色々見ていきたいので」


「そうかい、それじゃまたいつでもおいで」


 3人に見送られ他の露店を色々覗きに向うことにする。途中エスタさんが女性にもみくちゃにされてたり、カトル君が凄い困った表情でオロオロしていた姿を目撃したが、僕は気にしないことにして色々見まわる事にした。この買物の後は食事を取ってからダンジョンアタックだし、英気を養わないとね。


「よし他の場所はっと」


 青空市場は今日も大盛況だ―



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ