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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
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41-02 【新たな出会いとアタック準備】 Ⅱ


 セイルさんの店を後にした後、雑談を交えながらカノンと合流しに向かっている。ちなみにカノンが一人だけ離れているのは僕達の昼食を用意してくれているかららしい。強く冷静で外から見た印象は冷徹な魔法使いと見られてしまうかもしれないが、僕達の知る彼女はそれに追加してとても仲間思いで優しい人だ。


「しっかし、周辺やダンジョンモンスターの間引き作業かぁ…町の周辺なら俺が自警団の頃結構やってたんだけどな」


 今回の依頼はモンスターの間引き作業だ。依頼名通り多種多様に居るモンスターを倒していく仕事で倒した量に因って報酬がもらえるシステムになっている。とは言え倒したモンスターを記録できるアイテムとかは存在しないので、倒した総数を調べる為に自警団メンバーが同行する事になっている。今回はマリーちゃんが監視プラス狩りの手伝いをしてくれる事になってる。


「あれ以来少しずつモンスターも沈静化してるけど、それでもまだ数は結構いるからそれを間引いちゃう依頼なんだよ。これからは掲示板に定期的に間引き依頼が貼りだされると思うからフィル君も受けてみてね」


 ケルベロス戦の後からポツポツと増えてきた依頼で、よく下級の冒険者や暇な中級の冒険者、実力に自信がある冒険者達がダンジョンアタックでこの依頼を受けている。冒険者にとってはモンスターを倒すだけでお金がもらえる仕事だからかなりの人気がある依頼の様だ。


 中級冒険者なら少し狩りをしていればお金を稼げるが、下級の冒険者は日々死に物狂いで戦って倒した素材を売って日々を凌ぐが、ハウンドやヴァイパーなどの下位でも倒せるモンスター素材はそこまで高くないので安定した生活をする為にはそれなりに倒さないと行けないが、この依頼さえ受ければモンスターを倒すだけで素材の他にお金がもらえるから、生活がとても安定するという。


 ここだけ聞いていると町や自警団が盛大に散財して冒険者を引き留めようとしていると思われそうだが、これにはちゃんと意味がある。


「自警団の人も少しずつレベルが上がってきてるみたいです、この調子なら冒険者が足りない時でもハウンドやスモールベア位なら倒しきれるかも」


「なるほどなぁ、依頼形式にして自警団員のレベルも一緒に上げるって訳か」


 フィル君が感心した様に何度も頷く。

 そう、この間引き依頼は冒険者にとっては小遣い稼ぎや生活を安定させるおいしい仕事であると同時に、付いて行く自警団員のレベル上げにもなっていた。と言うか自警団や町側からすればそっちの方がメインだ。


 今までは低レベルでもどうにかなっていたホープタウンだが、この数ヶ月で2度の大襲撃を味わった事で、警戒心を高め冒険者に頼りきらずに自分達も強くなろうと考えた末に出来たシステムらしい。詳しい所の説明は僕も流石に聞いていないので分からないが、戦える自警団の人が主に参加して倒したモンスターを調べつつ、一緒に戦ったり手伝うこともある。マリーちゃんがそんな感じだ。冒険者達も、自警団に経験値を配分する事に不満が無ければ良い稼ぎになるからドンドン依頼を受けていく、Win-Winの関係と言う奴だろうか。


「モンスターのチェックもしますけど私も一緒に戦いますね」


「ほぉ? 少しは腕を上げたかい? たまにはみっちり扱いてやらないと」


「だ、だだだだ…大丈夫でひゅよ…!?」


「うん。分かりやすいよ君は、今日は矢を使い切るつもりで居るといい」


「ひぃぃぃぃ…」


 ノーヴァ君に訓練不足について聞かれリアルぷるぷる震えているマリーちゃん。この二人は師匠と弟子に近い間柄でとても仲が良い…と思う。ノーヴァ君は何よりも思考がまずダンジョンアタックに行き着く人だから、その辺はまだ解りにくかったり。


「あっ!! そうそうカノンさんが御飯作ってくれてるんですよね!! 私楽しみです!!」


「露骨に話そらしてるなこいつ」


 駄目だミキ、そこに突っ込んではいけない。

 それにしてもカノンの料理か、とても美味しいから楽しみなんだよな。


「所でミキ、お前は作らねぇの?」


 普段から食堂に食べに行くとほぼ必ず居るから作ってなさそうだよな。


「死んでもいいなら食べろって、私は味見もしない」


「絶対に遠慮するわ、僕はまだ死にたくない」


「ん~? なんだねヤスオ君、この超かわいいミキ様の手作り料理が食べたいのかにゃ?」


 なんとも小憎らしい笑顔でにまにまと僕にまとわりつくミキ。

 軽くイラッとします。


「あ、いえ、お断りします。ハウンド肉に謝れ」


「真顔で言うなよっ!?」


「何やってんだかこの二人は…ん? ヤスオあっちから誰か近づいてくるぞ?」


「ん? あ、あの二人組は」


 談笑しながら歩いているとフィル君が此方に向かって歩いてくる二人組を見つけた。そしてその二人組はつい先日僕が出会った子達だった。


 一人は10歳に満たない位の子供で栗色の髪の毛を肩の所まで伸ばしている。僕達、いや僕を見つけて目をきらきらと輝かせている所はとてもかわいらしい。一般的な服装とは違う、白いローブの様な物を着込んでいた。


「おーい! ヤスオ~~!」


「どうもこんにちは」


 僕に向かって駆け込んで来る子を受け止める。そして直ぐさま笑顔で会えて嬉しいとか、今日はなにしてるのとかマシンガンの様に聞いてくるのが子供っぽくてとても可愛い。


「こらっ! カッツェ!! 駄目じゃないか!」


「えー……だって友達に会えたんだもん!」


「だもんじゃない! すいませんヤスオさん、うちのバカッツェが」


「馬鹿じゃないやい!!」


 お互いに気心のしれたやり取りを交わすカッツェと言う名前の子ともう一人。

 此方を見て姿勢正しく頭を下げて挨拶をする。


「こんにちは。そしてすいません邪魔をして、こっちはカッツェで俺がケーシィです、どうもはじめまして」


 ケーシィ君とカッツェちゃんに出会ったのはつい先日の事だ―






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