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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
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41-01 【新たな出会いとアタック準備】 Ⅰ 

AAで表記出来ると言うのは楽ちんです、場所や構図、見た目や誰が会話しているかとかも簡単なので。それを文章に書き起こすのは難しいですよね、日々それを痛感します。技術が…技術が欲しいです。

―この町の店屋さんはチート



「……うわぁ…」


 その場に居た全員の気持ちを代表した感じでついそんな言葉が漏れてしまった。


 今日は新しく増えた依頼を受けそのためのアイテムを皆で買いに来たのだが、何というかいつも以上にセイルさんの機嫌が良かったので聞いてみた所、どう答えていいかわからない物を自慢されていたりする。


 その名も【セイル特製塩ソード】

 セイルさんが自ら作った、塩オンリーで作ったロングソードである。素材は塩だけです、彼が言うには多種多様な塩を塩愛で鍛えに鍛え込み、武器として昇華させたとか言っております。鍛冶見習いの僕から遠慮無く言わせてもらうなら‥


「ねぇよ……」


「塩が剣になるとか…なぁ」


 いや実際問題塩ってちゃんと加工すれば固まるのは知ってるが、セイルさんが言うには武器として使えるそうだ。


「まだまだ改良の余地があってよぉ、まだ5回程度しか使えねぇんだ。それ以降は流石に砕けちまうから、その時は諦めてスープとかに使うべきだろうな。武器としても使え、食材としても使える!! これぞ塩! 塩ラーたるもの、塩の無限の可能性を引き出さなきゃならん!! まだ50本しかないから大変だぜ」


「なんでそんなのが5回も使えるんだ、とか、どうやって50本用意したんだ、とか、そもそも他に武器は持たないのか、とか言ったらダメなんだろうねきっと」


 流石のノーヴァ君もいかんともしがたい表情で呟いていた。

 

「な、なぁセイルさんよぉ、もしかしなくてもマジでそれで戦う気かよ?」


「ねぇよ……ねぇよ」


 流石のフィル君でもおずおずと下手になって聞いてしまう。その近くではミキがこれまた微妙な表情をしながら、ねぇよと呟いているがそんなの気にもせずセイルさんははっきりと自信たっぷりにこう言った。


「ったりめぇよ!! 俺の塩愛は遂にアクティブスキルにまで昇華したぜ!! その名も【ソルトパニッシャー】と【ファイナル塩ライク】だ!!」


「………おぉ…」


 塩ラーって凄いな…塩への愛だだけでなんか新しいスキル覚えちゃうのか。と言うかそんなスキル存在するのか、っていうか間違いなく個人専用のユニークスキルなんだろうな、これ。


「セイルさんって今度から【塩ル】って名前変えたほうがいいかもですねっ」


 輝くような笑顔で言う今回依頼の付き添い人になった自警団兼冒険者のマリーちゃん。今回の依頼は依頼人が町と自警団なので彼女が加わっている。僕とフィル君とミキ、そしてノーヴァ君にマリーちゃん、後から合流するカノンの合わせて6人で依頼を行うことになっている。


「うーん、魅力的な誘いだが親からもらった名前を変えるのはやめとくさ」


「てか魅力的なんだ…」


 思わず突っ込むミキ。やめておけ塩ラーという存在は僕達の考えを遥かに斜め上に凌駕している存在なのだと思う。いや、確かに塩は調味料としては基本的な存在で美味しいし、料理の主役にこそなれないが必ずと言っていいほど入っているものだ。僕が普段から食べているハウンド肉も、単純に焼くだけで十分美味しいが、其処に塩というアクセントを加える事でその魅力を2倍、いや何十倍にも膨れ上がらせる事が出来るまさしくハイパー調味料と言っても過言ではない。ここにスパイス…胡椒なども考えたが、ここはシンプルイズベスト、【ハウンド肉と塩】やはりこのコラボは譲っちゃ行けない何かだと思う。


「とは言えまだ僕もハウンド肉と塩の黄金比率ってのが掴めてないんだよな…」


「お、おーい…ヤスオ? ヤスオさんや…?」


 隣でミキが何か言っている気がするがそれよりも塩とハウンド肉の比率について考えなくては…


「わずかだけふりかけても十分だが、ふりかけ過ぎてしまうと折角のハウンド肉と塩の風味と味わいが壊れちゃうんだよなぁ、でもその一歩手前を理解することが出来れば…」


「ヤスオ、待ちな」


「!? セ、セイルさん?」


 急に肩をぽんと叩かれたので思考を中断し隣を見てみるとセイルさんが真剣な瞳で僕を見つめていた。 

 

「そうか、お前もついにそこまでの位階に到達したか…兄弟」


 ふっ、と静かに息を吐くセイルさん。その表情はどこか嬉しそうだった。


「ヤスオ…ハウンドと塩の黄金比率…それは塩ラーとしてのスタートでありゴールだ。忘れるな? どちらも不可欠であり、どちらも主役だと言う事を。そして黄金比率の答えは、お前が見つけなきゃならねぇ…こればかりは答えなんてものはお前の中にしかないんだ」


「セ、セイルさん……!! はい! 僕見つけてみせます! 最高のブレンドを!!」


 答えは僕が既に持っている…! そうか、最高のハウンド肉と塩のブレンドは僕自身が自ら探し当てないといけないんだ!!


「ねぇ、ミキ様はこれのどこから突っ込めばいいのさ?」


「やらしておけば良いんじゃねぇの? セイルさんもヤスオも塩とかハウンド肉の話になるとおかしくなるし」


「お? ハイポーションが安いね、これを買って行くかな」


「流石ノーヴァさんっ! 既に会話に参加してない!!」


 僕とセイルさんはすっかり買い物に来た事を忘れお互いに塩やハウンド肉について語り合っていった。話は延々と続き30分ほど過ぎた時点でいい加減に切れたミキに後ろから蹴っ飛ばされる事で漸く正気を取り戻したが、なんだか皆の目が異常に優しかった………



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