39-03 【やすおアタック!!(強調しつつ)】 Ⅲ
「…よし!!」
全ての魔道書を読み終える。
【知】が上がったお陰で、今まで読めなかった先の部分を大分読む事が出来た、お陰で様々な種類の中級魔法を覚える事に成功する。
―解読成功 【火魔法の書】【7割読破】【必要知:25】
―解読成功 【水魔法の書】【7割読破】【必要知:25】
―解読成功 【土魔法の書】【7割読破】【必要知:25】
―解読成功 【聖魔法の書】【7割読破】【必要知:25】
―解読成功 【治癒魔法の書】【7割読破】【必要知:25】
―解読成功 【風魔法の書】【完全読破】
―必要【魔】到達
―魔法取得
【火魔法:中級】【水魔法:中級】【風魔法:中級】【土魔法:中級】
【聖魔法:中級】【治癒魔法:中級】
「なんというか本当にびっくり箱ねヤスオさんって」
カノンが驚きと呆れが混ざった表情で僕を見ている。幾つか覚えていない魔法こそありはしたが、大体必要な中級魔法は問題なく覚える事が出来たのだ、更には中級回復魔法の【大治癒】や聖属性の回復魔法【聖治癒】も覚えられたのがやはり凄いらしい。攻撃魔法と回復魔法は特殊な魔道書で外付けで覚えない限りは普通は覚えられないからこそ、こうやって驚いているのだろうが。
チートと言えばチートなんだろうが、残念ながら魔法を沢山覚えた程度でどうにかなるほどこの世界のモンスターは弱く無いので、手数が増えた位じゃ自慢にもならないのが現状だ。なにせ、これだけ覚えてもティルさん達の足元にもまだ及ばないし。
「いやいや、適正あれば魔法使いってこんなもんじゃないの?」
シーフであるイクスさんは魔法の習得に関しては素人らしく、質問してくる。
「………魔法……に……は………相性……」
「ほいほいアリア。後はボクが言ってあげるから大丈夫だお」
一生懸命しゃべるアリアちゃんの頭をポフポフと触りティルさんが続けた。
「ボクが使ってるメインの魔法は火と闇、一応それ以外にもあるにはあるけど、良い所中級で、水魔法に至っては漸く下級って感じだお。魔法には個人やクラスに寄って大体相性があってね、火が得意でも風が苦手とか普通にある」
「私は闇が得意ね、後は邪が下級で使える位。複数の属性を使いこなすのは流石に難しいわ」
「……邪……闇……光……」
魔法には相性がある…か、今回は一応全て中級まで覚えられたが、これ以外の属性を今と同じランクで覚えられるかはまだわからないって事だな。それにしても闇魔法が得意なのが多いよな。
「ちなみに闇や光、聖と邪は魔法としては覚えにくいよ。私はアコライトだから治癒、時空に、補助オンリーで聖が使える位だね。大体の人は下位四属性を覚えるって話だよ」
「下位四属性は火、水、風、土。下位って呼ばれてるけど、別に弱くはないお~上位四属性が、光、聖、闇、邪ね。アコは治癒と時空覚えていれば十分」
「何にせよ【ヤスオだから】で良いんじゃね? 骨格から変わる鎧マンになるんだし今更じゃん」
「確かに…」
ミキの言葉に思わず頷いてしまった。
トランスブーストを使うとどうみても体型や骨格から違う漆黒の鎧騎士になるんだし、今更と言えば今更だ、覚えるんだしいいって事にしておこう。
だが、ティルさんとアルスさんはあまり良い表情はしていなかった。
「とは言え、すこーしやばい兆候でもあるお」
「だな…なぁ、ヤスオ。今回覚えて魔法の中で戦闘中で一瞬で何使えばいいか分かるか?」
アルスさんに言われてみて考えてみる、今回覚えて中級魔法の数は10じゃきかない、多種多様にある魔法の中から最適なものを選んで使えと言われたら…慣れているモンスターなら兎も角初見でそれを考えるのは…
「…いえ、流石に手数が増えすぎて、何が何やら」
沢山覚える事に浪漫を感じはするが、それを操れるかと言えば結局出来ない訳で、ゲームなら兎も角実戦で、どの魔法を使おうか悩んでたら殺されてしまうだろう。
「複数適正を持つ中級が陥りやすい状況だね。沢山の魔法を覚えすぎて、とっさに使えなくなるっていう。慣れてくれば状況に応じて戦えるけど、ここまで手数が増えるとそれまでが何をしていいか分からなくて、戸惑っちゃう。ティルも少し悩んだ時期があるよ」
「あー、なるほど。便利すぎて何使えばいいかわかんない状態になるわけね。たまに見るよ、【俺は沢山の魔法を覚えた天才】とか言って戦闘中にまごまごしてたやつ。俺みたいに特化も弱点はあるけど、選択肢多い人は多い人で難儀やね」
アリーさんの言葉に続けるイクスさん。確かに才能があったから沢山覚えられたんだろうが、それを使いこなせなかったら才能も宝の持ち腐れだろうな…これは勉強や鍛錬をして使えそうな魔法や、使わない魔法、切り札的な魔法と色々考えておかないと、その人達の二の舞いになってしまうな。やはり勉強は欠かせない。
「更に言えば、ヤスオは基本前衛がメインだしな。判断力が必要なのか…俺本気でファイターで良かったよ、んな頭使うのは俺苦手だし」
フィル君はファイターで【槍破術】オンリーだから、元々ある技を上手く使っていくだけで十分戦えるからなぁ、特化タイプはそう言う強みがあるんだろうな。
「逆に使いこなせればこれ以上頼もしい存在も居ない。その魔法をまんべんなく使いこなせたら、もう俺達と同等だ。難しい所はティルやアリーに聞くといいさ、俺は剣を教えてやるしな(エスタさんには負けられねぇ、ダチとして)」
「はいっ!!」
「……まだ……時間…あ………る……魔法……の……使う…練習……す…る」
僕の服の袖を引っ張ってアリアちゃんが勉強の続きをしようと言ってくる。何というかこう、小動物的な可愛さがあるよな彼女は。僕と1歳しか違わないんだが。
「そうだね、ティルさん達もいいですか?」
「モチのロンだおっ♪ さぁさぁ、お姉ちゃんにドンドン聞きたまへ!!」
「えぇ、頑張りましょうね」
「アコ系の魔法は私が教えてあげるからね、ビシバシいくよ!!」
今度は戦闘をイメージして、とっさにどんな魔法を使うかという鍛錬を開始する。実戦でいきなりやるには高威力や消費の激しい中級魔法は問題があるし、ミスで怪我などでもしたらあれなので、机上訓練を始める事になった。
ティルさんがとてもやりやすく、カノンの出す問題が結構難しい、アリアちゃんに至っては1ミスでとんでもない事になると、なんだかんだと一人でやるより効率が良い、さぁ、どんどんやっていこう。




