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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【2章】 ギルド結成とこれから
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39-02 【やすおアタック!!(強調しつつ)】 Ⅱ

皆さんの誤字指摘いつも助かります。

返信できる時間が無くてもうしわけありません。

 皆を出迎える為に部屋片付けやら、なにやらしている内にあっと言う間に時間が過ぎた。換気なども全て終わりこれなら人を入れても問題ない位にまで片付いているだろう。普段から結構フィル君やカトル君、ミキなどがやってくるので今更と言うのもあるにはあるが、今日来るのはアルスさん達も混ざっている、特別視し過ぎるのはよくないが、やはりここはちゃんとしておくべきだろう。


 しかし……部屋を片付けていたら武器や防具だけで一区画埋まりきっているのがなんか凄いよな。特に鎧とかはちゃんと安置して置かないと命を護るものだから疎かには出来ない。ショートソードやミスリルスピア、自作の角槍などもちゃんと立て掛ける物を買ってきて綺麗に並べてある、狩りに行く時武器が無いとか困る事はこれでない。


 隣りにある棚は回復のポーションや探索中に使うアイテム、保存食を入れている棚だ。特にポーションは沢山使うので、棚一つじゃ足りなくて近い内にナッツさんの店でもう一つ買っておこうと思ってたりする。そうなると更に部屋が狭くなるのでそこが悩み所だ。長屋…小さなアパートみたいな物で、そこまで部屋が広い訳じゃないから、気をつけないと。


「本棚よし……しかし見事に鍛冶の本や食材の本、モンスターや冒険者に関する本しかねぇなぁ……地球に変えればエロ本だけの本棚がすげぇ威圧感放ってたのに…」


 僕もまだまだ20歳、そういうのに興味が無い訳ではない。と言うかそんな枯れる程人生達観はしていない…が、どうにもそっちより強くなる方、鍛冶をする方に頭が向いてしまう。エロ人間過ぎるよりは数万倍マシと言う事にしておこう。あ、ちなみにこの世界漫画とか普通にありました。アニメタッチな絵も普通にあったりする。つまり大人な本もある訳で、ファッツさんが僕とフィル君にしきりに勧めてきたんだよな……あわよくば自分が見る為に。


 自分で買うとカリーナさんに笑顔で破かれるそうだ…素手で……あの人メイジだよなぁ…でも観てみたいな、笑顔で本を破り捨てるカリーナさんとそれを見ているファッツさんの構図。多分修羅場ですね、わかります。


「お茶は良いのを買ってあるし、お湯も湧いてるからいつでもお茶を出せるな。湯のみはちゃんとある…てか、何故に20個も買ってしまったのやら、今回は助かったけど」


 ジュースとかもあるが、最近はお茶が特に好きだ。

 少し前はお茶を飲む位なら飲み物なんて飲まねぇ! なんて阿呆な事言っていたが、お茶の味を覚えるとほのかな甘みとか苦味が強く感じられてくる様になった。これがなんというか美味いんだ。食堂でナナさんが入れてくれるお茶には到底勝てないが、僕も入れ方を練習している、先生はセレナちゃんです。


「うし……そろそろ。 っと来たかな?」


 ドアが数回ノックされた。

 直ぐに向かってドアを開けると、そこにはアルスさんが来てくれていた。


「よっ、朝から悪いな邪魔して」


「いえ! 待ってましたので、えーと…」


 後ろを見るとアリーさんにティルさん、イクスさんの姿も見える。そしてその後ろにはフィル君にアリアちゃん、カノンにミキまで揃っていた。


「あれ? 皆で来たんですか?」


 と言うかミキは何しに来たんだろう…?

 勉強嫌いとか言っていたのに、フィル君もいるし一緒に遊びに来たんだろうか。


「とりあえず中にどうぞ」


「お邪魔します、と。なかなか綺麗に片付いてるな、あっちのテーブルも洒落てるし。俺じゃこんなに綺麗にするのは無理だから羨ましいよ」


 アルスさんが興味を示したテーブル、お客さんが結構来ると言う事もあって、少しはおしゃれな家具があった方が良いと、ナッツさんに言われて購入したものだ。ダイニングテーブルタイプで、木の縁に特殊なガラスの様な素材をはめ込んだタイプで下を見ることが出来る、見方に寄ってはガラス部分が青や緑色に光るという何というか凄いテーブルだ。お値段、39800Rとしっかりした作りの割にはとてもお安いお値段でした。


「そりゃあアルスはズボラだしねぇ。やっほー、今日も元気かお?」


「おはようヤスオさんお邪魔させてもらうわね。今日は頑張って魔法を覚えましょう?」


「……勉強………す…る……」


 今日一緒に勉強するのはティルさん、カノン、アリアちゃん、治癒も覚えられると言う事でアリーさんも色々教えてくれるらしい、この布陣…凄まじいよな、4人共中級クラスの冒険者なのだから、下級冒険者の僕からすれば値千金な授業になりそうだ。


「ミキ様参上~、さぁヤスオ、私にお菓子を献上しなさい♪」


「うん、お前何しに来たよ?」


「冷やかし兼家探しに決まってるでしょ、さぁ、エロ本はあるかなぁ?」


 そう言うやいなや本棚から漁り始めるミキ。


「そりゃあ、ヤスオだって男なんだしそういうのは…持ってなさそうだよなぁ」


「言うなよ、早くから冷めるじゃん」


「いやだって、常に仕事か訓練か、狩りかダンジョンアタックのどれかしかしてないし…とりあえず邪魔するぜ、俺も暇なんだよ」


 なんだろうこの逆方向の信頼度は…僕も男だしそういうのは、いや買ってないけどね。とりあえず二人は自由にさせておく事にした。


「ヤスオだしねぇ(あはは……アルスは持ってるけどね)」


「そして俺もいます。後で妻が美味しい料理持ってきてくれるよ、勉強疲れにはいいっしょ?」


「おぉ! 有難うございます! とりあえず適当に座ってて下さい、今お茶持ってきますから!」


 大人数だ、ここはやはり美味しいお茶を作らねばならないな。

 早速、湧いているお湯でお茶を入れる僕。皆は開始時間までのんびりと雑談しているようだ。あまり待たせすぎないようにしなければ。


「しっかし、ヤスオももう中級魔法かぁ。数ヶ月前はまだまだだったのに、成長が早いお。こりゃすぐに僕達のパーティに入れそうだね」


「流石にまだ攻撃力も防御力も足りないわ。暫くは魔法の慣れもあるし低ランクで練習したほうがいいと思うけど?」


「むむっ……た、確かにそうだけど」


 ティルさんとカノンが何か話している様だ、様子を少し見ている限りでは押されているのはティルさん方だが、何を話しているのだろう? こういうのって地味に気になるんだよなぁ…いじめられっ子だった弊害か、どうにも意識過剰になりやすいから、微妙に気になってしまう。この辺も何とか治したい。


「やれやれ、人気者は大変だなヤスオは。(こりゃ丁度いいかも知れんな)」


「ティルは浮かれ過ぎ。ヤスオも皆もまだまだなりたてなんだからね? でもまぁ…中級魔法を覚えられる所まで来たから気持ちはわかるけどね」


「お待たせしました。良いお茶の葉貰ったんですよ、上手く淹れられたかはわからないですが」


 皆にお茶菓子とお茶を配り終え、椅子に座り少しの間雑談に浸っていく。

 そんな中ミキが、些細な質問を投げかけてきた。


「そーいや質問。あんたら魔法使いって本読めば魔法使えるんでしょ? 私も生活魔法は少し持ってるけど。あぁいう本って回し読み出来ないの?」


「おっ、そういえばそうだよな。ヤスオも持ってるし、カノンやアリアも魔道書って持ってるんだろ? 全員で共有すれば良いんじゃねぇの?」


 そういえば確かに……

 だがその質問にティルさんが非効率だと答えた。


「出来るけど、そういうのは取得率が悪くてね」


「……ん………そう……」


「へっ? どういう意味?」


「魔道書は基本的に【はじめに読んだ】子専用の魔道書になるんだお。だからそれ以外の子が他人の魔導書を読んでも覚えにくい、全く覚えられないなんてのがザラなんだお。あんまり知られてないから、中古で魔道書も売られる時があるけどね、初心者の子だとそれを自分の才能の限界と勘違いしちゃう子も居るから、魔道書は基本新品を買うこと、OK?」


 そうだったのか…青空市場でも魔道書の中古本ってのはめったになかったし、どれもこれも10分の1の値段とかで置いてたのを見た事があったけど、そう言う訳だったんだな。あ、ちなみにその時は買い物はしてなかった、逆に助かったのかもしれないな。


「だから中古の魔法書は買い叩かれます。安い魔法書が更に安く…畜生、畜生…」


 あ、ティルさんがまたマイナススパイラル状態に…

 宝箱から魔道書オンリー、僕なら結構嬉しいが、中身が数千万とかになる宝箱から高くても50万位で買える魔導書が出てきたら、たしかに落ち込むよな。


「なんで? 本は本じゃん? 書いてるものは変わってないんだし、同じでしょ?」


「そういうものって覚えておくといいよ? 私もティルも駈け出しの頃に中古の魔法書買ったことあるけど、普通の魔法書と比べて虫食い状態で覚えたから。火魔法の書なら【火炎】覚えないけど【炎与】を覚えられた、って感じかな。だから、ちゃんと魔法を覚えるなら未使用の魔法書がオススメだね」


「その後聞かされたからねぇ、お姉ちゃんの怒りは爆発した」

 

 どうなったのかは想像しないほうがいいな、うん。


「へぇ…魔法ってやっぱりよくわかんねぇんだな。俺ファイターで良かったよ」


「………」


【―のーないかのん― え!? そ、そうだったの!? そうだったんだ…だから中古で買った邪魔法書って全然覚えられなかったのね。あれ、じゃあヤスオさんに中古本貸してあげようって思ったのは、実はかなりまずかった…危ない! かのんファインセーフ!!】


「ん? どうしたカノン?」


「え? いえ、なんでもないわよ。少し、ね」


 少し考えている様子だったカノンにフィル君が話しかけている。

 何か悩んでいる事でもあったんだろうか?


「魔法は不思議って事で、とりあえず覚えようか。俺等は邪魔しないように後ろでコッソリ応援するよ」


「いや、何でそこでコッソリなんだ?」


「そのほうが俺の胃に優しいので」


「お……おぅ……」


 アルスさんと僕の表情が多分その時は同じになったと思う。

 イクスさんには今度いい胃薬を持ってきてあげよう、と。


 さて、何はともあれ、魔法の鍛錬の開始だ。



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