36-03 【大激戦へ向かう者達】 Ⅲ
勢いのままに書いているお話なので確実にどこかで矛盾が発生します
小説として書きなおしている時に一応の矛盾回避はするつもりですが、難しいのは無理なので、どうか生暖かい目で見てあげてください。勢いで見てもらえると助かります。
―尊敬する人達、そして追いつきたい人達
周囲が突然の来客にざわめき始めた。
やってきたのは注目を集めすぎた所為でバツが悪そうにしているミキと-
「あ、アルスさん…?」
忘れもしない、僕を助けてくれた人、色々教えてくれた人。そして、僕をパーティに誘ってくれた人、中級のファイターであるアルスさんだった、その後ろからはマリーさんにティルさん、知り合いだろうか動きやすそうな服を身につけ煙草をふかして此方の見ている、こう…なんというか渋いお兄さんと言う感じの男性が居た。
目が細いアニメなどで見るような糸目、顔はイケメン過ぎずブサイク過ぎず…つまり普通より上の平凡そうな顔をしている、糸目な分愛嬌や胡散臭さを感じる表情をしているが、飄々としている雰囲気が悪印象を持たせない。短く切りそろえているがボサボサの茶色の髪だが、不潔感は感じず逆にそれがとても似合っている。アルスさんの隣に立つと頭一個分身長は小さいが、大体170以上はありそうだ。
「すいません、お邪魔してもいいでしょうか? 何かあったらしいですね、出来れば自分達も数に入れてもらえますか?」
「すっげぇ度胸。わたしゃこんだけのメンツのなかでそんな冷静にしゃべれないわ…」
この大人数、全員がアルスさんの方を向いている中まったく物怖じせず喋っているアルスさんに再び尊敬の念を抱く。僕じゃ無理だ、流石に怖いし恥ずかしい。ミキが隣で【うわぁ…】みたいな表情をしているが、多少なりとも気持ちはわかる。
「お邪魔します、見知った顔も沢山居るみたいですね。お久しぶりです」
アリーさんがファッツさん達に一礼するその隣で、もう一人の男性が腰…いや若干腹の部分を抑えながら追随する。
「どうしようこの場違い感。俺一人だけ誰もしらないんですが」
「大丈夫皆良い人達だよ」
「ありがとうありがとう俺の胃を守ってくれる人達ありがとう」
なんというか…こう、苦労してる感じがする声色の男性だ。
胃がなんとかと言っている所からして、胃腸が弱いのだろうか。
「おっ、ヤスオは前の席だね♪ なかなか信頼されてるじゃん! おっひさ~♪」
「ティ、ティルさん、それに皆さんもどうしてここに??」
ティルさんとは昨日も念話で会話している。
だから今日ホープタウンに来るなら何かしら連絡をするかと思っていたので、いきなりやって来たことに驚きを隠せない。
直ぐ近くではカノンやアリアちゃん、カトル君が僕とティルさんを交互に見回しているのが分かる。尊敬している人達が居るとは言っているが、こうして実際に会うのは初めてだし、現状が大変なことになっているから混乱するのも分かる。なにせ絶賛僕が混乱しているのだから。
そんな中とても嬉しそうな表情で彼等を迎え入れた人が居た。
町の町長さんであるカーマインさんだ。
「おおっアルス君達じゃないか!! 渡りに船とはこういうことだね!!」
「ご無沙汰しています、参加させて貰っても?」
「勿論だよ! 中級冒険者が3…いや4人かな、これは頼もしいね」
ファッツさん達と話し合っているアルスさん。
それを見ていたら肩をツンツンと突かれたので驚いてそちらを振り向くとミキが居る。
「なにがどうなってんのよ? ちょっとヤスオ、説明しなさいよ」
「いや、会議なんだし直ぐ分かるって」
「お偉様の話は聞いてると眠くなるのよ、察せよ」
「お前な……分からないでもないけど」
学校の校長先生の話は長くてよく眠くなったものだ。
高校は1年で中退したから、あまり覚えてないが。何はともあれ今回起きた出来事を全てミキに伝えていく。
「……なんつーか、平和な町よね。外で人が死ぬなんて日常茶飯事じゃん」
「顔見知りが死んだ人も居るんだ。それに小さな町じゃ冒険者が離れたら成り立たない事もある。平和な町にしなくちゃ死活問題なんだよ」
「あー……この町、大きさの割に人間少ないしね。ダンジョンも下級しか無いから中級クラスの冒険者もあんまり来ないんでしょ?」
「そういうのもあるだろうなぁ…僕が働いてる武器屋も売れ行きは実はそこまで高くないしね」
客は殆どは自警団の人達だ。
強い武器なども沢山置かれているが、買いに来るのは大体僕の知っている冒険者とか、なりたてのレベルの低い冒険者がランクの低い武器を買っていく位で、売上は決して良いとは言えない。これが様々な冒険者がごった返しているならかなりの売上が予想できるが…今回の事で町が少しでも敬遠されたら、店として成り立たなくなる可能性がある。良くも悪くも経済が冒険者ありきで成り立っている町だからこそ、冒険者に優しく対応し、共に有り、会話し仲良くなるのだろうな。
「ふーん……って、おい、あのでかいのまたこっちに来たぞ」
「あ。アルスさん、いきなりきたんで驚きました」
流石に立つと目立ってしまうので座りながら一礼する。
「よ、久しぶりだなヤスオ。本当はお前を驚かせてやろうと思ったんだが、大変な事があったみたいだし俺達も手伝う事にしたよ」
「アルスさん達が来てくれたらきっと皆安心しますよ」
僕も先程までの怖いと言う感情は綺麗サッパリ消えていた。
アルスさん達が近くの椅子に座り、会議が再開される。内容は簡単に言うと、パーティを2~4に分けてのダンジョンアタック…いや、まだダンジョンには無いって居ないからその名称はおかしいが、やることは正にそれだ。
中級メンバーを募っての討伐班、そしてその討伐班が全力で闘う為に露払いや物資を運んだりする班を用意して、件のダンジョンになりかけの場所に向かう。中級パーティとして確定して参加するのは、あのオッターさんだ。本当はここの中から中級を探したり、知り合いを紹介してもらう予定だったらしい。近くの町や都市に出向いて雇ってくる時間を考えれば決行は早くて2週間後だったが、まさかの中級冒険者が一気に4人現れた事で、だいぶ時間を短くして討伐を行うことになるようだ。
オッターさんに、アルスさん、アリーさん、ティルさん、そして其処の中級シーフがイクスさん-とあっという間に最低限のメンバーが揃っている。問題という問題は前衛のアタッカーがタンクを兼ねているアルスさんしか居ない所だろうか。
今回の事に関して、いくつか問題があるらしい。
それは、前回の大襲撃の様にモンスターが町を襲う…いや、再起動しようとしているダンジョンに向うためにモンスターの集団が再びこの町を襲う可能性…オッターさんの話では、再び襲撃があるだろうと言っていた。
「団員にちょいと行ってきてもらった所、前回ほどじゃねぇがあちこちでモンスター達が集団で移動しているらしい。こっちに向かって来てる奴らも居るんでな、前回ほどの規模じゃないとしても俺達だけじゃ足りねぇ、冒険者であるあんた達の力を借りたい」
「更に言えば、主力と準主力はダンジョンボスを倒して貰わなくてはならんから、此方の防衛はそれ以外でどうにかする必要がある」
前回の規模じゃないとしても、また町のモンスターが集団を作って襲いかかる……それも今回はオッターさん達は確実に居ないという状況…周囲に少なからず動揺が広がっている。今回会議に参加している冒険者の7割以上は大襲撃の時に見たことのある冒険者ばかりだ。
あの時はパライズモスの所為で一部が崩れ大変なことになったのをオッターさんが一人で抑えきってくれたが、今回はそれが出来ない。僕も多少なりとも強くはなったが、それでもあれほどの数をどうにかするのはちょっとばかり厳しい。最悪オッターさんの真似をして土壁で遮ると言う方法も試す必要があるかも…
僕が色々考えている中でもも会議はどんどん続いていく。
全てが終わったのはそれから2時間後の事だった-




