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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
139/216

34-04 【プレゼント大作戦!! に巻き込まれろ】 Ⅳ

ナチュラルカードをエレメントカードと間違えてました(汗

誤字指摘有難うございます

 フィル君が一人反対方向に行ってしまったので現在一人で露店を物色中である。

 店を並べてる冒険者や商人の人はここから見ただけでも20人以上は余裕で越している。下にシートを掛け適当にアイテムや武具を並べてるだけの簡素な場所やテントを張って色々並べている商人らしい人まで様々だ。


 見てるだけで地味に楽しい場所だが、今日はエルちゃんのプレゼントを買いに来たのだし色々見て回らなくては……

 とりあえず見た感じ武器や防具しか置いてない場所は除外して、小物やアクセサリーなどを置いている人を探していく。


 とはいえ基本冒険者が店を出している場所なので、大体の店が武器防具とかしか置いていないのはしょうがない。

 時々カードやポーション、モンスター素材等を置いている人が居るが値段が異様に高かったり逆にどうでもいいものなので捨て値で置いてたりしてる。


「…んー。ないなぁ」


「お? 坊主何か探してるものでもあるのかい?」


「坊主…いや、確かに髪は丸めてますが…」


 声を掛けられたので振り向くといかにも【俺はファイター】ですと言わんばかりのおじさんが野獣の様な笑みを浮かべていた。多分威嚇してるんじゃなくて素であんなのなんだろう。敵意は無いし単純に僕の呟きが聞こえただけの様だ。


「はっはっはっ! すまねぇすまねぇ。で? どうだい? 俺の所で色々買っていかねぇか? 坊主でも買えそうなのは結構あるぜ?」


 熊の様な手をひらひらとさせ商品を勧めてくる。


「は、はぁ…」


 並んでいるのは武器や防具で、革製の鎧が結構使えそうな感じがする。

 武器は短剣と小剣が幾つかと大剣が数本立てかけられていた。短剣はどれも普通に扱いやすそうな鉄製で、物を捌いたりするのに使えそうだな。


 武器としては隣りにあるレイピアやショートソードもいい感じだ。でも親方の作る武器を見ている僕としてはどうにもいまいち感が拭えない。値段は確かに適正値段の半額以下なので十分安いだろうね。


「俺の仲間が使わなくなった廃品を押し付けてなぁ。坊主その見た目の割には随分強そうだ、どうだい? 適当に買っていかんか?」


「あ、冒険者だって分かりますか?」


「いや、初め見た時は町の子供が興味本位で歩いてると思ってたぜ」


「ごふっ…!」


 カラカラ笑うおじさんの言葉に大ダメージを受ける僕。

 そうだよ、僕ぁその辺の子供の身長と大差ないよ…下手すりゃ負けてるよ。畜生、身長が欲しい【トランスブースト】したら見た目鎧マンになるけど目線が高くなるのが嬉しいです……そして終わった後に凄く虚しくなります。


「でも足運びや気配、俺を見た時の表情や武具の吟味する姿を見てな。あぁ下級の上位か中級手前だって思ったのさ。合ってるかい?」


「…よ、よくわかりましたね。貴方は中級ですか?」


「おうよ。まだまだ14レベルで上級には届いちゃ居ないがな。食ってけるだけの実力があれば良いしのんびりやってるのさ」


「14! 凄いですね。僕はこの前10になったばかりです」


 レベルは無いけど現在は10レベル相当なので、ごまかしておく。

 と言うかよく普通に話せてるな僕は…少しずつでもコミュ障が治ってきてるんだろうか。そうだと嬉しいな、人と面向かって会話できないのは結構辛い。相手に嫌な印象を与えてしまうかもしれないし、話すだけで精神的に辛いのは僕も流石に嫌になってきている。心の問題だからゆっくりこなすしかないのが辛いな。


「ほぅ…なら中級も目前だな! 9の壁さえ越えりゃあ後はどうにでもなるからな。よし、欲しいもんはねぇか?」


「いやぁ…今日は武具を買いに来たんじゃなくて、その…」


 ここらへんで色々探しまわってる訳を話すとおじさんは顎に手を当て少し考えだした。


「女が喜びそうなプレゼントねぇ……宝石が一番じゃねぇか?」


「僕もそれとか花とか衣服位しか思いつかないです」


「だよなぁ、女っつーのは気難しくてよぉ。この宝石じゃ嫌とか、こんな衣服じゃ外歩けないじゃないとか」


「なんか実感こもってますね…体験談ですか…?」


 このおじさんもまたリア充だったのか……いや、苦労してそうだけど。


「結婚して5年も経てばなぁ。あー…ちょっと待ってろ。……たしか此処に…」


 おじさんが後ろの方に置いてあった革袋を開けて何かを探している。

 直ぐに目当ての物が見つかったのか袋から何かを取り出して僕の目の前にそれを見せてくれる。

 それは一枚のカードだった。もう結構見慣れたモンスターとかのカードだ。カードをプレゼントするって事なんだろうか? 確かにハウンドカードなどはセットしておけばHPも増えるし色気も何も無いが実用的なプレゼントとしては良いかもしれない。


「モンスターカード、ですか?」


「いや、ナチュラルカードだ。お前さんナチュラルカード知ってるか?」


「あ、それは知ってます木カードとかですよね」


「そうだ。これもナチュラルカードでな、珍しいっちゃ珍しいが冒険者には需要が無いカードでな。花カードってんだ」


 花カードという位だから花のエレメンタルカードなんだろう。

 木とか草とかしまいにはキノコカードとかまであるほどだ、花のカードが無い訳がない。


「こいつはセットするとMPを消費して様々な花を出せる」


「花…ですか」


「花だ。その辺に咲いている普通の花しか出せないがな。だがMPさえあればいつでも花が出せるっていえばなかなかファンシーじゃないか? 俺は正直要らないが」


 確かに最大で4枚しかカードをセットできないのに花を出すっていう手品っぽい事が出来るってだけでセットするような冒険者はいないよな。僕もセットするかと言えば絶対しない。

 でもエルちゃんの様に戦わない一般人ならこういうカードがあってもいいかもしれないと思う。


「どうせ売れないんで欲しけりゃやるよ」


「え…? さ、流石にタダで貰うのは」


「んー、そうだな。それじゃこの辺から何か1個でも買っていくなんてどうだい?」


 ニヤリと笑みを漏らすおじさん。

 おぉ…もしかして思い通りに誘導されてしまったのかもしれない。


「わかりました、何か買わせてもらいますね」


「よっ! まいどありぃ!」


 何だかんだと良さそうなものがあったので幾つか買い込み花カードを貰ったのだった。








…………









「へー…これか花カードかぁ。でも良いのか貰っちまっても?」


「買い物のついでに貰ったやつだしね」


 あの後他に見回ったが結局フィル君と出会うまで何も良い物は見当たらなかった。今は近くに料理露店で早めに昼食をとりつつ花カードの事で話し合っている。


「花を出せる…か。確かにいつでも出せるなら喜ぶかもな」


「使うのは自分のMPだからレベル1じゃあまり出せないけどね」


「その辺は仕方ねぇさ。でもそれならあいつも気にいりそうだぜ」


「そうだと嬉しいな。それじゃこれ持ってってよ」


「おう、それじゃ代わりにこれ貰ってくれ」


 そう言ってフィル君から手渡されたのはかなり軽い重量の緑色した石だった。

 かなり綺麗でこれだけで十分プレゼントになりそうだが、【鑑定】してみるととんでもない物だった。



―【鑑定】成功!

―石(未鑑定)→ミスリル鉱石

―ミスリル鉱石1個獲得



「フィル君これ!? ミスリル鉱石じゃないか!?」


「ん? そうなのか? 500Rで投げ売られてたぜそれ?」


 500R…地球で言えば500円で売られるとんでも鉱物……


「売ってたやつも俺も価値なんて知らなかったからなぁ。ミスリルってあれだろ? ヤスオが使ってる武器の穂先の部分。ならヤスオが使えばいいさ鍛冶師もやってるんだし」


 軽く言うフィル君だがミスリル鉱石を普通に購入するなら50万Rはする。今の僕の技術ではミスリルの様な鉱石はまだまだ扱えないので鉄鉱石や少し値が張る黒鉱石で鍛錬している位だ。


「ま、貰っとけって。それを使えばショートソードも強くなるんだろ? それなら俺としても万々歳さ」


「プレッシャーだなぁ。うん、貰っておくよ。フィル君もプレゼント頑張ってね?」


「おうっ! これなら絶対いける!」


 二人で笑いながら青空市場を後にした。





 そうそうフィル君のプレゼントの結果だが問題なく上手く行ったらしい。

 毎日フィル君の家の花瓶には様々な花が咲き誇っているとか。仲がいいっていうのは僕も嬉しいよ。




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