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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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34-01 【プレゼント大作戦!! に巻き込まれろ】 Ⅰ

鍛冶の表現については詳しく書きすぎても行けないのでさらっと流しています。

あと鍛冶師では無いので色々調べながらです(汗 知識が欲しいですね。

 鍛冶師見習いである以上、毎日の様に鍛錬や実戦経験を踏んでいる時間はない。本格的に力を求めている冒険者達が見れば怒りが湧くかもしれないが、僕にとっては剣を鍛えあげる為に死ぬ気で修練する鍛冶の技術も確実に必要な物だ。


 現在は最低限の技術は身に付ける事が出来たので、もっぱら量産用の鉄製武器を打ち続けている。鉄は鍛冶師の基本でありお答えだと教えてもらった。


 鉄を完璧な武器に昇華出来てこそ漸く次に進める。

 逆に言えば、スキルレベルが上がった鍛冶でそこそこ慣れてきた程度では立派な鍛冶師にはなれないと言うことだ。どれだけ腕がよくなっても基本をそれで疎かにしてしまっては見栄えだけ良い駄作しか作れない。


 その点で言えば今のショートソードは親方達から見れば粗しか無い量産品以下の武器だろう。単純に切れ味…攻撃力と耐久度だけを求めて作ったのだから武器に必要な何かが足りていない。


 確かに攻撃力は上がった、攻撃ランクも上がって今は僕もメイン武器だ。

 でもこいつを最強の剣にするための必要な技術が何一つ篭っていない。親方が僕ももう少し頑張れば鍛冶師として生きていけると言った。


 普通の三流~二流の鍛冶師としてならば十分というレベルで、鍛冶師として生活出来るかと言う物だ。僕が目指す最強のショートソードを作る為にはそこで満足する意味が無い。


 親方が言うには僕の様に冒険者と鍛冶師を同時にやっている人はそれなりに多いらしいが大体の人は【戦うためだけに必要な武器】を最低限作れれば良いという理由でそれをやっているそうだ。


 大型パーティ…つまり【ギルド】に所属している冒険者が最低限皆に安値で武器を回すためになる事が多い。理由は武器や防具が高く、更には粗悪品なども多いので自分達で材料を揃え作ったほうがずっと安上がりだからである。これが個別パーティとかなら一人が鍛冶に専念するなんて出来ないから仕方なく武具を買い集めるが、何十人と所属するギルドなら冒険者兼錬金術士や冒険者兼鍛冶師もそれなりに居る。


 その人達は皆に武器や防具を作れるだけの技術があればいい。強いメンバーは自分たちが作るより強い武具をオークションや宝箱から見つけてくればいい、だから鉄や鋼鉄、頑張って黒鉄の素材で武具が作れれば十分なんだそうだ。


 そして僕はそのレベルに近くなっている…だから鍛冶師として生計を建てられるって事だ。単純に褒めたとか嫌味とかではなく事実の話。


「………っ」


 ガンガンと一心不乱に槌を振り下ろしていく。

 今必要なのは技術と経験、最強の武器を作るには何もかも足りない現状で、それを作ろうなんておこがましい考えだ。意思はたしかに大事だが、意思だけでどうにかなるほど鍛冶は甘くない。


 大体がスキルでどうにかなってしまうこの世界。作るのが難しいインゴットとかも簡単に作れてしまう。必要なのは武具を打つための技術と経験、そしてスキル。スキルは単純に高めていけばいい、只管やっていれば到達するスキルだ。


 でも技術と経験は一朝一夕で身につくものじゃない。

 打って、打って、打って――気が遠くなるほど作り続けて自分に叩きこむしか無い。その点で言えば僕自身もまた槌で鍛え上げられているのかも知れない。








…………







「6本か…見た目がシンプルな分、そこそこ作れたな」


 出来上がった鉄製のロングソードを見ながらつぶやく。

 形も何もかも全てが同じロングソードを無造作に並べてそれぞれを調べていく。


 剣幅は5センチほどで刀のような細身ではなく肉厚の刀身となっている。

 主にロングソードなどの長剣は【剛剣術】に用いられる事が多いので、その重量と耐久度を考えると曲がらず折れずを目指すのが一番なのだ。


 実はこのロングソード、大体に置いて必要とされる軽量化は一切行っていない。そのため重さは3キロ弱と普通に考えれば駄作に近い武器だ。


 普通に考えれば…なんだけどね。

 実はファイターが覚えるスキルの中には【ヘビーバスター】というスキルがある。僕は覚えていないし小剣は軽さが命だから無意味なスキルだが、剛剣を多用するファイターからすれば攻撃力を底上げする必須のスキルだ。


 その効果は【武器の重さを攻撃力に変換する】という物。

 基本的に重い物はその重量で振り回せば十分な破壊力を持つ。それをスキルによってもっと破壊力を高める事が出来るらしい。


 だからこそ長剣を求める大体のファイターは自分が装備出来て尚且つ重量のある武器を求める傾向が高い。それなら鉛でええやんと思うが鉛は脆いので超使いづらい。


 全長は大体100センチ程度にして長くしてある。

 グリップ部分に使われているのは下手すると鉄より硬いモンスターのトレントから取れた素材を加工したものを使っている。全部鉄で作っても良いがそれだと技術を磨けないから敢えて色々やっている。後はそれに握りを良くするためになめし加工をしたハウンドの皮を巻きつけて、柄頭を取り付けて完成だ。


 量産品なので大した装飾もせず単純に実用性だけで作った武器だがそこそこ使えると思う。なにせ耐久度が一律【28~33】とそこそこ高いから十分だろう。攻撃ランクはDやD+と鉄製武器としては十分なランクだし、今回はそこそこ上手く行った。後はこれが普通になるように技術を磨いていくだけだ。

 

「ふぅ………汗を流してこよう」


 やる事が本当に沢山だ。だからこそ今は凄く楽しいと思う。

 目標も目的もある今が僕はとても楽しかった。







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