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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
134/216

33-04 【譲れない物と槍】 Ⅳ

感想返信完了しました。

誤字指摘などとても助かります。


気がつけば累計PVが300万を超えていました。

これもひとえに見て頂ける皆さんのお陰です。無理しない程度に頑張りますね。

―数時間後



「あんたら良く疲れないわね…お腹空かないの?」


 あれから雑談を交えながらだが休むことなく閃きの鍛錬を続けていた。既にもう2つほど下級技を閃く事が出来たので初日にしてはかなり順調だと思う。逆に閃かない時はひたすら閃かないから明日以降が恐ろしい。


「だらしねぇなミキは。こんなもん団長のシゴキに比べりゃなんでもねぇよ。お前だってダンジョンならこれ以上に動いてるじゃないか」


「宝物が私を呼んでるからよっ!」


「お前らしいや」


 そう言いながら笑うフィル君。初期にミキに見せていた態度からはかなり変わって柔らかくなっていた。元々優しいし細かい事は気にしないタイプだからミキが頑張っているのを認めたんだろう。最初がどんなにダメでも反省して頑張れば人は見直してくれるというのがよく分かる。


 逆に見放されないように僕も頑張らないとなぁ…


「結構時間も過ぎたし、そろそろ昼過ぎ位かな」


「……ん……それ……位……」


「一応携帯食料は持ってきたけどさぁ、これ食うなら一度帰らね?」


 ミキが提案する。

 携帯食料はダンジョンに潜る時は必須なアイテム、と言うか食料だ。中身は保存性と栄養素の高い乾パンと干し肉などで最低限一日持たせるだけの内容量が入っている。ダンジョンの中で探索する場合ターン数の関係で数日潜りこむ時もある。その時ダンジョンの中で食料を探せない場所もあるから、と言うか長期でダンジョンとかに向かうなら食料等は大事な訳で味気は無いが必需品の一つだ。


 問題はひたすら喉が乾くので水が必要、乾パンは普通に硬いのでそのまま食べられない事はないがスープなどが必要です。


「シーフの言うことも一理あるわねここで少し休みましょうか。火を起こしておけば回りの雑魚なら近づいてこないしね。一応軽くつまめる物は用意したわ」


【―のーないかのん― さ、サンドイッチだけど大丈夫かしら…喜んでくれるわよね皆…… あ!? 前衛の人はたしかごはん食べないとか何とか……私、やっちゃった!? やらかしちゃった!?】


 カノンが小さなバッグから取り出したのは物理的に入りようが無いバスケットだった。彼女がそのまま蓋を開けると中には。


「うぉっ! すげぇうまそう!!」


「へぇ…サンドイッチねぇ…あんたも十分多芸よね」


 多種多様のサンドイッチが沢山入っていた。

 たまごサンドっぽいのからハムサンド、レタスサンドなど僕でも知っているサンドイッチが見える。


「やった! カノンの料理は美味いんだよなっ! 皆もこっちに来て食べようぜっ!」


「ありがとう、これ皆で食べて良いのかな?」


「食べてもらわなきゃ残るだけよ。シートを引いて食べましょう」


「………ぉー……」


 早速シートを敷いてそれぞれ適当に座る。カノンが手際よく全員に飲み物まで用意してくれていた。僕とフィル君は最低限のポーションしか持ってきてなかったので飲水すら無かったりする。うん…今度は最低限水筒は持ってこよう。


 目の前に用意された沢山のサンドイッチ。この世界の食材は地球にあるのと同じようなものが多い、【翻訳】の魔法の所為なのか野菜や一部の食材はまったく同じ名前だったりするが、その辺は良くわからないので気にしていない。気にしてどうにかなる訳でもないし、そんな細かい事気にしてる暇はない。


「よっしゃ! 私これもーらいっ♪」


「あっ! それ俺が狙ってやつっ!」


「ふっ、甘いわねフィル。食べたもん勝ちよ! あむ……美味っ…!」


「ふふ、まったく騒がしいわね。まだまだあるからゆっくりどうぞ、騒ぎすぎるとモンスターが来るんだからあまりやかましくしないようにね。(やった~~! 喜んでくれた! 超喜んでくれたわ! かのんグッジョブ!!)」


 カノンが微笑みながら窘めるが騒がしくしながら食べるフィル君達。こうしてみるとまだまだフィル君もミキも子供なんだなぁって思う。僕は僕で20歳だけど十分ガキっぽいが。


 とりあえずハムとレタスを挟んであるサンドイッチを取る。隣ではアリアちゃんがたまごサンドを手に取り両手に持ってみたり太陽にかざしてみたりと何か色々やっているが気にしてはいけない。


 一口食べるとまるで出来立ての柔らかさのパンの甘みとレタスの瑞々しさが口の中に広がっていく。これだけでも十分に美味しいがハムという主役級の味がそれらの甘みと瑞々しさ、そしてマヨネーズとマスタードというアクセントと合わさってさっぱりとした味わいと濃厚さを深めている。正直自分で何言っているか分からないが、それだけ美味しいって事だ。


 地球に居た頃は極稀に外に出る時コンビニで適当にサンドイッチなどを買って食べていたが、そんなレベルを遥かに越す美味しさだ。あまりにおいしくて無言になりながらどんどん頬張っていく。食べれば食べるほど味わいが深くなるハムレタスサンドだ。


「……美味い」


「そうだよなっ! うしっ! 今度はこれだ!」


「ちょっ!? それ私が狙ってたやつ!!」


「早い者勝ちなんだろ♪ もぐ………うめぇ!!」


「へん、それじゃ私はこいつっと。いやー、なかなか美味しいじゃん。これだけでも来た甲斐があったわね。作ったのがあいつなのがあれだけど」


「まったく貴女は……所で槍の調子はどうかしら、二回ほど閃いたみたいだけど?」


 食べている途中でカノンが此方に話しかけてきた。


「そうだね…かなりいいペースだと思う、まさか下級とはいえ一日で2つも覚えたんだしね」


 先ほどの戦いで覚えた技は【槍飛】

 これは【先手】と同系統の補助技で、発動すると脚力が強化され高く飛び上がり上から槍を突き刺す事が出来るようになる。同時に他の技、今なら【槍突】を同時に発動させる事が可能なので、上空に飛び上がって猛スピードで槍を突き刺す事が出来る。その威力たるや半端ではなくヴァイパー位なら一撃で即死まで持っていける。スモールベアは微妙にタフなので死ぬか死にかけるかだった。もうちょっと力が強くなればあのコンボだけで倒すことが出来る筈だ。


 ジャンプも2~4メートル位飛び上がって突撃するから槍が折れるかと思ったんだけど、耐久度はあまり減っていなかった。この辺は良くわからないなぁ…壊れないならそれでいいとしよう。


「俺も一つ閃けたぜ。範囲攻撃がやっと出来るようになったよ、狭い場所じゃ流石に使えないけどさ」


「頑張りなさいや、私は後ろでのんびり見ててあげるからさ」


 サンドイッチを食べながら笑顔で言うミキ。


「お前はなんつーか…こう、なんつーか…」


「ミキ様は偉いから仕方なし♪」


 この自信はどっからくるんだろう? 僕にも分けてくれ少しだけでいいから。


「はいはい、仕事はしてるし問題はないわよ。さて、あと少し休んだら戻りがてら雑魚を倒していきましょう。急に動いたら辛いでしょうしね」


「……ら…じゃー…」


 ぴしっと敬礼するアリアちゃんを見て微笑んでいるカノン。アリアちゃんの方が年上なんだが、どうみても姉カノン、妹アリアちゃんの構図に見える。ミキは知り合いの集りに来た友人Aだね。そしてしっかり者でわんぱくな弟のフィル君と続く。


「おぅ! 帰りも頑張ろうぜヤスオ!」


「あぁ頑張ろう!」


 この後少し休憩を取り、モンスターを倒しながら町に戻っていった。流石にこれ以上の閃きも成長も無かったが、とても良い鍛錬日和になったと思う。




 

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