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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
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04-01 【強敵と死闘】 Ⅰ

すでに森の中の生活も1ヶ月以上に突入中。

ウサギを安定して倒せるようになるのはいつでしょうか?

―2週間後 【努力の結果】


 あれからあっという間に2週間も過ぎた。

 剣の鍛錬を初めて雨が降った時以外は常に剣の素振りを続けていた。ちなみにウサギはまだ倒していない。たかが1~2週鍛錬をした程度でモンスターに勝てる訳無いと確信しているので、来るべきウサギやハウンドとの戦いの為に日々剣を振り続けていた。


 ステータスはあれから一切上がっていないし、スキルも何も増えていない。【剣修錬】も同じく上がっていないので、これが実になっているかは微妙だったが、毎日剣の素振りをしていたお陰か結構体力が増えてきた様に思える。


 一応また少し痩せてきているし体力などは付いているのだと思う。

【体力と【体】は違うんだなぁ】とか【腕立て伏せが40回も出来る様になったなぁ】とか色々な事をを考えたりしながら日々鍛錬を続けていた時にそれは起きた―


 その日もいつもの様に川で素振りをしていた。

 食料になる魚を補充し軽い準備運動を終わらせ素振りを開始する。この素振りの回数はその日毎に少しずつ伸ばしていっている。流石に500回とか1000回とかそんなとんでも回数は出来ないので30回や50回、その日の体調を考えたりして振るっているのだ。


 それが終わればウサギを倒す為の型を1セット。それも終わればまた素振りからと延々と鍛錬を続けていた―


 他にやる事もないし生き抜くという目的もあってずっと続けられている。


 2セットが終わり少し休憩したあと3セット目を開始した時、頭の中に文字が流れたのだ。それと同時に力が湧き上がる様な感覚が全身を震わせた。


「……んなっ!?」


―ヤスオは【速剣術:最下級】を覚えた!

―ヤスオは【先手】を閃いた!

―ヤスオは【蓮華】を閃いた!


「な…なんだこれ…? マジかよ…!?」


 自身のステータスを参照してみると新しいスキルと【技】を覚えていた。

一つは【戦闘開始時】に1回だけ使えるスピードブースト効果の【先手】更に【最速行動】なるものが付いている様で発動すればかなり早く動けるようになるようだ。


 もう一つは駆け抜け様に相手を切り払う【蓮華】という攻撃技。

 あまり威力は高くないが相手の急所…つまりクリティカルを出しやすいらしい。


「剣を振るってたら技を…何でかわからないけど…これでウサギが倒しやすくなるかもしれないっ!!」


 今でも命を掛けて頑張ればウサギは倒す事が出来る。

 だが、この技を上手く活用出来るようになればもっと安全に倒すことが出来るかもしれない。


 ゲームの技の取得そのままな覚え方だとしても自分の努力が実を結んだのは凄く嬉しかった。後はこの技を上手く扱えるようになれば……


 翌日からの日々の鍛錬に技の練習が追加される事になった。





―翌日



 剣を思い切り振れる様に身体を左側に捻り姿勢を少し前屈みにする―右足を一歩前に出し、走り抜けられる態勢を取り集中していく。


 魔法とは違う剣の技…覚えたからといって行き成り完璧に使える訳が無い。その態勢のまま大きく2回深呼吸し……頭の中に浮かぶ技の名前を高らかに叫ぶ、

それが【技】発動のキーだ。


「……はぁ…! 【先手】!!」


―【開幕】 ヤスオの【先手】発動!!

―【最速行動】付与 このタイミングのみ【速】+5!


 【世界が遅くなった】そんな感じがした―その感覚を維持したまま【先手】を発動させ全力で僕は駆け出す…!


 一瞬の間、その瞬間僕の身体は僕の限界を超えたような速さで動けているのがわかった。


 何と言っていいか表現しにくいが100m走で世界新記録を出した人間が感じるような速さを体験している気がした。実際はどれほど速くなったのかは藁から無いが確実にスピードが2~3倍ほどになった感じがする。


 急な速さにつんのめりそうになるが気合で耐え抜き次の技を発動させる―


「う、おおおおおおおおっ! 【蓮華】えええええええっ!」


 ショートソードを握る手が僕の思った様に、凄まじいスピードで振るわれた!今まで僕がウサギを攻撃してきたような適当な攻撃ではなく―


 【相手を殺す】為に振るわれる一撃を繰り出す事が出来た。

 あのスピードで駆け寄りこの一撃をウサギに叩き込む事が出来れば、もしかしなくても一撃で倒せるかもしれない。そう確信出来る様な一撃だった。


「す、すごい…これを僕がやったのか。か、勝てるかもしれない。この技を練習していけばウサギに勝てるかも!! で、でも…」


 技を繰り出した後に一気にいつもとは比較にならない疲労が襲ってくる。

 素振りなどが終わった時に感じる疲労をはるかに超えている感じだ。技は使用するのにHPを消耗するらしく、現在HPが【先手】で【1】点【蓮華】で【2】点の合計3点も消費していた。


 僕のHPは12しか無い……つまりこの攻撃だけで4分の1の生命力を消費した事になる、4回やったら死ぬレベルの事をしていると考えればこの疲労も当然だろう…凄く強い切り札を手に入れたが、使い所を考えないと殺されてしまう可能性が高い。


「【軽癒】…!」


―ヤスオは【軽癒】を唱えた!! HPが僅かに回復した!!


 【軽癒】は擦り傷切り傷の他に連続使用での痛みの緩和やごくわずかだけどHPを回復してくれる。こっちも多用は出来ないからよく考えなければ。


「回復魔法があるから数回は倒せるかも、後はウサギやハウンドと出会っても冷静に戦えるだけの度胸がつけば、あいつらにも勝てるかもだっ! でも…問題があるよなぁ…」


 ショートソードの使用回数…これが一番の問題だ。

 今の時点で使用回数は後【17回】モンスターを1回で倒せると考えたとしても17匹倒してしまえば壊れてしまう、勿論それは甘く見積もってだ。


 僕なら確実に慌てたりして無駄に使ってしまうだろうし、相手がハウンドだった場合何回斬りつければ倒せるのかも分からない。多分実際に倒せる数は10体いけるかどうかだろう。


「……壊れてほしくないよな…」


 この武器を壊さない為には早く他の武器を見つけないといけない。

 改めてこの武器をじっと眺める。全長は大体70センチか80センチはあるだろうか、ゲームなどによくありそうな両刃の剣で切れ味はそこまで鋭いという訳じゃなく、力任せに振るったら叩き切れる様な感じだ。


 日本刀とかは確か引いて斬るのだろうけど、この剣は【叩き斬る】【押し斬る】様に出来ている。鍔の部分は見た感じはあまり格好いいとは言えない。柄の握りの部分には滑り防止の為に糸みたいなのが巻かれていてこれのおかげで剣がすっぽ抜けていない。 


 素人目だけど総合的な評価は【普通のショートソード】だろう。


 武器としては頼りない軽さ…それでもこの武器に僕は何度も何度も命を救われたのだ。こいつは出来れば壊さないで持ち帰りたい…地球に戻れたとしてこれを持ち帰ったら直ちに銃刀法違反だろうけど。


 その為にはやはり新しい武器を手に入れなければならない。

 この際武器として使えるならなんでもいいけど、欲を言えばやっぱり剣が欲しい所だ。武器が剣じゃ無ければ【速剣術】の技である【先手】とかは一切使えなくなるのが痛い。折角覚えた技とか云々の前に新しい武器を上手く扱えるかという所から始まるし……


「…っ! 悩んでたって始まらない! とりあえずこれでウサギを倒す目処がついたんだ! 後は武器を探したり鍛錬を続けて精神を鍛えよう!」


 少しずつではあるが自分は前を歩き出しているのだ。

 ゴールは依然遠くて先が見えないけれど、それでも前よりは近づいているだろう。立ち止まらず僕はやっと先を歩き始めたのだ…


「今日は技の練習を少しやって武器探しだっ! やるぞおおおおおおっ!」


 腹の底から声を出し気合を入れた。

 その後直ぐ叫んだらモンスター来るかもしれないと口を塞いだ所までがコンボだったりする―



2015/09/06 ご指摘を受け誤字修正完了です。

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