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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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32-07 【フィールドアタックと弓使いと兄弟戦士】 Ⅶ


 全員に回復を施した後僕達は急いでこの場を離れる事にした。このまま戦闘をし続けたら確実に誰かが倒れる可能性があったからだ。たった2回の戦闘だったが、それでも普通に戦うより稼ぎも多かったしカードも手に入れられたのだからよしとして置くべきだろう。


 何にせよ疲労も激しいので皆賛成し、今はある程度離れた場所を歩いている。


「ふぃー、まさかフィールドで激戦するとは思ってなかったよ。回りには気を配ってたんだが、まさか挟み撃ちまで受けるとはね」


 肩をぐるぐる回しながら言うウォルクさん。


「シーフが居ないしね、エネミー感知が出来ないのは知ってるけど最近本当におかしいな」


「とは言えこれもこれで必要な経験になった。ダンジョンであろうともフィールドであろうとも危険度は変わらない。慣れてしまうのは一番恐ろしい毒だ」


「何にせよ今日はこれで撤退ね。皆無事でよかったわ」


 全員重傷にもなっていないので回復魔法で問題なく回復できた。MPをほぼ使いきってふらふらしているが、ウォレスさんが支えてくれるので問題なく歩けている。構図は【子供とお父さん】そのまんまなのがあれだが…


「やれやれ、流石に熊があれだけ居ると僕等でもきついね。早く最低でも中級クラスになりたいものだよ」


「攻撃力が尋常じゃないですしね。フェザーアーマー買うの視野に入れておかないとだ」


 防具を整えればダメージも結構抑えられるはず。確実に避けられるほど速くも無いし一瞬で倒せる攻撃力も無い以上、前衛として耐えきるならば盾と防具を高めなくちゃいけない。そして…攻撃力か……


「何にせよ、さっきので最低限のノルマはこなした。運良くカードも手に入ったし、後は戻りながら、適量敵を倒していこう」


「たった数分であれだけ熊を倒したのは初めてだよ、皆強いから離されないようにしないと」


 さっきの戦いで【知】が上がったがそれ以外は何も上がらなかったのが辛い。

運が悪かったのか、それとも熊相手でも上がりづらくなってきたのか…レベル式じゃないから倒していけば確実に強くなっていくという訳でもないから、これは結構辛い。


「それにしても・・・皆言っているけど最近少しおかしいわね。モンスターが活発になっている気がするわ。広場での冒険者達の噂じゃ、結構広い場所でこうなってるらしいし」


「多分、何らかの周期でモンスターが活発になってるんじゃないかな? 10何年前もこういうことが起きたらしいし、ナッツならなにか知っているかもね。とりあえず一人で行動するのは出来るだけやめておこう、危険過ぎる」


「うん、それが懸命だね。しかしまだまだ中級や上級は遠いよ。特に中級はレベルが近いのに実力じゃかなり離れているしね」


「レベル12、ステータス適量で中級クラスと言われるけど後は正直、覚えているスキル、技、魔法、装備だしね。前衛が中級クラスになるなら最低でも1個は上級技を閃かないと。魔法使いは中級魔法が2~3種、使えればすでに中級さ、カノンやアリアはレベルが一歩手前なだけで十分中級に足を踏み入れてる」


「あら、褒めても何も出ないわよ?」


「事実を言ったまでさ」


 軽く言うノーヴァ君。うん…大人だなぁ…僕の何倍も大人に見える。やはり経験や自信がつくと彼のようになれるのかな。なんて考えて居た所でノーヴァ君がこっちを見て指摘してきた。


「逆にヤスオはなんでも出来るけど攻撃、防御、回復、魔法と全てが中級に足りてない。下級の中では突出して強いけど中級じゃ流石に辛いね。せめて魔法を中級にしないと。速剣術は中々だけど正直武器が弱すぎる。何故買い換えないんだい?」


「うん…これには思い入れがあって、強くしたいんだけど僕の技術がまだ足りないんだ」


「そんなものどうでもいい、戦闘中にその思い入れで死ぬ気かい?」


「うぐ…そ、その通りだね」


 僕のメインで使っているショートソードより強い小剣類は親方の店に沢山置いてある。鋼で素人に毛が生えたレベルが鍛えた武器より、親方の様な一流の人が並べている鋼や黒鋼、ミスリルなどのショートソードの方がずっと切れ味や攻撃力が高いのは知ってる…知っているけど僕はこの剣を使いたかった。


「その剣を強化するのは自由だし僕もそれは止めないよ。でもその間ずっと攻撃力が低いままというのは戦闘中に足を引っ張る可能性がある。実際君の物理攻撃は熊にはあまり効いていなかった、単純に攻撃力がその武器には足りないんだ。その武器が強くなるまで他の強い剣を使うことを僕は勧めるね」


「まぁまぁそれくらいで。ヤスオ君はとても強いよ彼の事は彼自身に任せようじゃないか」


 咎める様な口調のノーヴァ君をウォレスさんが執り成す。だが、彼は何も変なことは言っていない。これは僕の問題で僕が悪かったのだから。


「まぁ、ノーヴァ君の言葉は正論だ。ヤスオ君も一考してみるといい。何もその剣を二度と使わなくなる訳じゃないんだ、違う武器も候補にいれてみようって事さ彼なりの心配だよ」


「はい…十分に分かっています。有難うノーヴァ君」


 彼が指摘してくれたのはこのままでは僕のせいで皆が怪我をする…死んでしまう可能性が高いから、僕自身も折角の戦闘技術を生かし切れないから教えてくれたんだ。十分ありがたい言葉だと思う。昔は癇癪起こしてただろうけどね…


「感謝されるのは照れくさいな…」


 そっぽを向いて歩き出す彼に少しだけ笑いそうになる。どうやらそう言うのは苦手なのかもしれないな。


【-のーないかのん- なんて、なんて鉄壁のメンタルなの…!! 私なら果てしなく落ち込むわっ!! でもノーヴァ君の言うことも正しいし、剣を大事しにしているヤスオさんの気持ちも分かるし…こうなったら! 私が一緒に武器屋さんについて行ってあげるとか!! 仲間の戦力増強とメンタルケアは私に任せてっ!】


「確かに攻撃力が低いのは問題ね。でもそれ以外は全て出来てるわそう落ち込まない事。所でヤスオさん明日開いてるかしら? 良かったら一緒に武器を見繕いに行きましょう。後、最悪誰かに鍛えてもらうのも手よ? 自分で全てなんて、出来る超人そうそう居ないわ」


「……ついて……く……超…ついて………く…」


 カノンとアリアちゃんがフォローをしてくれるのがありがたい、二人にはいつも助けられているな。いつか僕に出来る事で恩を返したい。


「うん、有難う二人共。明日頼めるかな?」


「えぇそれじゃ3人で昼前に広場で集まりましょう?」


「……ら…じゃー……」


「ヤスオ君の武器の強化か。すでに色々下地は出来てるしこれは化けそうだな。いい武器が見つかるといいね」


「武器屋は確かヤスオが働いてる場所だったよね。なら掘り出し物を用意してもらえるかもしれない。君が強くなれば僕も戦闘中安心できる、良いのを見つけてくれ」


 雑談をしながら歩いて行く、今日はこれ以上モンスターに出会う事もなく不気味なくらい安全に町まで戻れた。






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