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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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SP-06 【お姉ちゃんは心配性、そのに】

ティルの口調には意味があります(かなり先ですが) どうしても合わない方はそっと閉じてくださると嬉しいです、無理に見て時間を消費するのはもったいないと思います。



【ほうほうマッハミルクを取れたんだ、じゃああの変態には笑ったっしょ。あれで実は上位クラスの冒険者なんだってさ、不思議だよね世の中】


 いつもの様に夜の【念話】の雑談中二人にとって夜の楽しみにしている時間でもある。ヤスオ達が、ティル達がその日一日何をしていたか? 何と戦ったか等を談笑ついでに話すその様子は仲の良い姉弟といえるだろう。実際ティルはこの数ヶ月でヤスオのことをかなり気に入り可愛がっているし、ヤスオもまた気楽に会話し相談できる人として尊敬し敬愛している。


【正直、度肝抜かれましたよ。まさかあんな人が居るなんて】


 見た目リアル変態だったしそんな変な人など動画とかでしか見た事などないのである意味新鮮だったようだ。また会いたいとは全く思っていないが。


【十人十色! 色々いるもんさ! そう言えば聞きたいことがあるんだっけ? なんでも言ってみ? お姉ちゃんが答えちゃろう】


【有り難うございます。実は魔法の事なんですが上級の次の最上級なんですけど、少し気になったことが】


【最上級ねぇ……ヤルオも知っちゃったか】


【技は秘奥義…6文字までの技が普通に使えるのに、魔法は最上級を使ったらほとんど死んだほうが良いレベルなのに、どうして普通に覚えてる人がいるんでしょうか?】


 エスタから教えてもらった最上級魔法はどれもこれも天変地異クラスの効果がある代わりに、自身や周囲がとんでもない事になる魔法ばかりだった。自分でも色々調べてみたが、それに記されている魔法も全て自殺したほうがマシなレベルの代償を支払う必要があり、それを緩和できる方法はほぼ存在していない。


 そんなとんでもない最上級魔法だが、上級クラスの中にはいくらか覚えている者がいるらしいことを教えてもらったヤスオはどうしてなのか気になっていた。


【あー……魔法は上級・上位があれば十分って考えもあるんだけどねぇ……簡単に言うと魔法使いの安いプライドかな。ボクは覚える気もないけどさ】


【プライド…ですか】


【そそ。技は秘奥義まであるっしょ? でも魔法の最上級はどれもこれも自殺魔法でねぇ、一時期【禁術】にまでなりかけたんだお】


 ティルが疲れた様に言う。

 

【そんなの許せない~とか昔の魔法使いの人がごねたらしくてねぇ…詳しい昔の文書とかからそんな記述があったみたいで、それで魔法を覚えている限りは最上級魔法は禁呪じゃない云々かんぬんがあったらしいお。この辺は研究者がやってるみたいでボク等には正直訳わかんないけどね】 


【成程…昔の事なんて分かんないですよねぇ】


【そうそう、それじゃ今度はこっちから質問するお? ヤスオって【ストラグルアタック】か【マジックフォージ】もしくは【ワイドヒーラー】覚えた?】


【いえ、覚えてないですね。最近はフィル君が覚えたのと、マリーちゃんが【必殺必中】を使える位で。カノンは勿論でアリアちゃんも使えるらしいけど、火力は足りてるので使ってないそうです】


 一時的に次の攻撃力を底上げするアクティブスキルであり、持っているといないでは戦闘中の爆発力がかなり変わってしまうこれらのスキルだが、ヤスオは今も全く覚えていなかった。一応【トランスブースト】はあるがこれはデメリットが高すぎるし頻繁に使えるスキルではない。


【やっぱり、か。アルスの懸念が当たったお…】


【もしかして…自分はそれらのスキルを覚えられないんでしょうか?】


 ティルはアルスが言っていた事をヤスオに伝える。

 ヤスオは皆の様にレベルも無ければ固有のクラスもない為、クラス依存のアクティブスキルを一切覚えられない可能性があると言っていた。


 普通【ファイター】なら【ストラグルアタック】を覚えやすく、クラスに関係の無い【マジックフォージ】は殆ど覚えられないが…絶対に覚えないという訳ではなく、僅かながら可能性はあるのだ。


 ヤスオのステータスや実力ならばどちらも覚えている、もしくはどちらかを既に覚えていなければならない状態だ、しかし中級クラス間近のステータスを誇りながらそれらを覚えてないとなれば、これからもこれらクラス依存のアクティブスキルは覚えないかもしれないと言う。


 これらのスキルは【運】によって使用回数が決まる。このスキルは1回だけでも切り札になる時があり、それがない場合は地力でダメージ捻出しなくてはならない。自力が高ければ暫くは大丈夫だが強敵相手ではどうしても攻撃力が足りない状態が出てきてしまう。他のアクティブスキルは覚えているため、アルス達にも何かダメで何を覚えるのか予想ができないのだ。


 どちらにしても運が高いヤスオがこれらを使えないのは致命的とも言える。

 

【可能性は0じゃないけど覚悟はしたほうがいいお。勿論それがなくたって十分やっていけるし、ヤスオにはボク等には無い万能性があるからね。気落ちはしないでね】


【大丈夫です、まだ可能性もあるだろうし、もしダメでもトランスブーストがありますから色々出来ますので】


 覚えられないと言う点で確かに少しショックがあったが元々自分が強いと言う認識が殆どないヤスオにとってスキルを覚えなくても覚えても大して変わらないと考えている。昔が昔でありあの死のサバイバルの結果、自分が凄い存在になれるとは欠片も考えていない、これもまた想定内の事だった。


【うし、良い子だ♪ んじゃ魔法の説明にもどるよ~】


【わかりました!】


【んじゃ、次に教えるのは何属性がいいかなー?】


【地味に気になってるんですが、【時空】魔法って攻撃魔法とかあるんですか? 時空の果てから隕石落とすとかそういうの?】


 ヤスオの頭の中には時空の果てに魔法陣を繋げて高笑いしながら小隕石の雨を降らしている悪そうな時空魔法使いのイメージが流れている。


【何期待してるのかしらないけど、時空魔法はアコが使う補助系だお。この前飛んだでしょ? 【転移】とかね。 補助や阻害がメインの魔法だね】


【そ、そうなんですか……(メテオとかそう言う魔法があるのかと少し期待してたんですが)】


【阻害って点で言えば邪属性と同じ位優秀だお。補助も動きを早めたりとか物体を一時的に固定して装備の消耗を一時的に0にするとかね、色々便利】


【そいつは凄いっ! ショートソードが壊れないって素敵ですねっ】


【ヤスオはショートソード好き過ぎだおね…】


 武具の消耗がなくなると聞いた瞬間にショートソードの安否に行き着くヤスオに微妙に汗を流すティル、大事にしているのはこの数ヶ月で色々聞いているので分かっているが、何というか体の一部であり宝物になっているらしい。最近では自分で鍛えているので尚一層愛着が湧いているようだ。


【で、時空の代名詞と言えば【転移】と【帰還】かな。どっちも下級魔法の癖に効果が理不尽な奴ね。だから覚えられる人も実は少ないんだけどさ。【転移】は行ったことある場所に一瞬で行ける魔法【帰還】はダンジョンから一瞬で戻れる魔法ね。いろいろはしょってるけど大体こんな感じ】


【どっちも便利ですね…あるとないとじゃ色々違いますし】


【なんせ下級詐欺って言われる魔法だしね。上級職になっても覚えられないとかザラだお。アリーも【転移】は覚えたけど【帰還】はだめだったからさ】


【相性かぁ…今の所は大体覚えられてますからピンとこないですけど…やっぱり僕にもあるのかなぁ…?】


 色々覚えていない魔法も数多くあるので、自分もこの相性からは逃げられないのだろうと考えている。この間お返しに貰った聖魔法の書は攻撃と支援どちらもある程度覚えられたので、何がよくて何がダメなのかは暫く立たないとわからなさそうだ。


【ありがとうございました、かなり為になりました。アクティブはあまり気負わないで考えますね】


【うん、前向きなのはいいことだお! こっちももうすぐダンジョンアタックも一段落つくしもう少ししたら一度そっちに戻るから楽しみにしてろよ~♪ お土産もあるからねっ!】


【おぉっ! 楽しみにしてます! 自分が成長した所を皆に見せますから!】


 ティル達が戻ってくると知って喜ぶヤスオ、念話だけではアルスやアリーと会話出来ないので彼女から様子を知るしかなかったので、これで久しぶりに会話出来ると思うと気分が高揚してきていた。後ティル達にもプレゼントを用意しているので、早めに渡せると喜んでいる。


【ほほぅ、言うじゃないかお。んじゃ、その時にボクが審査してくれようぞ。合格だったらボクの秘蔵をくれてやろう! それじゃね、早めにねるよーに!!】


 その言葉とともに念話が切れる。

 結構な時間会話をしていたことに気づきゆっくりと体を伸ばした。


「そっか…やっぱり覚えられないものもあったのか。まぁ、当たり前だよな。全部覚えられるとか何そのチートって感じだし。今でも十分おかしいんだから寧ろこれ位当然だよな」


 レベルが存在せず敵を倒せばステータスが上がっていくという異質さ。アコライトやメイジの区別無く攻撃魔法、回復魔法を覚えられる自身がチート以外の何なのだと思う。クラスに関連するアクティブスキルが覚えられない可能性程度で凹む程今のヤスオは心が弱くはない。


「今更スキルが覚えられない程度で凹んでる暇はねぇ。それより明日はどうするかなぁ? この3日休んでたし装備も整えたいから掲示板見に行こうかな」


 ヘルハウンドカードというHPが30も上がるカードが欲しいのだが今のヤスオでは少し手が届かない値段だった。お値段300万Rポッキリ……十分他の場所に比べれば安いが今のヤスオには装備の修繕代やポーション代を考えると買うには厳しい値段だ。


「よしっ! 明日は掲示板の依頼を受けに行こう、多分広場ならカノンやアリアちゃんに他の人もいるだろうし臨時でパーティも組めるはず!」


 何だかんだとこの町の人ならもう普通に話せるようになってきている。どもって人を誘えないという昔のヤスオはここに居なかった。時々会話中に手足が動いて踊っているように見えるのはご愛嬌である。


 明日の予定もまとめ終わり、寝る前に軽く運動して眠りについた。



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