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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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31-03 【漢の熱き戦い、その名はマッハミルク!!】 Ⅲ


様々な感想を頂きました、プリンメンタルな私には大ダメージになるものをたくさんありましたが、頑張って書いていきますね。急成長は出来ませんがゆっくり頑張ります。

 相手を触ったら勝利とフィル君は言っていたが……


「…人が物理的に空を飛んでいる…」


 幾人もの冒険者が何故か放物線を描くように飛んでいき…そして落ちた。そしてそこで悔しそうに正座して秒数を数えているというシュールな様子は何というかこう……カオスだった。


 現在僕はフィル君と別れてあちこちマッハおじさんを探している途中だ。周りに色々な参加者がいるけどわざわざ勝負を仕掛ける必要は無いらしく基本は笑顔で挨拶したり猛スピードで走って行かれたりする。お互いに譲れない場所がある時とかもう少しで追い詰める時に邪魔されたりとかの時だけ戦うらしい。さっきエスタさんにかち合って【あ、終わった】となりかけたが普通に挨拶だけして別れたので助かった。


「あ、また飛んでる……何故こうも人が吹き飛んでいくんだろうか」


 何分かに1~2人飛んで行くのはなんでなんだろう…あまり考えちゃ行けないんだろうな。周りの観客の人達は「やれやれ~!」とか言いながら騒いでるし、あっちの店の方じゃなんか賭け事までしてる程だ。


「平和だなぁ………」


「平和ですねぇ」


「っと、カトル君?」


「さっきぶりですヤスオさん。ちょっと見当たらないので少し歩いて休憩中なんですよ」


 適当に探しつつ歩いていると後ろからカトル君が走り寄ってきた。町中を縦横無尽に走っているらしいおじさんを探すのは流石の彼も大変らしい。微妙に疲れた表情で僕についてくる。


「カトル君は一人で参加なんだね?」


「はは…あんまり知り合いの男性が居なくて。実はヤスオさんにお願いしようかと思ってたんですが先にフィル君が来てたんで諦めたんですよ」


「そ、そうなんだ…」


 マッハミルクのどこにそんな魅力があるのだろう…きっと僕にはわからない何かがあるのかもしれないな……


「はいっ! 僕も前々から狙ってたんですよっ! まさかここで開催されるとは思ってませんでした。きっと勝ち取るつもりです!」


「うん、お互い頑張ろう」


「頑張りましょう! それじゃお気をつけて!」


 爽やかな笑みを零しながら彼は再び走っていった。うん、イケメンは何をしても絵になるなぁ。ほら周りの女性がこうため息をついてるほどだ。ちなみに僕は背景扱いらしい。


「それにしても…気配も何も感じないな。来た瞬間は凄い気配が強かったのに」


 姿からして普通の一般人じゃないことはわかってるがやはり凄い冒険者なんだろうか…いやだなぁ…海パン1枚と麦わら帽子だけの冒険者って……


「とりあえず、探すかぁ」


 依頼を受けているのだから頑張らないとな、あぁいう速さを活かす人は狭い場所はあまり走らないはずだ。自分のスピードを殺してしまう閉所は冒険者に捕まえてくれと言っているようなもんだろう。捕まえないと牛乳買えないが…


 となれば中央広場近くを再び走り抜ける可能性が高い、そこで相手がどう動くか予測して捕まえる…しかないな。僕も少しは速さに自信がある、後は相手を見つけるだ……


「いぃっやっはあああああああああ!!」


「いたぁあ!?」


 ちょっと考えごとをしていたらマッハおじさんが近くを駆けている姿を見つけた! よし後は追いかけるだけだ!


「………!!」


 全速力で追いかける! この町の道は毎日毎日ジョギングしたり散策したお陰で何処が何処に繋がっているか全て分かっている! フィル君のためにも牛乳買わせて貰うぞ!


 マッハおじさんが脇道に逸れた。よし彼処は僕も何回か通った事がある、このまま追いかけるより向かってくる方を予測して回りこむ。


 踵を返して違う道から入り込む、ここから走って家と家の間を走り抜けるとさっきおじさんが入っていった場所に繋がる。勿論おじさんがこっち側に出てこなければ意味が無いし見失ってしまうがそのまま追いかけても捕まえられるかわからない、だからこそ賭けに出る。


 前だけを見つめながら駆け抜ける。相手のあの速さからすればこっちに向かってきているならもうすぐ見えてくる筈だ。


「……ビンゴォ!! ってうわあああっ!?」


「ん? あぶろっぱっ!?」


 僕は賭けに勝利し…たと思った瞬間此方に向かってきたマッハおじさんを綺麗に跳ね飛ばしてしまった。いい音がなったと同時に落ちていく。


「だ、大丈夫ですか!?」


 直ぐに倒れたおじさんに肩を貸して起き上がらせる、あまりダメージは受けてないと思うが回復魔法だけは掛けておく。


「大丈夫まだ本体をやられただけだ!!」


「本体をやられちゃだめじゃないですかっ!?」


「問題ないよまだ分身がいるっ!」


 どうしようどこから突っ込んでいいかわかんねぇ…


「まさかこの私がこんなに早く捕まってしまうとはな…誇るがいい! 君はマッハミルク最短記録、第18位だ!!」


 なんか意外と居るようだミルク争奪戦の人達。というか何回やってるんだろう。


「という訳でいらっしゃいませー。マッハミルク1本120Rになりやーす。ちょーどいたーきやーす。ありゃっしゃ~」


 とりあえず120Rを手渡すとどこからとも無く取り出した瓶詰めの牛乳を1本貰った。地球でも売ってそうなガラス瓶で【解読】スキルで読む限り【M】の文字が書かれている。いやまって…この牛乳どこに持ってたんですか? 貴方物持つ場所も隠す場所もないでしょう………いやだめだ深く考えたら負けなんだろう。


「あと1本残ってるのでね! それではああああ!! ふあははははははは!!」


 高笑いを上げながらマッハおじさんは再び爆走していった。どんと疲れたけどとりあえず依頼完了だ。


「めっちゃはえぇ…何なんだろうなぁあの人。てか、牛乳でやる必要あるのかな…?」


 おじさんを見送った後とりあえず中央広場に戻ることにした………







…………







 中央広場で待つこと数分、汗だくのフィル君がこっちにやってくる。直ぐに持っていたマッハミルクを見せると笑顔満面になった。


「ヤスオっ! ま、まさか手に入れたのかマッハミルクを!?」


「お、フィル君ちょうどいい所に。これでいいのかな、さっき捕まえたんだけど」


「いよっしゃあああああああっ!! よくやってくれたぜヤスオ!! 出来れば俺も手に入れたかったけど相棒が手に入れても俺たちの勝利だ!! お前に頼んでよかったぜ!!」


 感激の涙を流すフィル君、喜んでくれるのはとても嬉しいがこうなんか違う…なんか違うよなぁ…


「よしっ、まだ終わってないし俺はもう少し探してくるぜ! 出来れば俺自身でも勝ち取りたいからな!! ここで待っててくれ!!」


「う、うん。頑張れフィル君」


「おおよっ!! いっくぜぇえええええっ!!」


 気合を入れて再び喧騒の中に消えていく彼を見送りながら僕はこの賑やかな祭りを眺めていた。



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