31-02 【漢の熱き戦い、その名はマッハミルク!!】 Ⅱ
マッハミルク開始です。
皆さん何も考えずに御覧ください。
その日ホープタウンは灼熱の地帯と化した……とは流石に冗談として、凄まじい熱気が周囲に漂っている。
何故か上半身裸で筋肉を見せつけている町長さんを始めとしてセイルさんやファッツさん。この前フィル君達と遊びに行った時に出会った露店のおじさんに…しまいにはエスタさんまで出張っておりました…
「な、なにか凄く場違いな気がしてきました…」
「安心しろ俺もそう思う。毎度毎度なぜ付き合わねばならんのか」
直ぐ近くでは同じく周囲の熱気に気圧されているカトル君がハウルさんと談笑しているし、周りを見れば様々な冒険者や町民を見かける。
それよりもまず…
「エスタさんまで参加するんですか…? え、まじで…?」
それでなくてもすごい人が沢山参加している中上級クラスのエスタさんまで混じっているとなると勝てる気がしないのです。
「はは、妻と娘に頼まれちゃね。それにお祭みたいなものだし、ほら、その証拠にあっちの方を見てご覧?」
言われた通りそちらの方を見てみると……
「はーい、いらはいいらはい。飲み物食べ物ぜーんぶ揃ってるよ。どんどんたべていきなー」
「ふおおおお~! たくさん作るよー!! …あ…こぼしちゃった」
ナナさんとてんちょーさんが大きなテントを張って料理を出している。
「いらっしゃいませ~。防具クジだよ~、ハズレはないよ~」
「いらっしゃいませー!!」
その近くではエリスさんが【5万Rクジ】とかそんなのやって、直ぐ近くで何故かバニーガール姿のマリーちゃんがお客さんを引き寄せていた。は、恥ずかしく無いんだろうか…顔がすげぇ笑顔なんだが。
辺りを見ればあるわあるわ露店の山……
「ただのお祭りだこれー!?」
「とまぁ。こういう訳さ。マッハミルクが開催される場所はこうやってお祭り騒ぎをするのが通例なんだよ。いつの間にかね」
「そうなんですね…すげぇなぁ、マッハミルク…ただの牛乳なのに」
「それは僕も思うね。とりあえずお互いに頑張ろう、怪我させない程度のバトルは許可されてるからね、怪我しないように気をつけて」
「あ…はい……バトルあるのっ!?」
ついツッコんでしまったが既にエスタさんは居ませんでした……そうか、だからどう見ても筋骨隆々な人達ばかりが居るんだ…勘弁して下さい。
「おーい! こっちだヤスオっ!!」
「お? あぁ居た居た。こんにちはフィル君」
「おうっ! それにしてもライバルが多いな……女は参加できねぇとはいえ、団長とハウルは強敵だぜ。ヤスオ、絶対に勝ち取ろうぜ!! 120Rは持ったな!?」
マッハミルクの代金は120Rです。
いやまぁ…買うんだから必要だよね、その辺キッチリしてるんですね……なんで走って逃げるのさおじさん…
「それにしてもバトルかぁ……エスタさんとかに出会ったらヤバイなぁ」
「あぁ、バトルだな怪我をしないようにって事で基本素手で相手の体を一定回数触れた方が勝ちってなってるんだ。これなら怪我はしねぇしある程度の実力の差は覆せるだろ?」
「へぇ…そうなんだ? ちなみに何回?」
「お互いにレベルを申告して下級は中級を2回、上級を1回触ればいい。中級は下級を2回、上級を2回だ。上級は下級を3回に中級を2回ってなってる。ここでレベルを申告しねぇ奴、ごまかす奴はそもそも漢じゃねぇからな」
「あ、熱いんですね……はい」
となれば僕とフィル君は下級だからエスタさんを1回触れれば……
「触れる気がしないんですが」
「上級はなぁ…運が良ければだろ。ちなみに負けたら1分そこから動いちゃいけねぇ。これは漢達が決めたルールだ!!」
「何か凄いなぁ…」
「それだけこの戦いには漢としてのプライドが掛かってるって訳よ。負けられねぇぜ…!」
背中から炎のオーラが見える気がするフィル君。余程勝ちたいんだろうなぁ…いまいちこうテンションが上がらないが、彼のためにもどうにかして牛乳を手に入れよう。
「所でいつ頃始まるのかな…?」
「多分もうすぐ…来たっ!! 来たぞヤスオ!!」
フィル君が言わなくてもわかってしまった。
奥の方から確かに感じられる強い気配…これはヘタしたら中級を超えているかも…! 周りを見ると皆もそれぞれ目の前を見つめいつでも動けるようにしている。僕も拳を握りやってくる何か…いやマッハおじさんの到着を待つ。
そして……彼は現れた!!
―ぎゅうにゅうやさん(売るつもりはあるらしい)
「いぃぃるぅあああっさぃまぁあああせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(ドップラー効果」
現れたのは麦わら帽子を被り、サングラスを装着している男性だった。
上半身裸で筋骨隆々な裸体が太陽の光を浴びて光っている。割れた腹筋が異様に目立つ格好をしていて、そして……下がブーメランパンツだけだった………
「へ…変態だあああああああっ!?」
100人中100人絶対に変態と言うだろう変なおじさんが凄まじいスピードで町の中に消えていく、それと同時に周囲は大熱狂していた…え? 僕がおかしいんですか? どう見てもあの人は変態だよね…というかどこに牛乳持ってるんでしょうか?
「っしゃあ!! 今年も俺が頂くぜ! 行くぞハウル!!」
「わかったわかった。さっさと終わらせるぞ、書類が山のように残ってるんだからな。貴様これが終わった後、寝る暇もないと思え」
まず第一に走りだしたのはファッツさんとハウルさんのコンビ。此方も凄まじいスピードで走り去っていく。その二人を皮切りに皆が皆大声を上げながら走っていった。
「ヤスオさん! フィル君! 僕達も行きましょうか! 今日はお互いライバルですね! 頑張りましょう!!」
「おう、こっちも負けないからな! 今年こそは頂くぜ!! 行こうぜヤスオ!」
「あ、はい……」
開幕叫び疲れたし一気に帰りたくなったがやらないわけにも行かないので僕も一緒に走りだした。脳内で帰りたいな~とか考えながら。




