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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
12/216

03-04 【無知の中の研鑽】 Ⅳ

沢山の閲覧数に驚いています。少しでも楽しんでもらえると嬉しいです。

表現などにまだまだ納得の出来ない、うまく表現出来ない所もありますが

頑張ってわかりやすくて、楽しんでもらえるお話を書きたいと思います。

 


 熟練したサバイバルの達人ならこの森は素材の宝庫なのだろうが僕にはそんな知識は無いので何となく使えそうなのを探して歩くしか無い。


 一応かなり丈夫な蔦や蔓などは使えるかもしれないので確保している。1本1本は脆かったりするがまとめて使えばそれなりの強度になるはずだ、その為にはどうやってまとめたらより丈夫になるのか試さなくてはならないけど―


 モンスターと出会ってしまえば殺されてしまうかもしれない恐怖の中、出来るだけ冷静さを保ちながら探索を続けていく。食べれそうな木の実とか武器に使えそうな木の棒などがあれば助かるのだけど、やはりと言うか全くもって見つからない。


 木の実ならともかく槍とかに使えそうな棒が自然の森の中に落ちてるのは不自然過ぎるから当たり前なのだが、せめて木の実位は実っていて欲しい。


 森の中なので小さな虫や蜘蛛などがそこら中を飛んだり糸を飛ばしたりしているのが気持ち悪くてうっとおしい。小さな頃は虫なんて普通に触れたのに今では触るのも苦手になった、流石に飛び跳ねて騒いだりするほどではない…というかこんな森でそれだったら多分死んでるし慣れなきゃいけない。


 これがジャイアントスパイダーとかそんな虫型のモンスターだったら必死に逃げるけど―


「【鑑定】……うーん、やっぱりただの蔦とかじゃ【丈夫】なとか【脆い】とかそういう情報しかわからないな‥」


―【頑丈な蔦】を4個手に入れた

―【丈夫な蔦】を2個手に入れた

―【丈夫な蔓】を5個手に入れた

―【枯れ木】を2個手に入れた


 先程そこで、武器に使えそうな木の棒を見つけたので持ち上げたのだが妙に軽い上に只管脆そうだったので【鑑定】を掛けて見たところ枯れ木だった。


 かなり残念だが焚き火の燃料にはなるだろうし持ち運ぶことにしておく。

探せども探せども使えそうなものは見つからない。短くてもいいから頑丈な木があればと見回すが見つかるのは落ち葉や枯れ木位だ。時間をかけすぎればモンスターに襲われるのであまり長く探索は出来ないのが歯がゆかった。


 偶に見える小動物…種類が何だか分からないが多分リスとかの仲間だろう―

これを取る事が出来れば肉を食べられると思うが、近づく前に逃げられてしまうので取る事が出来ない。襲いかかられるのも困るが、出会い頭に逃げられてしまうのも困ってしまう。ここ暫く魚しか食べていないから肉が食べたくなる。

ウサギを倒せばウサギ肉でも落とさないものかな。


「何も使えるものはないか…流石に長時間探す訳にもいかないし…」


 長時間の探索はモンスターに出会う可能性を高める。

 先程も実はウサギを発見し急いで逃げたのだ、どうやらウサギは索敵範囲が狭いらしい―特に後ろ側はあまり注意を向けていないのだ。動物だったらあり得ない習性だが相手はモンスター、そういう物なのだと思う。


 そういう訳で上手くウサギの視界を避け探索を続けている訳だが、次も上手くいくとは限らない。


「とりあえずもう少し探してダメなら今日は帰ろう。十分に成果は合ったしな…」


 新しい住処に沢山の食料。水だけはどうにもならないがひとまず安定している気がした。


 明日は空いた時間で剣の練習をやっていこうと思っている。少しでも戦えるようになればモンスターも倒せる可能性が出てくるし、そうすればステータスも上がる筈、焦ってもどうしようもないのだしやることもあまりないなら鍛錬でもしようと思うのだ。


 此処に来る前の僕だったら多分やる事がなければ寝ているだろう。

 体を動かすのは好きじゃなかったし外に出る理由は新作のゲームを特典付きで買う時位、それも此処最近は通販で頼むことが多かったので部屋の中で食べては寝てゲームしての繰り返しだ。結果―坂から転がしたらどこまでも転がりそうなデブの完成と言う訳で…


「痩せないとなぁ…せめて長時間走れる程度には身体を絞らないと。」


 などと言いつつも痩せては来ているようで、履いているズボンが少しだけ余裕ができている、強制的に身体を動かしているし食べているのは魚程度、これで痩せなきゃ寧ろ病気か何かだ。


「…痩せた所で顔がかっこ良くなるわけでも無いけどね。」


 よく漫画や小説などである【メガネをとったら美人】【痩せたら超イケメン】は空想だけのお話で…いや、探せば居るかもしれないが僕は痩せようとも、そもそも顔の造形が良くない。


 人間の平均を【50】と考えてイケメンや美人が【70~100】とすると僕は【30~40】位だと思う、自己認識が甘いとかそういう訳じゃなく本気でそんな普通より下の顔なのだ、醜悪とかブサイクとまではいかないけど普通の人よりは格好悪い顔をしている。せめてイケメンとは言わず平均より少しでも上だったらイジメられたりはしなかったのかな…?


「僕の顔なんてどうでもいいか、それよりも使えるもの使えるもの…」


 蔦や枯れ木などを集めていくがやはり数は持ち運べない。

 そもそもが嵩張るものだし籠などの入れ物がなければ持ち運ぶのさえ一苦労する。編み物とかが出来れば袋や籠も作れたかもだが…


「僕は何も知らないんだなぁ…」


 鬱になりそうになりながらも僕は探索を続けた―






…………………………






―翌日


 結局あれから大したものは手に入らず洞窟で夜を過ごした。

 入り口前に焚き火を起き、内部にも焚き火をつけモンスター対策と明かりは確保し眠らずに朝まで起き続けた新しい洞窟の興奮のおかげで眠くなかったのは助かった。そして朝から昼前の少ない時間で軽く仮眠を取り、今僕は川まで来ている―


 昨日予定した通り今日は一日剣の鍛錬を行うつもりだ。

毎日素振りをするだけでもかなり違ってくる筈だし、忘れずにこなさないといけない。


 まぁ…モンスターと戦う以外ステータスやスキルは上がらないかもしれない…そう考えると無意味な事をしていると思う。でもこうやって鍛錬を行う事で自信を持つことが出来れば、次戦うことになるとしても前よりも冷静に戦えると考えればこの鍛錬にも意味は有る筈だ。


 素振りのやり方や型なんてわからないので剣道でやるような【面】を打つ時のような真上から振り下ろすタイプの素振りを行っていく。


 片手武器なので勿論片手で剣を振っていくが、凄く微妙な感じがする。どうせ誰も見てないんだし気にせず1回1回集中して剣を振るった。


 風を切る【ぶんっ】と言う音が剣を振る度に聞こえる。

 僕はこの音が結構かっこいいと思っているが【達人は剣を振った音がならない】とかそういう知識は持っているので、この音が聞こえている内はだめなのだろうか…


 と言うかそんなとんでも素振り現実に出来る人が居るのか疑問です。


「24…25…26…27…28…29…30…」


 軽いとは言え鉄の武器を振り回して30回を過ぎたのにあまり疲れを感じない。寧ろとても楽になっていると感じるのはスキルのお陰だと思う。


 【剣修錬】が無かったら後で確実に筋肉痛になるはず…何せ昔何を思ったか軽く運動した翌日全身が痛くて動けなかったのには参った。それで運動を止めた馬鹿が此処に居ます。


「…50!! よし次は薙ぎ払いの練習だ! と、その前に水飲んでおこう。」


 あれだけ動けば喉が渇く、冷たい水がいつでも飲めるこの川は本当に生命線だ。いつもどおり【浄化】を掛けて水を飲む。ゴクゴクと喉を通りスーっと染み込んでいく感覚、今までジュース以外飲み物じゃないとか言っていたけど水の本当の美味しさってのが最近わかってきた気がする。


 この味と充実感はジュースでは出せないだろう。でもコーラは偶にでもいいから飲みたいな。


 水を飲んで一息ついた所で今度は薙ぎ払いの練習、それが終われば休憩し振り下ろしの練習、休憩して切り上げの練習と剣を振るい続ける―


 あっという間に時間が過ぎ、流石に腕がプルプルし始めてきて剣を握る手に力が入らなくなってきたが、自分で決めた目標数をこなすまでやめようとは思わなかった。


 僕は自制心が足りないから物事を直ぐに諦めてしまう…楽しいことはやめられないのに面倒なことは直ぐに辞めるのが悪い癖だ。この癖をどうにかしなければならない、それを考えて僕は自分で決めた事を何が何でもやり抜く事にした。


「そう…っ! しないとっ…! 死ぬ…! からなっ!! …ご…じゅっかいいいいい! 素振り終了おおおおっ!」


 汗だくになりながらも剣の鍛錬が終了する。右腕が上がらないほど重い…明日の筋肉痛を考えると少し怖いが、これが少しでも身になれば嬉しいな。たった一日やそこらで急成長とかはする訳無いだろうけど、ちょっとでも経験になればそれは確実なプラスだと思う。


「はー…はー………頑張ってるな、僕…今までこんなに頑張ったことなんてなかったよなぁ。ほんと、人間って極限な場所で生きてると変わるんだなぁ。」


 その場に倒れこみ空を見上げる―

 木々で覆い隠されている空の上…微かに空の色と雲が流れているのが見えた。

森の外は一体どうなっているんだろうか? 


 何もない死の地帯かもしれない…もしくは美しい草原があるのかも?

 実はこの森は山の奥地の秘境で、此処を出たら次は下山が始まるとかも可能性がある。


 もしかしたら直ぐ近くに村とか町があって賑わっているかもしれない。

この森を出られた後の事は、まだ漠然としか考えていないけど…もし出られたら僕はどうしようか…


「異世界だもんな…相手がお約束のように日本語喋ってくれる訳ないよなぁ…言葉が通じなかったらどうしようか…」


 文字は【解読】で読めるようになっている。

 でもそもそもの文字は相変わらず理解できていない。そしてこんな文字がある位だ、相手が律儀に此方の分かる言葉を喋ってくれる可能性はあまりないだろう……人に出会う事が出来てもそこからが問題だな…


「ボディーランゲージで伝えるしか…見苦しいとか言われて蹴られたりして…あははは。」


 頭の中で蹴られて転がっていく僕を想像して呆れた笑いを漏らしてしまう。

 でもそんな馬鹿な事を考えられる余裕ができたんだと思うと少し嬉しかった。少しずつだけど僕は此処で生きていくのに慣れてきているのかもしれない。辛いし苦しいし大変だけど…生きてこの森を抜け出したいな。




―03話終了…04に続く



―ステータス報告

【田中康夫】【人間:異世界人】【年齢:20】【Lv:--】

【HP】12 【(力+体)×2】

【MP】10 【知+魔+精】

【攻撃力】3+7=10 【攻撃ランク:D+】

【防御力】3+0=3 【防御ランク:G】

【力】03+00【速】03+01【知】04+00【魔】03+00

【精】03+00【器】03+00【体】03+00【運】02+00

■所持スキル

【カードスロット:3】【サバイバル:最下級】【鑑定:下級】

【解読:最下級】【火魔法:最下級】【水魔法:最下級】【風魔法:最下級】【土魔法:最下級】【治癒魔法:最下級】【剣修練:最下級】

■装備

【ショートソード】【攻撃力:7】【攻撃ランク:D+】【耐久:17/40】

■セットカード

【ファングラビットカード】:【速】+1 重複不可


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