31-01 【漢の熱き戦い、その名はマッハミルク!!】 Ⅰ
カオスターンです。頭を空っぽにして見てください。
深く突っ込んではいけません、なにせ私も考えずにやってますので(何
誤字指摘などとても助かります。筆者はプリンメンタルなのでお手柔らかにおねがいしますね。
―漢として
「ヤスオ!! お前を男と見込んで頼みが有る!!」
ある晴れた日の午前、フィル君が僕の家にやってきた。
何というか切羽詰まった様な表情で、僕が出したお茶を飲むやいなや土下座する程の勢いでフィル君が僕に頼み事をしてきたのだ。とりあえず最近買ってきたソファに座らせて落ち着かせてから応える。
「何か大変なことがあったのかい…? 僕に出来る事なら何でも来いっ!」
年下とは言え、いつも戦いや日常で頼りになる彼が僕を頼ってくれたのは嬉しい。ここまで切羽詰っている感じである以上、戦うことも考慮しておかなくては。戦う事はそこまで好きではないが友達が困っているのなら僕も全力を出すつもりで居る。
「ありがてぇ!! まずはこいつを見てくれ!!」
そう言うやいなやフィル君は一枚の紙を僕に渡す。これは…いつも依頼を受ける時に掲示板に貼り付けられている依頼書だった。
この世界大体の小説などに存在するギルドとかギルドカードとかそう言う便利な物はないので…都市まで行けば国が似たような事してるらしいけど、滅茶苦茶規制が厳しいし、お金にも殆どならないからあまり誰も来ないらしい…。
それはともかくとして、それでも依頼等は色々あるものなのでそういうのは食堂や酒場、町の中央広場や町の入口に依頼書として貼り付けられている。この中から好きな依頼書を持って依頼人の場所まで行きそこで初めて依頼を受けるんだ。僕も何回かやったことがある、配達とかハウンド肉の納品とかフィールドの間引きとかそういうのを何回かね。
安いのでも10万位もらえるし小金稼ぎには本当に良いものだ。ちなみに実力があるなら一般人だって受けてもいい、誰が受けてもいいが失敗し続けたら小さな町だから噂は広がるし受けづらくなるだろう。
さて…肝心の依頼書には何が………
「【マッハミルクの購入、報酬10万R】…………まっはみるく…? 牛乳のことかな?」
何か飲むと早くなりそうな牛乳の名前だなぁ……と言うか報酬が僕の月の月給の半分なんですががががが。
「……フィル君これ一体何かな…? え? 牛乳買うのに報酬でるの? それも10万って僕の一月の給料の半分なんだけど」
「こいつはただのミルクじゃねぇ…!! 漢のプライドがかかってるんだ!! マッハミルクを手に入れれば俺はまた一歩漢に近づく!」
熱弁を振るうフィル君。このミルクは凄いんだと色々教えてくれるが漢になるのと牛乳の関連性が良くわかりません。
「前の時はあと一歩の所で団長に持って行かれちまった。今回は負けるわけには行かねぇんだ!! そしてこのマッハミルクをエルにプレゼントする!!」
(なんか凄い盛り上がってるけどさっぱりわかんねぇ…とりあえずフィル君の頼み事だしやるからには全力でやるけどさ。なんてーかつまり早い者勝ちの買い物って事だおよね?)
「とりあえず、そのマッハミルクってのが何なのか教えてくれないかな? 此処に来てしばらく経つけどそんなの聞いたこと無いし」
「そっか、そういやヤスオは遠い場所から来てたんだったよな。それじゃ流石に知らないか。実は様々な町を駆け巡ってはそのマッハミルクを売ってるやつが居てさ、そいつからマッハミルクを買う事が出来た奴はその功績を認められて漢に認定されてるんだ。下手すりゃ買うことも出来ないんでな」
「なーんとなく想像ついたけど、一応聞かせてくれるかい…何で買えないのかな…?」
「決まってる! そいつは自分に追いついた奴にしかそのマッハミルクを売らないからだよ! 町の男が総出で買いに行って結局買えなかった町だって有るほどだ!」
「そいつなんで牛乳売ってるのっ!?」
勢い良く突っ込むがフィル君は気にしておられません。
「今じゃ、そいつからミルクを買うことがステータスになってるやつだって居るレベルだ。話に聞く限りじゃ大都市でも大人気らしいぜ」
「所で、そのマッハミルクって普通の牛乳より美味しいとかなにか特殊効果があるとか、あったりするのかな?」
「いや、味は普通の美味い牛乳だって団長が言ってた、変な効果もないぞ? ちなみに120Rでリーズナブルだ」
「なんで皆こぞって買いに行くのかな!? わけわかんねぇよ!?」
「そいつは漢のプライドが!!」
「いや、それいいから」
町や都市中の男たちがこぞって逃げまくる売り子さんから牛乳を買いに行くというこの異質な状況に気づいてフィル君!?
「今回こそは! 絶対に団長やハウルを出し抜いて俺が手に入れてみせる! ヤスオ! 協力してくれ!!」
「泣くほど!? 泣くほどなのっ!?」
悔し涙とばかりに顔を上向きにして男泣きするフィル君。余程悔しかったのだろうが、こう…ついていくのは色々精神にダメージが来そうです。
「と、とりあえず分かったよ。どこまで行けるかわかんねーけど、全力で手伝うさ!!」
良くわからない戦いに巻き込まれた気がするが、普段頼み事とかしないフィル君に僕を見込んで頼みに来たと言われれば頑張るしか無いさ。例えちょっと良くわからない牛乳争奪バトルだとしても。うん、良くわからない矜持があるとしても……
「感謝するぜヤスオ! お前の素早さがあれば百人力だ! 多分団長はハウルと組むはずだ。宜しく頼むぜ!!」
「うん、頑張ろうか。所でそのマッハミルクについて色々聞かせてよ。何をどうすればいいか分からないから」
「おっとすまねぇ、肝心のルールを教えるの忘れてたぜ。つってもルールは簡単だ。最大二人までのコンビを組んで、勿論自信があるなら一人でもいいぜ? あるタイミングでやってくるマッハおじさんを捕まえて牛乳を買う。これだけさ」
「マッハおじさん……」
一文字違ったらかなりヤバイおじさんだと思います。いやマッハおじさんの時点で色々危ういけどね。なんだろう音速超えてるんだろうか。
「この勝負はさ【女性】は参加できないんだ、理由は女性を怪我させちゃだめだろう? ってマッハおじさんが言ったからなんだが」
「その辺紳士的なのね…」
「女性にも強い奴なんてごまんと居るからそっちはそっちで似たような大会をしてる人が居るらしいぜ? 光速おばさんとか」
「……突っ込んだら負けな気がする」
「でだ、このマッハミルクは2個しか売ってくれないんだよ」
「よし! もうその時点で売るつもりねぇな!?」
沢山用意して最初の1~2位だけ特別で後は普通に売ってくれるとかじゃないんですか!? なんでそれだけの為に走り回るかな…
「だから最低でも2位を目指せば良いんだが、やっぱり漢たるもの2番目に甘んじるより1位を勝ち取るのが格好いい漢ってもんだろ? だからこそ俺とヤスオで1,2フィニッシュを決めたいんだ。コンビならどっちが買っても俺達の勝利だが出来ればどっちとも買いたいからな」
ちなみに運良く買えた人は再度買うチャンスは無いそうだ。うん、わざわざ2個買うつもりは僕にもないが。
「んじゃ、歴代の購入者の取り方をまとめた本があるからこれからマッハおじさんの攻略法を探そうぜ」
「分厚いっ!? なにこれ…本になるほどなの!?」
どうしよう…世界は不思議なことばかりです、父さん、母さん……




