CP-14 【はじめてのプレゼントとふぃーば~】 Ⅰ
ブックマークが異様に増えていてちょっと怖かったです(汗
沢山の方に見てもらえているようで嬉しいです、まだまだ描写も苦手でほぼ書きなぐりですが、少しでも上手くなるように頑張りたいです。
カノンが長期滞在している一室では沢山の自作の人形が並べられている。趣味で作ったものや、戦闘中に使用する攻撃系人形等様々だが。どれもこれも人形としては一級品であり、彼女の腕がよく分かる代物である。そんな人形達の中、一つだけ全く違う人形があった。
彼女が作ったとは思えない、可愛らしいが彼女の視点から見れば粗が目立つ代物である…だが、カノンはその人形を見て柔らかい笑みを零した。
「……ふふ、そこそこ可愛いわね。私が作る人形には劣るけど作り手の愛情を感じるわ」
人形の頭を撫で、自分の大事にしている人形の中心に座らせる。他の人形と較べていくらか違和感があるがそれもまた味なように見える。
「流石に戦闘には使えないしこの子は此処においておきましょう。ふふ、良かったわね、貴女も私の人形の友達になれるわよ。さて…どうしたものかしら…」
そして…何時もの様に彼女は深く脳内で考える―
【―のーないかのん― プ☆レ☆ゼ☆ン☆ト…キタ━━━━━━━☆(ハイテンション】
脳内でカノンが猛スピードでどこぞをハイスピードで駆け回っていた。
ドドドドドと爆走し砂煙が舞っているが、脳内なので多分気にしてはいけない。
【―のーないかのん― これが…これがあの伝説の【プレゼント】!! プレゼントなのね!? 大事な仲間に送ると言われる心が込められた想いの結晶!! 初めて…生まれて初めて人からプレゼント貰ったわっ!? なにこれテンション上がってきた!!!】
テンションの上がり過ぎでそのまま倒れそうな勢いだが、やはり表面上は人形を優しく見つめているだけである。ここまで来ると一つの特技と言えるだろう。脳内は今のように溢れんばかりに喜びに満ち溢れている。
【―のーないかのん― ありがとうヤスオさん! 貴方を選んだ事に間違いはなかったわ!! こんなに毎日が幸せだなんて…私もう何も怖くないっ!!】
脳内でババーンと効果音が付きそうなレベルで踊っているカノン。今まで仲間すら出来た事がない彼女にとって他人から信用され、プレゼントをもらうなど夢のまた夢、リア充達が行う奇跡の儀式、自分には縁遠い神々の世界の神話のような物だったのだから、例え安い人形と言ってもヤスオから貰ったプレゼントは何よりも素敵な宝物になった。
自身が作り気に入った人形しか並べないスペースの中心に宝物を祀るようにセットしている所からも彼女が感激しているのがよく分かるだろう。
【―のーないかのん― はっ!? お返し!! お返し考えなきゃ! ダメよかのんっ! 貰いっぱなしなんて仲間として許されないわっ! 何を…何を送ろうかしら!?】
「…………………………………………」
【―のーないかのん― 何も思いつかないっ!? どうしよう…人に物を送ったことなんて有るわけなかったー!?】
そもそも他人と会話することもほとんどなかったカノンである。人にプレゼントのお返しをするなんてハイレベルな事を体験したことなど有る訳もなく、ただジタバタと脳内で暴れている。
ちなみにその間もリアルのカノンは椅子に座りながら静かに長考している…ように見える。弱さを見せることのできなかった彼女の弊害とも言えるかもしれない。
【―のーないかのん― だめよかのん! ここでくじけちゃまたボッチの仲間入りよ! ヤスオさんが喜ぶような素敵なものを考えなきゃ!! …ヤスオさんって剣使うから……剣とか!?】
きゅぴーんと頭が冴え場面が浮かび上がる―
―空想では元気ハツラツ
「ヤスオさんっ! この剣貴方に似合うと思って。この前のお返しよ♪ 受け取ってくれるかしら」
きらりんと擬音が付きそうな満面の笑顔でこれまた格好いい小剣をプレゼントするカノン。それに対しヤスオもこれまた瞳に小宇宙が見えるキラキラ笑顔でよくわからないポーズを取りつつ爽やかに受け取った。
「ありがとうカノン。超ありがとう、君からプレゼントを貰えるなんて嬉しいよ。あぁ、流石は僕の仲間だ」
笑何故かカノンと同じ位の身長になり、どことなくアメリカン的な要素を兼ね備えていた、陽気で【HAHAHAHA☆】とか笑い出しそうな感じになっているが想像…空想の中なのでヤスオに罪は多分無いはずである。
「そうよね! 仲間だものね!!」
…………
【―のーないかのん― これだぁ…!!】
残念ながらここにカノンを止める者は誰も居なかった。
「そうと決まればまずは情報集めね……フィル君なら何か分かるかもしれないわ。まずは彼の所に向かいましょう」
カノンの初めてのプレゼントお返し大作戦が始まる―




