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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
114/216

30-04 【慌ただしい平穏】 Ⅳ

―パライズモスAが現れた!

―パライズモスBが現れた!

―ヴァイパーが現れた!



 猛スピードで襲い掛かってくるモンスター達。戦い慣れたとはいっても奴等が強敵であることには変わりはない、まずは【水弾】をと魔法を構える前にコリーちゃんが前に躍り出る―!


「はっは~! お前等の弱点なんざおみとーしよ!! 【ポーションピッチャー】!!」


―コリーの【ポーションピッチャー】!!

―【毒のポーション】を投げつけた!!

―パライズモスAに命中!! 【毒】に侵された! 身体が濡れている!

―パライズモスBに命中!! 【毒】に侵された! 身体が濡れている!


 バックパックから取り出した小さな小瓶を2個あっという間にパライズモスに投げつける。モンスターにぶつかった衝撃でガラスが割れ黒い液体が全身にかかっていく。成程…毒のポーションか! シーフにはポーション投擲のスキルがあるって聞いたけど…凄い便利なスキルだ…! これであいつらはでかいだけのモンスターでしかない!


「続いて攻める!! 【先手】! 【蓮華】えぇぇぇ!!」


 それなら僕の相手はあのヴァイパーだ。剣を抜きいつものコンボを叩き込む―!


―【開幕】 ヤスオの【先手】発動!!

―【最速行動】付与 このタイミングのみ【速】+5!


「はあああああああああああっ!!」


 強敵だ、すさまじい一撃を持つ巨大な蛇だ。だが……お前とはもう何回も何十回も戦っている! 今更お前一匹に苦労する訳にはいかないんだ。


 【先手】に寄るブーストで一瞬でヴァイパーの目の前に走りこみショートソードを食い込ませる。肉を切り断つ音と共に新たな力が湧き上がる―!


―ヴァイパーに絶大なダメージ!!

―連鎖発動!!


「【三散華】っ!!」


―【三散華】発動!! 

―絶対命中! クリティカルヒット!!


 技を叫び感じる力と共にバチバチとオーラの火花を放つ剣を逆袈裟に斬り下ろす。その一撃はヴァイパーの胴体を寸断するほどの威力が篭っていた。開幕数秒、僅か1ターンでヴァイパーは首と胴が切り離され消えていく。


―ヴァイパーに致命的なダメージ!! ヴァイパーを倒した!!


「す…凄い…! あれが熊を倒せる人の実力か……僕もあそこまで行かなくては…行くぞ!! 変身!!」


 カトル君がパライズモス向かって駆け出しアクティブスキルを発動させた。


 瞬間彼の身体が発光し…そして―


 滅茶苦茶かっこいいメタリックなアーマーを装備したヒーローに変身していた。何というかこう…日曜日辺りにやってそうな変身ヒーローっぽい見た目だ、メカメカしい訳ではなく、ファンタジーの勇者が着てるっぽい青白いアーマーに身を包み、肉体が見える場所は一つもない。全てが太陽の光を浴びて輝き反射している。頭部は僕の変身と同じフルフェイスタイプの兜で覆われていた。


 結論=僕の鎧マンと交換してください


「行きますっ!! 【連脚】!!」


―攻撃力ランク+1 攻撃力2段階上昇!! 

―防御ランクが最下限!

―【速】3倍

―【回避率:3倍】

―4ターン持続!

―カトルの攻撃!! 【連脚】発動!!


 視認するのがやっとなスピードでパライズモスを2連続で蹴り飛ばした。まるでボールの様に吹き飛んだが、まだ生きているようで絶叫を上げて突撃を仕掛けるが、残像が残るほどのスピードであっさりと躱し、同時に手痛い反撃を浴びせる。先ほどの一撃でダメージを受けていた方はこのダメージに耐え切れず消滅した。


 そして残る1体はミラちゃんとレティカちゃんがしっかりと止めを刺す。この間僅か1~2分、あれほど苦戦したモンスター達は拍子抜けするほどあっさりと倒し終わってしまった。


「か、回復魔法を使う場所もありませんでしたね…」


「おつか~。いやぁヤスオさん凄いね。手数が武器のショートソードなのにあのヴァイパーが2発叩き込んだだけで死んじゃうなんて。キャラパゴスだったらダメージ必死で張り付いてチクチク与えるしかなかったのに」


「だれがキャラパゴスだ。とと…もう時間か」


 カトル君がそう言ったタイミングで変身が解け元の長身イケメンに戻る……イケメンで格好いい変身持ちとか……超羨ましい。


「カトル君…その身長すこしか変身交換しない?」


「は…はい?」


「いや、なんでもないよ。お疲れ様」


「はいお疲れ様です。それにしてもコリーも言ってましたが、あのヴァイパーを瞬殺するなんて凄いですね。僕も頑張らないとですよ」


 いやぁ…成長して並ばれたら確実に君のほうが強くなると思うよ?? ほらこう…戦いの経験値的に。


「今見せたのが僕の切り札のアクティブスキルです。火力は高くなるんですが防御が一気にダメになるんですよね。当たるとヤバイのが難点です」


「鎧で身体守ってるのに逆に弱くなるんだから面白いよねぇ。でもでもヒーローは格好いいもんだっ(顔も隠せるしねぇ~)」


「カトルあんたねぇ…その切り札をほいほい見せるんじゃないわよ」


 ミラちゃんが微妙な顔をしながらカトル君に言う。基本的に切り札は人に見せないから切り札し彼女の言う事ももっともだ、盛大にスキル鑑賞会することになった僕のセリフじゃあないが。


「何を言うんだミラ。信頼する相手に実力を隠すなんて僕には出来ないよ。それにすでにヤスオさんのスキルも見せてもらってるしねこれでおあいこさ」


「とまぁこれが私達のパーティですね。火力も回復も揃ってますが防御力がないのがネックです。同等か下位のモンスターならそうそう当たらないのですが、当たると直ぐ崩れる可能性もありますし」 


「私、火力魔法しか無くて…土属性なのに防御魔法とかないんだ。だから前衛はいつもカトル君とコリーちゃんに任せてるんだけど、防御がない前衛とシーフだから…」


「確かに後衛に攻撃が来たらきついよね。特に熊を相手にするとうちも何故か後列のメンバーが目をつけられるからかばうのが大変なんだよ…」


 あの熊は後列メンバーになんか恨みでもあるんだろうか。あれかな…? ハウンドに肉投げつけたらそっぽ向いて食べ始めるのと同じような習性なのかもしれないな…とは言え熊のためだけに後列を前衛に回すのは本末転倒だから、後衛に居てもらうしかないんだが…


「僕以外にも自警団のフィル君やファッツさんはタフだし防御も硬いんで前衛メンバーとしてオススメするよ。何よりフィル君達もレベル上げたいって頑張ってるからね」


「な、成程…自警団の人と一緒ってあんまり考えた事なかったです」


「確かに二人共自警団員だけど結構パーティに付いてきてくれるからダンジョンとかを潜るなら相談してみるのもいいかも。僕も仕事がある時以外は大丈夫だしも知り合いもいるから紹介ならできるよ」


 カノンとかアリアちゃんなら後衛砲台として頑張ってくれるだろう。特にカノンはダンジョンに行くなら必須とも言える火力だ、アリアちゃんも支援や阻害が得意で、帰りに帰還の羽が要らないというお得スキルもある。


 ミキは除外、あいつは僕意外と組まないって言ってたしなぁ…


「有難うございます。僕じゃ前衛のタンクは出来ないのでそういうのが専門の人は助かりますよ」


「ほっほっほ。雑談もいいけど狩りも続けようよ。せっかくヤスオさんに来てもらってるんだしね。今日はレベル上げるよ~♪」


「私今日レベル上がっちゃった。これで漸く皆に追いついたよ~。早く中級魔法覚えたいなぁ」


「よし、それじゃ続けようっ! 僕も頑張るよ!!」


「はいっ! 頑張りましょう!」


 こうして初の別の臨時パーティは大成功で終わった―


 また少し強くなり、縁を紡げたと思う。



―30話終了…31話に続く。


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