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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
113/216

30-03 【慌ただしい平穏】 Ⅲ

フィールドアタック開始です。


―ホープタウン フィールド




「ふふーん! お前の動きはすでに見切ったぁ! なんつって!」


―コリーの攻撃!! 


「ギイイイイッ!!」


 コリーちゃんの放った弓矢が寸分違わずスモールベアの目に突き刺さる。絶叫を上げその場でブンブンと手を振り回すスモールベアだが、そこには既に誰も居らずあまりにも隙だらけだ。


「よし…今だっ! 【石弾】!!」


―レティカは【石弾】を唱えた!!

―スモールベアに中ダメージ!!


 メイジのレティカちゃんが持っている魔法の杖を媒介にして土属性の魔法を唱える。杖の先から展開された魔法陣の中からカナリの大きさの石の塊が魔法の名前の通り弾丸となってスモールベアの頭部に叩きつけられる。


 たかが石と思うなかれ、あんなバスケットボールよりでかい石っていうか岩なんか野球のボールより早いスピードで叩きつけられたら人間なんて即死するほどの威力だ。今の僕でも当たればダメージは大きいはず、盾で防いで魔法で抑えて…ダメージが当たるかな? 位にまで弱くなるが。


「ガアアアアアアアアアアアッ!!」


「甘いっ!! お返しだっ!!」


―スモールベアの攻撃!!

―ミス!! カトルは回避した!!

―【反撃】!! スモールベアに中ダメージ!!


 全身ボロボロでも逃げる事もせずカトル君向かって爪を振り下ろす―!

 

 しかしそんな遅い一撃僕だって避けられる、そしてスピードがメインのアタッカーであるカトル君にそんな攻撃が当たる訳もなく相手の攻撃を回避したその勢いのままモンスターの頭部に裏拳を叩きつけ吹き飛ばした。後は火力のある一撃を叩きこめばいい…なら、僕は支援に回ろう。


「ミラちゃん! 【炎与】!!」


―ヤスオは【炎与】を唱えた!!

―ミラの攻撃に【火属性】が追加! 攻撃力が上昇した!!


「了解しました!! 喰らいなさい!! 【流星】!」


―ミラの攻撃!! 【流星】発動!!

―スモールベアに大ダメージ!! スモールベアを倒した!!

―ヤスオを除く全員に経験値配布!

―スモールベアの皮2個 スモールベアの爪1個獲得


 ミラちゃんの放った矢が炎を帯びスモールベアの喉に突き刺さり内部から焼き付けていく。モンスターは叫ぶことも出来ずその場でのたうち回った後ゆっくりと消えていった。僕達の勝利だ―


「皆さんお疲れ様です。スモールベアも流石にこの人数ならそうそう負けませんね。後2~3体なら行けるでしょうか」  


 アコライトのスノゥちゃんが笑顔で言う。

 スモールベア戦だと大体何回か回復魔法を使うらしいが、今回は僕とカトル君で牽制しながら戦ったので、誰もダメージを受けておらず余裕がある。


「みんなお疲れ様~、すごく楽に倒せたね、人が増えるのはやっぱり助かるよ~」


「たしかにねぇ。それも前衛、後衛、支援、阻害、回復まで出来る人って。正直、私達邪魔にならないか心配よ」


「それもあるけど戦闘中よく見てくれてるから指示に何度か助けられたよ。僕じゃこうは行かないからね。基本スノゥに任せてるし」


 皆からこう…ほめられると何というかこそばゆい。まだまだダメな場所が多いから、なんともね。


「いや、正直一杯一杯で指示に注視すると前衛が疎かになるんだよね。僕もまだまだだよ。それよりもカトル君の敵に肉薄してからのカウンターが凄いよね。防御力があればずっと張り付いてられるんじゃ?」


「僕は素手タイプなので防御の硬い装備は重いから装備できないんですよね。防具屋さんの所で売ってたフェザーアーマーがあればそこそこ行けるんですが、流石に300万Rはきつくて」


 あー…売ってたなぁ、かなりの防御力があるのにとても軽いっていう防具。下級から中級前半にかけて僕やカトル君の様な軽戦士が欲しがる防具の一つだ。僕も欲しいんだけどお金が足りないから我慢中だったりする。


「一応切り札があるのでそれを使えば熊もある程度しのげます。とは言え勝てる訳じゃないんで僕が囮になって逃げましたけど。ヤスオさんと同じ変身タイプのアクティブスキルなので、次の敵の時にお見せしますね」


「おぉ…! 楽しみだよっ!」


 変身スキルは格好いいよなぁ…僕? 僕はほらなんだ…? なんて言うか悪役っていうか鎧マーン! って感じの微妙っぽさだったので…


「それにしても~、ほんと数時間位やってるのに消費がダンチだね。ヤスオさんが来てくれてよかたよ~」


 にこにこと笑いながら持ち上げてくるコリーちゃん。何というか彼女はこのパーティのムードメーカーみたいだ。おどけてみたり皆の様子を見守ってたりと、皆の事が大事なんだなぁってよく分かる。


 逆にレティカちゃんとミラちゃんは少し壁みたいなのを感じる。こう……昔の僕の様な、排斥する感じを…無理やり取り繕っている感じがするんだよな。僕がそうだったから何となく分かる。でも決して嫌われてるって訳じゃなさそうだ…きっと何かあったのかもしれないが…それは僕が割り行っていい事じゃないだろう。何かあれば相談には乗るつもりだ…役に立つかは分かんないが。


「皆もレベルが上がれば直ぐここまで来るさ。僕なんて色々やる事が多いからどれも中途半端だしね。まだまだ強くならないと」


「すげぇ…これが上に居る人の理論っすね。どう思うキャトルン?」


「誰がキャトルンだ誰が」


「あっはっはっはっ………って来たね。皆戦闘準備!! 奥から降臨さぁ」


「パライズモス2体にヴァイパーじゃないか!? こいつはきついぞ…!」


 コリーちゃんが指し示す方向から此方に向かってモンスターが襲い掛かってくる。あれは僕が前に死にかけた布陣そのままじゃないか…!


「皆っ! パライズモスの鱗粉に気をつけて! 行くぞっ!!」


 強敵戦が始まる―!!





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