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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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CP-13 【お勤め終了と自由なシーフの一日】 Ⅲ

短いですがこれで彼女のターンは終了です。

各キャラともこうやって短編シーンがあります。視点変更が色々ありますがどうかご容赦ください。


―宿屋【おまんら誰も寝かしまへんで!!】亭



「あーあ、なんかつまんねーの。今日はなんにも面白いことなかったわ。さっさとご飯食べて寝よ」


 ベッドに倒れこんで愚痴る。

 変なおっさんに捕まるし、おっかない女にも出会っちゃうし、ほんとせっかく開放されたのにミキ様の精神はボロボロだっての。そう思わない? ママ…?


 首に下げてたロケットペンダントを開く。

 其処には何も入っていない、ただ私と大切な人の記憶が残ってる。小さな文字で私に対する言葉が―


「はぁ…毎日楽して生きていけたらなぁ。ねぇ、ママ。あんたもそう思うでしょ? って…あんたはそうは思わないか」


 私のママはこの世界じゃ危ういレベルで良い人だった。この町に住んでる奴らレベルで良い人で、優しくて…んで、私と同じ位に美人だった。仕事が仕事だからそうじゃなきゃ生きていけなかったんだろうけどさ。


 言っておくけど、私はアンタのようにはならないから。真面目に生きて誰かに優しく? んな無駄なことなんかしてたら食いつぶされるのが落ちよ。この町はアレだけどさ。人間なんか一皮むけば全部私と同じなんだから。この世界私以外は全員敵であり奪う相手…奪わないと奪われるだけ。もうそんなのまっぴらゴメンだから私は奪う方に回るんだ。


 でもそれなのに…ママの言葉が私を縛る。ロケットに書かれた言葉が私を縛るんだ―


【ねぇミキ…お母さんと約束して…? どんな時でも恩を受けたら…返して上げてね? 私はそんな優しいミキが好きだから】


「受けた恩は返すわよ。それがあんたに最後に残した遺言だしね、でもそれだけだ。それ以外は私の好きな様に生きる」


 とりあえずはヤスオに恩を返して…それが終わったら本気でその後どうしよっかなぁ。悪事はおっかないからやめておかないと。暫くはヤスオについていこっかな。お金稼げるのは助かるわよね、スリなんかしてる以上に稼げるし頑張れば億万長者も夢じゃない。モンスターは怖いけどあいつが守ってくれるんでしょ? そう言う約束したもんね。


「んー…どれ位やれば恩を返した事になるのか…命を救われた訳だしちょろっと手伝った位じゃだめよねぇ…あぁ、なんて義理堅い私」


 こういうのってどこまでやればいいかわかんないわよね。

 何を持ってだから、あれかな? ヤスオがもう大丈夫って言えば…ってあいつもう言ってたじゃん…ほんと何かする前に恩なんていらないとか、無欲な奴って言うかこう…あるじゃない? こんな可愛い女を見てたら普通ならそっち方面に考えるとか。ほんとは誰にも触らせたくなんてないんだけど、あいつなら特別に1回300万R位払えば手を繋いでやってもいいのにね。


「手を繋いで300万…ボロいわね…ちょいと言ってみようかな」


 って…あいつじゃスルーするか馬鹿にしてくるわね…ぐぬぬぬ…あいつ私を女だと感じてないんじゃ…あいつは色盲かなんかでしょ!? まったく腹立つわね、その割にはカノンとかアリアとか言う奴? には優しそうな雰囲気出してるし…そーいう差別は良くないと思います!! まぁ…あいつがそんな感じでこっちに話しかけてきたらキモいけど…うん、あれはあれでいいや。


 話が脱線しすぎたわね…恩よ恩。んー……思いつかないし今はこれでいいかな? ちょちょいと手伝ってやればあいつも感謝するでしょ。ミキ様のシーフ技能は素晴らしいんだから、他のシーフとはこう技能の差があるのよ技能の差が。いつかあいつらが全員私の技術の虜になること請け合い、いやぁ、私の未来は明るいわねっ!


「そうだっ! 今からヤスオに【念話】かけてやろっと! どーせあいつの事だから今の時間なら本でも読んでるでしょ。あれなら喋ってても疲れないしからかってストレス発散しよっ♪」


 感謝しろよヤスオ~? 女っ気の無さそうなお前にこんな可愛いミキ様がお話してあげるんだからな~。こんな奇跡滅多に無いんだからむせび泣いて感謝しなさいよ。

 

 あいつが吃驚する様子を考えながら私はあいつに【念話】を掛けた。

 さっきまで感じていた寂しさを感じていない事にはまだ気づいてなかった―


―29話に続く

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