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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【1章】 異世界での成長録
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CP-13 【お勤め終了と自由なシーフの一日】 Ⅰ

29話の前にミキのターンです。


「明日からは宿でも取るか町を出るか好きなようにしろ。そしてこいつはセイルからだ、持っていけ」


 朝っぱらから起こされてなんなのよって思ってたらなんかお金渡されたんだけど……


「は…? え、何? どういうことよ?」


 封筒の中には1万R札がぎっしり…ひのふの…なにこれ60万Rも入ってる。セイルって事は塩屋、じゃなくて道具屋のあのおっさんよね。朝早すぎて頭が回らないんだけど…


「どうもなにも開放と言うことだ。なんだかんだとお前は奉仕はこなしたからな。その金はセイルからの餞別だ。本来なら何もないのだからあいつに感謝しておけ」


「あ、そっか…もう終わったのね。いやー、漸く開放されるわ。これで硬いベットからもおさらばできる」


 留置場にあるベッドって硬いのよね、色々持ち込んでとかも出来ないし寝るのが大変なのよ。でもまぁ清潔だし他の宿屋に比べれば充実してたし悪くないって言えば悪くないけどさ…毎日これと顔をあわせるのが精神的にすり減るのよねぇ…こいつ目が怖いのよ、どっちかというと自警団と言うよりそれに追われる犯人って感じ。


「これ以降貴様は悪事さえ行わなければ自由だ、俺達も関与はせん。この町を出るならそれも良し、冒険者として残るならそれもまた良しだ。貴様の好きに決めろ」


 そっか、これで漸く自由の身ね。足が棒になる様な仕事ともおさらばっと。正直この町に未練は無いし本来なら直ぐ飛び出す所だけど、そうも行かない理由があるのよねぇ。となればまずは…


「ねぇ、この町の宿って冒険者優遇とかしてくれないの?」


「そんなものがある訳なかろう。だが、長期の契約を取れば大体何処の宿も値段は融通してくれるはずだ。そこからはお前の交渉次第だな」


「ダンジョンアタックの時のお金や、今もらったお金だけじゃ流石に心許ないわね…どうしよっかな」


「お前…あれだけあった報酬でも足りないと抜かすか。宿とは言え数百万もあれば暫くは暮らせるだろうに」


「当たり前じゃん、女はね色々とお金がかかるのよ。この10倍あっても足りないくらいなんだから。うーん……とりあえずは町をぶらぶら歩いて考えるかな」


 とりあえずは面倒くさい仕事から開放されたんだし羽根を伸ばさないとね。あれも買って、これも買って~…


「やれやれ…先が思いやられる女だ。流石に顔見知りになったとはいえまた阿呆な事をやらかしたら次は問答無用で叩きだすから覚えておけ。宿泊先は貴様の知り合いにでも相談するんだな」


「へいへいもうしないわよ。それじゃね、出来ればダンジョンアタック時以外はあんたに会いたくないわ」


「安心しろ俺もそれには同意見だ」


「ムカつく男…」


 そんな訳で私は漸くこの留置場から解放されたのだった―








―ホープタウン 商店街


 いつもは仕事で歩いてた場所だけど今日は気分も良いし何でも買えちゃいそう♪ いやぁ~真っ昼間からのんびり出来るって良いわね♪ 暫くずーっと朝早かったから眠くて眠くて。これから自堕落に過ごせそう♪ てか、あのおっさんわざわざお金包んでくれるとはねぇ…人が良いっていうのかなんて言うのか。仕事はつらかったけど、あのおっさんには感謝しておこうかな。


 って、その前に住む場所考えよっと。宿屋もいいけど高いのはなぁ…知り合いなんて全然居ないから転がり込めないし。


「あ、ヤスオの家に転がり込むか」


 あいつなら普通に泊めてくれそう。善意が服来て歩いてるやつだし襲われたりもしないでしょうしって、流石にダメか…あいつそういう事には滅茶苦茶厳しいしね。だからこそ信用出来るんだけどさ…


 あーあ、どっかにタダで泊まれてのんびりできるいい場所ないかなぁ。最悪は宿で妥協するかぁ。何にせよあいつに恩を返すまでは残らないとね。それが終わったら本気でどうしよ? ミキ様は可愛いけどその分敵も多いからなぁ。


「おや…? 貴女はたしか」


 色々考えてたらスグ近くから野太い声が聞こえた。

 振り向くとそこには…なんて表現していい分からないデブったおっさんが立ってた。背中にリュックとか背負ってるし…なにこれ変なおじさん? あ、思い出した!! 顔が独特で出来るだけ忘れようとしてたおっさんじゃん…何で私の事覚えてるのよ? 私が可愛いせいかっ!


「やはり、セイルさんの所にいた店員さんではないですか。今日はお休みなのですかな?」


「うぇっ…えーと…あ、あんたは確か…」


「おや、どうなされましたかな?」


 きらんと光るメガネがこう…ねーよ!? なにこれ!? 私もしかしてコレにナンパされてるの!? 勘弁してよっ!? お呼びじゃ無いっての!!


「……ふむ、なにやら誤解されているようですが、ナンパなどではありませんぞ? ちと見知った顔なので挨拶にと伺ったまでです」


「アッ、ソウデスカ…べ、別にそんな事考えてないですよ、えぇ」


「ははは、私は見た目があれですからな、身構えてしまうのはわかります。此方こそ不躾に話しかけてしまって申し訳ない」


「べ、別に謝らなくたって良いわよ。…あんたってもしかしなくても冒険者? 防具とかつけてるし」


 一応申し訳程度にブーツとか籠手とか装備してるし…に、似合わねぇ…


「えぇ、此方に暫く逗留させて頂いているオッターと申します。クラスはメイジですな失礼ですがお名前をお伺いしても?」


「ミキよ、シーフやってる」


 このおっさんメイジなんだ…見た目じゃよくわかんないわ……どっちかというとこう…町のモブAって感じがするし。


「ミキ氏ですか……ふむ、もしかしてヤスオ氏が言っていた優秀なシーフとは貴女のことですかな?」


「え…? あんたヤスオの知り合いなの?」


 なんつーかヤスオも変なのとばかり知り合いになるわねー…とと、それよりもあれよ! ヤスオの奴私の事そんな風に思ってたんだ、見る目あるじゃん♪ あいつにしてはポイント高いわね。


「ふふん、これでも罠関係には自信があるわよ」


「それは素晴らしい、ダンジョンではシーフの存在が必要不可欠です。アイテムでの代用品では限界がありますからな、ヤスオ氏は良い仲間を得たようですな」


「ふふんっ当然よ。って、あんたってヤスオと知り合いなのよね? 一緒にダンジョンアタックとかしたの見たことないわよ? 私一応ヤスオと一緒に潜ってるし」


 今まであったアタックは全部出てるからこんな特徴的なおっさん一度見たら嫌でも忘れられないわよ…


「とても残念ですがレベルが合いませんので。私はこの町で見回りなどをしつつ近場でモンスター退治をしております。後はソロでも出来る掲示板の依頼などですな。私一人食べていく分には問題ありませんので」


 とか言うオッターって名前のおっさん。

 あ…そっかこのおっさん、ヤスオと組めないくらいレベル低いんだ…あいつなら組んでくれるでしょうに、頑張りなさい一応応援してやるわ。


「そうなんだ、頑張ってね」


「はは、有難うございます。貴女もシーフとしてヤスオ氏を手助けしてあげて下さい。彼は伸びますぞ、私も期待しておりますからな」


「そ…そうね伝えておくわ」


 いや寧ろあんたが頑張れよ、ヤスオだって頑張ってるんだから。


「よろしくお願いします。さて私はこれで、いつか共にダンジョンを探索できる日を望んでいるとヤスオ氏にお伝え下さい。それでは失礼しますぞ」


 礼儀正しく頭を下げて雑踏に消えていくおっさん…なんつーかオヤジの哀愁みたいな気配が漂ってきたわね。ほんとヤスオも変なのと友人関係あるわね…ま、あいつならそれが普通なんだろうけどさ。愛想笑いしすぎてどっと疲れた…ったく、無駄な時間過ごしたわ。これからどうしよ…何も思いつかないし今日は宿に止まることにしよっと。


「でもまぁ、その前に色々回っていこっと。こういう時こそ遊ばないとね」


 気分展開は大事!! さぁ、買いまくるぞ~!



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