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僕達は前を向いて生きていく。  作者: あさねこ
【序章】 異世界で死と背中合わせのサバイバル
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03-02 【無知の中の研鑽】 Ⅱ

ファングウルフ…何故この間違いを多発するのか…

きっと何か思い入れが…(無

―翌日


 回復魔法を何度も使ったお陰か身体は大分楽になった。

 手足を動かしたり身体を捻っても痛みは感じない。空腹に寄る体力低下と考える力が鈍っている気がするが、今日魚を取ることが出来れば問題ないだろうと準備を行っていた。


 持っていくものはファングラビットの牙と毛皮のみなので準備と言っていいものか…


 毛皮が後数枚有れば袋っぽいものを作れそうだがつなぎ合わせるための紐をどうすればいいのか悩んでいる。今一番欲しいものは水を保存できる容器だ、この2日水を飲むことが出来なかったので正直喉がからからになっている。


 ここから川までは1時間弱かかるのでそこで水を飲んだら後は我慢しなければならないのが辛い。


 モンスターと戦って疲れていても水すら飲めないのはストレスが溜まるものだ。一応毛皮に水を入れても滴り落ちることはなかったので、これで水袋を作れる技術が欲しい。


 もしくは川から近い住処を探したほうがいいかもしれない。

 川まで10~20分で行けたのなら結構な頻度で魚の補充や水分を補給できるようになる。そうすればその空いた時間で色々違う事が出来るかもしれない。


 それよりなにより、死体があるこの洞窟から出来るなら離れたいのもある。

夜動き出しそうで怖いのだ、そもそもホラーとかは苦手なのだ。もしモンスターとしてゾンビやスケルトンが来たら勝てるかどうかも不安だった。


「よし…行くか。ウサギには会いませんように。神様仏様宜しくお願いします、まだ復調してないんです。戦えないんです。」


 情けないことを言っているが、出逢えば死ねるのでガチお願いをする。賽銭箱が有れば500円玉を投げ込むレベルだ。サイフを持ってないので今の僕は1円も持っていないけど―











 森の中は昼でも薄暗く遠くの方を見ると霧か何か分からないがぼやけて見えなくなっている。恐らくこれが森の外に出られなくしている何かだと思うが、それがわかっても今の僕にはどうしようもない。


 1歩1歩確実に歩を進める。

 走れば少しは短縮出来そうだけど、体力が無いし太っているしあまり意味が無い上に走っていると気が逸れてしまう。もしそうなればモンスターの奇襲を受ける可能性があるので、どれほど急いでいても早歩き程度で我慢している。


 流石にモンスターから逃げる時は全力疾走するが―【速】が1上がっているし今の僕はどれ位早くなっているんだろうか? ちなみに高校を中退する前に測ったタイムは100メートル18秒という感じだった、平均がどれ位かは知らないけど確実に遅いのは分かる。よくウサギやハウンドから逃げられたな僕は…


 【速】が2の時点で18秒なら倍の4になったら9秒とか…になったら苦労はしないから、多分17秒とか16秒で走れるようになっていたら嬉しい。早く走れるデブってなんとなく格好いい気がするから。


「って、少し痩せてきてるよな…」


 見苦しい腹がこの数週間でかなり引っ込んでいた。

 全く気にしていなかったが、この生活は身体を絞るには最適らしい。死と隣合わせなのでおすすめはしないが…こんな調子で数ヶ月も此処に居たら平均体重まで落ちてしまうんじゃ無かろうか…僕は背がかなり小さいから出来れば痩せた脂肪が身長に回ってほしい。160センチにもなっていないのだから…


「せめて155センチは欲しかった…どこの昔の日本人だよ僕は…」


 チビでデブで…まぁ、イジメの格好の標的だろう。

 暴力こそ受けていなかったけど、誹謗中傷などはほぼ毎日だった。親に相談する勇気もなかったし結局僕は自分と相手に負けて引き篭もった。勿論今なら普通に対抗できると思う、相手の顔を見れるかどうかは別として。


 モンスターに殺されかけた事を思えば、理不尽に喚く程度の相手になんて負ける気はしない。


「でも、やり返したりしたら相手と同類だよ…ん?」


 30分近く歩き大体半分ほどを過ぎた辺りでこれまで気付かなかった洞窟を見つけた。


 木々でほとんど隠れていたのでこれまで全く見つけられなかったようだ。川に行くのを少し中断し僕はその洞窟まで近づく。もしかしたらモンスターや動物が住処にしている可能性もあるから警戒して洞窟に近寄った―


 入り口はそこまで大きくなく、人一人入るのがやっと程度だ。

 まずはその辺に落ちている石を拾い深呼吸した後投げ込む! その後直ぐに近くの木に走って隠れ様子を見る、多分傍から見たら凄く滑稽な事をしていると思うだろう。


「…………………」


 その態勢のまま1分、2分と待ち続ける………5分程度過ぎたが何の反応も無い、どうやら無人の洞窟なのだろう。それでもショートソードを構え、警戒しながら中に入る。



……………



 中は結構ひんやりとしていた。

 入り口こそ狭かったが中はそこそこ広い…と思う。近くは多少明るいけど、中は元々薄暗い陽の光など入るはずもなくほとんど真っ暗で何も見えない。水の滴る音などが偶に聞こえるけど、地面は濡れてはいないし今日まで住んでいた洞窟よりは確実に広い。


 結構上の方から風の音が流れているのが聞こえるので、天上はそこそこ高く何処か風の通り道があるのだろう。


「ここなら…入り口を塞げば少しは休めるかもしれないな。

此処の所数時間程度休む位しか出来なかったし頑張れば休める時間が増える。

とりあえず…【灯火】!」


―ヤスオは【灯火】を唱えた!!


 人差し指の先からゆらゆらと火が現れる。

 僕が今も生きていけるのはこの魔法のお陰だろう。指先に意識を少し集中させておけば結構長い間消えずに持続してくれるのも有り難い。


 【灯火】の火をかざしながら改めて洞窟の中を調べていく。

 地面は普通土の様で所々大きい石があるが此れ位なら脇に良ければ問題ないだろう。水の滴る音は聞こえるが周囲には何も落ちていないのでこの洞窟は結構広くてどこかで水が落ちているのだろうと思う。


 真上に向けて手を伸ばすが天上はよく見えない、灯火の火が揺らめいているのでこれは上手く行けばここで焚き火をすることが出来るかもしれない。 入り口にモンスター避けの焚き火と中に暖房、や料理、明かりの代わり焚き火を置ければかなり充実した住処になりそうだった。


「なにより…ここからなら水場が結構近いのが嬉しいな…よし! 

一度戻って本とかをこっちに移し替えよう! 水はその後だ!!」


 僕は喜び勇んで道具を取りに戻った―



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