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8 油断大敵

いよいよモノケロースとの闘いです。

うまくコメディチックになってるとよいのですが・・・

「おい、大丈夫か?!」


落とし穴をラシュとシグがのぞき込む。


落とし穴の中には、とがった岩がたくさん並んでおり、串刺しになりそうになっている。


「えげつない落し穴やな~。」


「モノケロース仕留めるなら、これくらいの足止めは必要だろう。ってか、アッシュ、どこだ?返事しろっ!」


モノケロースの巨体が串刺しになっているが、アッシュの姿が見えない。

モノケロースが暴れていて、ますます中がよく見えなくなっているのだ。


「おお、つぶされる~。げふっ。」


どこかからアッシュの声が聞こえるが、やはり姿が見えない。


「げ、モノケロースの下かよ。」


「アホやなぁ。うまく躱して上に乗ればええのに。」


「そんなにうまくいくかよ。・・・魔法で浮かすか。でかいからうまくいくか・・・。フライ。」


ラシュが暴れるモノケロースをゆっくりと宙に浮かべる。と、岩が刺さっていたところから血がどっと流れ出てくる。モノケロースは痛みにますます暴れ出す。


「ちょっ、おとなしくしろよな。」


必死に集中して持ち上げているラシュだが、モノケロースの重たさと暴れ具合で集中力が切れる。


「あっ、しまった。」


せっかく宙に浮いたのに、モノケロースが再び穴の中に落ちる。


「ぎゃー!!」


アッシュの叫び声が聞こえる。ラシュが焦ってのぞき込む。


「アッシュー!!」


「ラシュ、ひどいぞ!!もう一回落とすなんてっ!!」


「やろうと思ってやったわけじゃねー!!ってか、よく逃げれたな。」


落とし穴の底でモノケロースから離れたところに、立ち上がってラシュに文句を言っているアッシュの姿があった。


「いや、モノケロースは岩に刺さってたから地面まで落ちてきてなかったんだ。俺は地面とモノケロースに挟まれてた。暴れるからつぶされそうだった。」


「まあ、無事でよかったなぁ、アッシュ。危うくラシュにつぶされるとこやったな。」


アッシュの元気な姿を見て、シグがけらけらと笑う。


「とりあえず、登ってこいよ。」


「おう。」


アッシュは岩や周りの土に剣をつきさしながら落とし穴を登ってくる。

再び落とされたモノケロースは別のところを突き刺され、痛みに暴れている。

と、モノケロースの角が光り出す。


「ラシュ!」


アッシュは登り、ラシュがそれを見ていて、気付いたのはシグだけだった。

シグの声にラシュが顔を上げるが、その前にモノケロースの魔法が発動する。

白い光がアッシュとラシュに向かう。


「光神の護り。」


モノケロースの魔法がアッシュとラシュに届く前に、二人の前に光の壁が現れた。


「サイカ、ええ仕事するわ~。」

「助かった。」


サイカの唱えた光の防御魔法とモノケロースの魔法がぶつかる。

モノケロースの攻撃に、サイカの魔法はびくともしない。


「ふふ、油断大敵ですねぇ。」


サイカがにこやかにつぶやくと、アッシュは下を見下ろして、飛び降りる。


「登る前に、モノケロースをやってくる!!」


アッシュは落とし穴の底に戻ると、モノケロースの足を大剣で切り落としていく。


「しゃあないな。先にとどめや。」


シグのナイフが上からモノケロースに刺さる。


「アクアスピア!」


ラシュの水の矢の魔法がモノケロースを貫く。


「とどめだー!!」


アッシュがモノケロースの心臓を貫くと、モノケロースはぐったりと動きを止めた。


「よし、登るぞ-。」


「おう、気をつけろよ。」


「ラシュ~、モノケロース浮かせて解体してや。あの角なら一攫千金やで。」


「そういえば、そうだな。・・・フライ。」


アッシュがゆっくりと落とし穴を登りだし、ラシュはモノケロースの体を魔法で浮かし、地面に置いた。動かないモノケロースは、重心が動かないので、余裕で浮かせて運べるのだ。

地面に置いたモノケロースをシグが喜々として解体し始める。


「よっしゃー、これで一攫千金や~。ラシュ、モノケロースの毛皮やったら防具屋で高値で売れるで!」


「シグ、毛皮はお前の冬の防具作れよ。モノケロース素材なら一級品が作れるぞ。」


「・・・ええんか?なら、うちの防具作ってもらお~。やった~。」


手放しで喜ぶシグの横で、ラシュはモノケロースの角を見る。


「おい、サイカ~、前にユニコーンの角がどうとかって言ってなかったか?」


馬車の護衛をしつつ、周囲を警戒していたサイカは、ラシュの声に淡々と応える。


「ええ、ですがそれはモノケロースですからねぇ。使えるかどうかわかりませんから。いりませんよ。」


「そうか。なら道具屋に売りつけよう。肉は、」


「ラシュ、モノケロースの肉って食べられるのかっ!!」


「・・・だろうと思ったぜ。昼飯で使おう。」


「よっしゃー!」


アッシュが落とし穴を登り切って、喜びの咆吼をあげていた。


モノケロースと落とし穴を片付けると、一行は再び馬車に戻った。



「ありがとうございました。みなさん、ご無事で何よりです。」


馬車に戻るとミーシャがお礼を言った。


「ええんよ~、それがうちらの仕事やし。ええもん取れたし。気にせんといてや~。」


にこにこと笑顔のシグに、ミーシャはほっと笑った。

設定

「フライ」は自分にかけると重心を自由に動かして、宙を動くことができる。

他人にかけた場合、浮かして動かすことになる。そのため、浮いているものの重心がずれたりすると、宙に浮いたものの上下が逆転したりしてしまう。

宙に留める方が簡単。人を飛ばそうとすると、二人の息を合わせないと難しい。

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