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48 魔物使いサトゥ

楽しんでいただけると幸いです。

「こんなにたくさんの魔物を王都の近くの森で放すなんて依頼があるわけないだろ!王都に攻め入ろうとしているんだろう!!」


ラシュが魔物使いを責め立てるが、魔物使いは首をかしげて答える。


「いや、友人に頼まれたんだ。王都近郊の森に大量の魔物を放せって。王都の騎士団の新兵を鍛えるとかなんとか言ってた気がするが・・・詳しいことは忘れた。」


「ええ?!王都騎士団のせいなのか?!」


アッシュが真に受けて驚く。素直なアッシュをシグがどつく。


「いや、そんなわけないやろ。アッシュ、だまされてどうするんや。」


「そうですよ。あの魔物使いが我々を欺そうとしているのか、魔物使いが欺されたのかはわかりませんがねぇ。」


ふふふといつもと変わらない笑みを見せるサイカに、リーザが尋ねる。


「え?あの人、だまそうとしているんですか?」


「リーザ、あんたもか!!」


おもわずシグはリーザにもつっこんだ。アッシュとリーザのぼけっぷりに呆れていたラシュだが、魔物使いに話しかける。


「・・・で、この魔物たちはあんたに頼めば引いてくれるのか?」


「いや、友人の依頼で放したからな。友人の依頼が終わるまでは止めないよ。」


「あんたの友人の依頼は魔物を放した後、どうするんだ?」


「もちろん、王都騎士団の相手をするんだよ。」


「こちら側はマジェンタ領所属地方騎士団と冒険者の連合軍だ。王都騎士団じゃない。」


「へえ、そうだったのか。・・・じゃああっち側が王都騎士団かな?」


魔物使いの後ろ側にもたくさんの魔物がいるとみていたアッシュ達だが、反対側でも王都騎士団が奮闘していたようだ。遠くの方に魔法の光が見える。


「おお!こっちからはマジェンタ領所属地方騎士団、あっちからは王都騎士団か!すごいな!!」


アッシュは強者が集まっていることにわくわくしている。


「あんた、名前は?」


「私はサトゥ。」


「あんたの友人は?」


「さあな。依頼だけしてここには来ていない。で、私に名乗らせたのだ。君の名は?」


「オレはラシュトリカ=レヴェヌ。」


「そうか、ラシュトリカ。私はこのままここで王都騎士団と戦うのだ。邪魔をするならお前達も相手しよう。」


魔物使いサトゥは驚くこともなく、淡々とラシュ達を相手取ろうとしている。そうでなくてもかなりたくさんの魔物を操っているこの魔物使いはかなりの強者である。騎士団2つに冒険者を相手取ってまったくひるまない。普通の人間にはできない芸当である。ラシュがサトゥに言葉を紡ごうとしたとき、それまで首をひねっていたシグがぽんと手を打った。


「思い出した!!サトー兄ちゃんや、サトー兄ちゃん!!なあなあ、エーのこと、覚えとる?!」


シグはにこにこしながら、使い魔のエーを呼び出した。魔術陣から表れたエーの姿をしばらく見たあと、つぶやいた。


「ジオの妹?」


「そうや、ジオ=アクィナスの妹、シグやで!思い出してくれたん?」


「ああ、あの周りでちょろちょろしてた。エーはジオにあげたと思ってたけど、そうだったね。君に契約を譲り渡したんだっけ。」


シグとサトゥの間で交わされる会話に、ラシュ達は頭にクエスチョンマークを浮かせながら聞いていた。


「・・・で、どういうことなんだ?ラシュ。」


「・・・アッシュ・・・。・・・つまり、シグはこのサトゥと知り合いってことだろ。」


アッシュの言葉にラシュは呆れながら教えてやる。


「ついでに、あの使い魔はあの魔物使いが初めに契約を結んでいたのですね。それを彼女の兄に譲り渡し、さらにシグの手に渡ったということです。」


「シグのお兄さんもあの人と知り合いなんだねぇ。」


サイカの説明に、リーザがのほほんと頷く。


「ところで、ジオ兄は一緒やないんやろ?」


「ああ。この依頼をしてまたどこかへ行ったよ。」


「「えー?!依頼したのうち(シグ)の兄貴?!」」


サトゥの言葉に、シグとラシュの叫び声が重なる。


「シグ、おまえの兄貴、王都騎士団にいるのか?」


「ええ?そんなん聞いたことない。うちの兄貴はふらふらしてんのばっかやし。王都騎士団みたいな規則がっちりしたとこに向くわけ無いやん。うちの兄貴やで?」


「・・・おまえみたいな兄貴なら、騎士団には入らないだろうなぁ。」


シグをじっと見て、ラシュが頷く。


「なんで兄貴の依頼でサトー兄ちゃんが王都騎士団と戦うんや!!しかもこんなところで。サトー兄ちゃんのせいで、王都に行く道がふさがれてみんな困っとるんやで!ええかげんやめようや。」


シグがサトゥに声をかける。


「・・・そうかもしれないが、ジオの依頼だからな。適当なことをするとアイツが怒って面倒だな。」


「面倒って。」


「・・・というか、こんな風に人間相手に戦うことなんてないから、新鮮なんだよなぁ。」


「うわ、こいつヤバイやつだろ!シグ!!」


「う~ん、前に会ったときはここまで変態やなかったんやけどな。」


「おまえの兄貴がなんでこんな依頼したのかはさっぱりだが、サトゥを捕まえないと王都に行けないなら、やるしかないな!」


ラシュはショートソードから杖に切り替え、シグがナイフを構えると、ぽーっと話を聞いていたアッシュとリーザも武器を構えた。サイカも相変わらずひょうひょうとした笑みを浮かべながら杖を向けた。


【設定48】 魔物使い サトゥ

魔力が人よりかなり多く、魔物の軍勢を操ることができるほど。魔力は賢者レベル。

シグの上の兄ジオの友人。シグの使い魔エーはサトゥに最初捕まり、サトゥの軍勢の中にいた。そこからジオに譲られ、シグに手渡った。

のほほんとしているが、ジオに気に入られたおかげで、妙な事件を起こしてしまう。

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